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ナレーションを極める51 失敗を恐れない

ナレーターの熊崎友香です。
テレ東ワールドビジネスサテライトや
NHKアジアインサイト などでナレーションを担当しています。4歳と7歳の子供を育てています。

何度もnoteにも書いているのですが
「失敗してもよい」というお話を書きます。

多くの場合、緊張は、失敗したらどうしよう、
うまくできないのではないか。という不安や恐れから
来ると思うのです。

完璧に失敗しないことなど、なかなかできません。

失敗しないためには準備が大切、ということも
別のnoteでお話ししていますが、しっかり準備をしたうえで臨んだとしたら、その上での失敗は、してもよい。
大事なのは、そこからどう立ち直るかだ。
と考えています。オンラインワークショップに参加してくださる皆さんや、我が子たちにもそう伝えています。

いろんな失敗がありますが、
ナレーションについて言えば、
噛んでしまうことを、わかりやすく失敗と
捉えることがあると思います。

漢字の読み間違い、アクセント違い、
この辺りは準備で何とか補うとして、
噛んでしまう、というのは
どうしたって起きてしまいます。

とくに生放送は、スポーツに近い感覚です。
頭でわかっていても体が動かない。

少し慣れてくると
失敗しない、噛まずに読むという技術が身に付いてきます。しかし、私の場合、噛まずに読むと、小さな演技になってしまい、ただ文字を音声化しているだけで、本当に伝わっているか、正直微妙だと感じることがあります。噛んでも良いから大きく表現する、こちらに重きを置きたいのです。

収録の場合も、もちろん、噛まずに読めば
スムーズです。

しかし、どうしたって噛んでしまうことはあるし、
噛まずにスレスレで読めても、それが伝わっていないと感じた時は、申告して撮り直しさせてもらいます。

大切なのは、伝わったかどうか。自分の評価や失敗の数など、本来どうでも良く、製作者の皆さんの思いや狙い意図が、届いて欲しい人に届いたかどうか。が、1番大切です。

そうして大きく表現した結果、失敗したとしても、そこで立ち直れれば問題無いのです。
大事なのはこの後です、、一度の失敗で、不安定になり読みがガタガタしたり、集中力が切れる、、、これはスタジオやスタッフさんに迷惑がかかります。

ナレーターは孤独かもしれません。追い込まれるとどんどん、焦ります。この時に、深呼吸をするでも、おまじないを唱えるでも、おいしいチョコをかじるでも、好きな香りを嗅ぐでも、なんでも良いので、立てなおすことが、大事です。

おすすめは、「ついてる、ついてる」と呟くこと。これはマネージャーさんに教わり、不安になった時は今もブツブツ呟いています。「だめだ、できない。向いてない」などマイナスな言葉は発しません。それを1番聞いているのは自分だからです。

「よく頑張った。大丈夫。できる。ついてる。」などと
人に聞かれたら恥ずかしいけれど、小さく呪文のように唱えています。

何度かお伝えしていますが、
わたし、ワールドビジネスサテライトのオーディションで、噛んだんです。笑。「これは、もうだめだな」と心の中で思いました、正直。でも、ご縁をいただき、いまここに居ます。ありがたいことです。その時、すぐに言い直したこと、あやまったこと、悔しそうだったこと、何がよかったか、正確にはわかりませんが、印象に残ったのかもしれません。

間違えた時に、人柄が出ますよね。
面接などでも、困らせるような質問をしてくるのは
なぜか。その人が困った時、どんな反応をするのか
見たいのですよね。それと同じで、窮地に立たされた時、どうするのか。そこが大切なのだと思っています。

わたしにはたいした特技もなく、誰もが振り返るような美人でも無く、何社も局アナ試験に落選しているからこそ、プライドがなく、失敗しても、「すみません、もう一回やります!」と言える根性があるのかもしれません。

じつは、個別のワークショップに来てくれた方が、この春、養成所から事務所に合格しました。その方にも、私のオススメのメンタル向上の考え方をお伝えして、それが功を奏したと(元々の実力が評価されたと思いますが)、合格後に話してくれました。

失敗してもよいと思って臨めたと。

オーディションでも、収録でも、そして、子育てでも、「失敗してもいいんだよ、失敗を恐れて小さくなるくらいなら、たくさん、たくさん失敗しよう」と背中を押しています。

人前で恥をかくことが、学びとなり、自らの成長につながると信じています。

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