2023のパンチライン10選
2023年自分が「くらった」パンチラインたち
だいたい年末にそれぞれの分野で識者たちが今年のベスト10みたいなのを出したりするじゃないですか、音楽とか映画とか。あれがすごく好きでして。
今年は(もう1ヶ月過ぎたけど)自分もなんか書いてみようと思ったものの、いざ書くとなるとベスト10語るほどガッツリとウォッチしてたものがないような気がしたので、基本は2023年の日本語ラップの好きな曲いくつかとその他に生活も含めてくらったものを紹介しようかなと。
(結局日本語ラップばっかりじゃねえかおい)
ふとした瞬間の言葉/友人の娘さん
私生活からのエントリーです。フィンランドに来て初めて10人くらいの日本人の人たちと集まってタコスを食べてたタコパをしてたとき(だったはず)。
お子さんたちはやっぱり元気いっぱいで、19歳くらいの若いお兄ちゃんとかと大喜びでガッちゃんガッちゃん遊んでるんですが、その中である女の子がお兄ちゃんと大騒ぎしながらも(なんかポケモンごっこみたいなことしてたのかな)、「ママー、体当たりしていい?」とお母さんに話しかけてたのをみかけたときにめちゃくちゃ笑ってしまって。
子どもたちのあふれる元気と、いい子なその子とがガツンと衝突したときに体当たりする前にも一応許可取ろうってなったのかなとか思うといとおしすぎてほんとに数ヶ月たった今もそのときにPCに貼ってもらったゲッコウガのシールを見るたびに勝手に思い出してはニヤニヤしてしまう一コマです。
なお、あれが「体当たり」だったのか、「たいあたり(ノーマル/いりょく35)」だったのかは謎。
斬新なワーディング/新進気鋭の作家
SNSでバズってたんですが、23年のすばる文学賞を受賞してた太田ステファニーさんの授賞式でのスピーチが最高すぎて。
自作の「詩」を朗読されるんですが、「うち、ステファニー」とか、冒頭から独特のワーディングや佇まいで下手すると成人式のスピーチでふざけてる若者みたいな雰囲気を一瞬感じて大丈夫かこれと思ったんですが、気づけば引き込まれちゃいます。
押韻と倒置、体言止めが多用されたラップぽいリズムの詩なのですが、内容は自分の目線から大事なことが並べられててそれは妻への感謝から集英社との関係、そしてガザやそこで死んでく子供までが並び立てられます・・・そして授賞式で小説家って社会になんの役に立つの?と。「すごいもんをみた」という感じがするんですが、その中でこれから生まれる赤ちゃんに恥ずかしい背中みせられないからダサいことしない、という部分です。「赤」は刺さりました笑。
最初は単純に独特で面白いな〜という感じなんですが、赤「ちゃん」と呼称に可愛がり庇護する対象であることを表すような愛称がそのまんま入ってるのってなんか「そうなんだっけ?」とか、「いくら我が子とはいえ一人の命で人間なんだからもっと対等な目線でもよくないか?」とかいう思いが「赤」という言葉のチョイスに含まれてそうとか感じてしまいました。
自分をよく知ってる長い友達に「ダサいよ」とか「違うよ」とか言われるようなことはダメだよな、というのを一つの判断軸?として大事にしてるんですが、これからはそこに加えて自分も赤に見せらんない背中はあかんというのも大事にしていこうと思います!
「みどりいせき」満を持してkindleで買ったので早くよみます。
Luv Myself (feat.Aklo & Keiju)/ Kvi Baba
解散しちゃったけど大好きなKANDYTOWNのKEIJUの客演のバースから。
フィンランド来て2学期めの終わり(12月)、英語ができなくて授業で全然パフォームできないのが本当にキツくてキツくて・・・。
「32にもなって10個もしたの子たちに囲まれて外国で俺は何してるんだろう・・・」と思いながら毎日学校行ったりきつすぎてソファーと一体化してたりしてました。
でも学校のほんと最後の頃だったかな、学校行く途中にこの曲流しててふとこのラインが耳に入ってきたとき、改めて泣きそうになっちゃいました。
「自分はまだ(英語では)口すら達者じゃないし、それを変えるために何もしてないのに何落ち込んでんだよ!」と奮起してネイティブキャンプはじめたんですよね笑
それから冬休み毎朝毎晩1回ずつ習慣として英会話を導入した甲斐もあり、新年からの3学期めはグループワークで率先してプロマネ的に動けたり、ディスカッションでもある程度有意義な意見を言って周りを説得できたり(まだ全然むずいんですが・・・これは引き続ききつい)、ちょっとよくなりました。引き続き頑張っていきたいっす。
ちなみにKvi Baba feat.AKLO KEIJUは別の曲もあってこっちもめっちゃおすすめです。うちの妻もkvi baba結構すきなので、ラップ興味ないよとかパートナーにもラップ聞いてほしいなとかいうひとの入門編にもどうぞ。
Psychedelic (feat. Keiju) / LEX
ヘッズには説明不要の天才レックスくんで、相変わらず型にハマらない楽曲でセンスを爆発させつづけてるんですが、これはさすがにくらいました。
お前はもう・・・・ふりかけ・・・・?
ふりかけ?!!!!!
色々考えてます。
なんか元ネタがあることだったりしたらぜひ詳しい方は教えていただけますと嬉しいです。
Feel Alive / Watson
日本語ラップ好きなひとであれば2023年、Watsonくんを聴かずに1年終えた人はいないんじゃないかと思います。そんくらい快進撃の1年でした。
基本的に言う事全部パンチラインみたいなタイプだし全曲パンチラインだらけなので何を選ぼうかなと思ったものの7月のシングルから。
自分なんかなんならいわゆるバビロン側なんでほんと、「「Live行くよ」って来ない保護官(*参照)」みたいなもんなんですが、出る杭打たれない日本社会になればいいなと思ったりしつつ働いたりもしてて。
起業家もラッパーも、「おれ本気でやろうと思うんだ」って言ったときに皆無理だよとか言うと思うんですよね、それを振り切ったひとが結局成功していくしやり遂げていくんだろうなと、アアルトでもまたそう思ったりしていて(ほんまに自分は何もしてないんすけどね)。
「あんたら振り切って成功しちゃったよ、いまどんな気持ち?」みたいなことをWatsonもあらゆる言い回しで言ってきてるものの、めっちゃシンプルでこの曲は本当よかったなあ。それでも最後は「けど言ったやつより今稼いでる」を繰り返さずに「けど撮影の為髪つけるジェル」で終えるところとかWatsonらしくて最高。
ちなみに、このトピックだと好きな曲が結構あって、
これとか(KEIJU好きすぎか)
この曲も。
gucaowlも今年は躍進の年でしたね。でっかいフェスにも出てたし。WWWワンマンも成功させて。出国前にタイミングがあったので生後一ヶ月の息子を妻にお任せしてWWWまでライブを見に行かせてもらったのもいい思い出・・・(当面自分の人生でも最後のライブになりそう笑)。
この曲も1/10にしようと思っていたのに流れで出してしまった、しまった・・・。
妻と一緒に「〇〇(息子の名前)が燃えるのはdifficult/簡単なら他の赤ちゃんでいいじゃん!」って歌いながらなんかおむつ替えたりあやしたりしてたのがいい思い出・・・。
U (Feat. C.O.S.A) / JJJ
一番好きなラッパーの一人C.O.S.Aの客演のバースから。
この曲が収録されてるJJJのアルバムMAKTUBは2023年のベストはもちろん、歴史に残る名盤やなと思っておりその他も名曲揃いなのでぜひ一聴を。
そんな名盤からこの曲は硬派なイメージのJJJには珍しいストレートなラブソング。
冒頭のJJJのバースもすごい好きです。「ひとつが終わればひとつが始まる」ってなんの話だろう、と思いきや急に「目黒、ビルの地下 遅れて座る席 あなたは笑い シネマが始まる」と具体的な描写で目黒シネマでJがデートしてる姿が浮かぶと。普段硬派だからこそなんかはにかんでる顔を勝手に想像してしまったりしてたまんなかったりするんですよね。それから
「頭はそれでいっぱい/イカれてるよ、わかってるよ/でもそれでいい今は知らないよ/大切な人が増えた/そうと人生/歩みだす君の元」
と続くの最高。
あ、本題(?)のC.O.S.Aのバースなんですが、このC.O.S.Aもめちゃくちゃ硬派でタフなイメージのラッパーなんですよね。つぶらな瞳なんですが。
JJJのプライベートで具体的なデートの描写から始まる浮足立つような高揚感と幸福感を受けてC.O.S.Aがどんなバースを蹴るんだ?と思ったら、すごく普通の生活の話から始まる(家買ったのおめでとうございます)。そんですごい幸せなはずなんだけど、奥さんのプレイリストにはまだ自分の曲は入ってないと。手に入れた幸せを抱きしめ、それを守る責任感を感じながらも、奥さんのプレイリストに食い込むくらいの「ぶっとんだ曲(※参照)」を作るんだという決意を歌うC.O.S.A、これがまたJJJのみずみずしいバースと(JJJが瑞々しいバース蹴ってんのがまたいいんだよなあ)好対照に感じてすごいい曲。
高所恐怖症 (feat. Seeda) / Lunv Loyal
今年スマッシュヒットしてた秋田は土田港出身のLunv Loyal(ルナロイヤル、VをAって読ませるのは結構あります笑)の曲から。
永遠のにわかなもので、この曲で初めて彼を認識して「すげー、若者がBoowyとマリオネット(*)っておじさんの喜ばせ方知ってるなー」って思ってたんですが、実は結構キャリアのあるラッパーで、93年生まれの30歳なんですね。ごめんなさい・・・。
客演のSeedaはそれこそ日本語ロックでいうBoowyくらい日本語ラップで重要なScarsというクルーでいわば氷室京介くらいの重鎮のラッパーで(たぶん違う)。なんかSeedaのリリックの感じも珍しいなと思ったけど、SeedaのバースのフローとリリックはLunv Loyalが書いてるらしく(うろ覚えなのでちがうかも)?
面白いな〜と思いました。KANDYTOWNのヒムロック(たぶんこれもちがう)IOのアルバム1曲目のTokyo FreewayのHookのメロディもkohjiyaくん(長崎出身!これ聴いてね)という若いラッパーが書いてたりとか(これもたしか)、多分昔はラッパーならフローとリリックは自分で書いてなんぼ(むしろそうじゃないとバカにされる)だったんですが、そうじゃないアプローチが出てるのも面白いですね。
ちなみに、本曲のRemixでもWatsonくんが客演。ぶちかましてます。Remixもきいてね(むしろ自分はそっちから入った)。
Bad Bitch 美学 Remix feat. NENE, LANA, MaRI, AI & YURIYAN RETRIEVER / Awich
このメンツでMステ出たんですよねえ。すごい。
マジで皆パンチラインだらけなんですけど2023年Shohei Ohtaniの喉元まで最も肉薄したラブコールなんじゃないかということでゆりやんのバースを。
ほんとにみんなバチバチなんですが、Mariの「体に入ってるタトゥーは落書きじゃないよ 私の美学/撮影中も保育園からの電話それ私のリアル」とかかっけえよなとなるし、AIってStoryとかのあの人でしょ?って感じなんですけどこんなかっけぇバース蹴るんだなあと「文句があるならやってみろ/子育て仕事にピース・トゥ・ザ・ワールド」とか。
(10ってけっこうたいへんやな・・・)
City Boy / Korelon & ibe
フィンランドのラッパーの曲です。10月にIDBM(所属学科)の学期打ち上げパーティでDJする際にせっかくなのでフィンランドの曲をディグってたときに出会った曲です。
なんか愉快なビートが結構好きでいなたいフックもいいです。東京のスケールからするとヘルシンキをRepしつつシティボーイを歌ってるのも結構なるほどーという感じします(札幌から全国に投げかけるみたいな感じで欧州に向かったりはしないんだとか)。
全編フィンランド語なんで全然ノリだけで聴いてたところ、急に「Sanna Marin in my DM (No cap)」だけ英語で耳に入って来て、多分こんなにモテてるぜみたいなボースティングなのか?と思いつつ、一国の前首相を捕まえて「DMにいるぜ!」ってくっそ面白いなと思ってしまいました。
なお、パーティでは往年の名曲シティボーイ/ORANGERANGEと繋いでかけたんですが、そもそも誰もCity Boy / Korelon & ibeを知ってる気配がなく、オレンジレンジの方が一人だけシティポップが好きという中国人の同級生から「これいいね」って言われただけでした(記憶が美化されてるかも)。
ちなみにフィンランドの楽曲ということで言えば同じく学科のパーティ(sitsit)でCha Cha Chaかけたときが人生で一番盛り上がりました。この曲だけは幼稚園児から大学生まで本当にフィンランドではマジで支持されてることを感じました。
Dreamin' boi issue / kohjiya
最後は2024年の飛躍に期待ということで長崎県長崎市は麹屋町出身のラッパーkohjiyaくんの2023年のスマッシュヒット楽曲を(スマッシュヒットってことでいいよね?)。
ちょうど今日(2月7日)EPがリリースされてるので応援もこめて!
たぶんあの山って稲佐山(か鍋冠山)かなとか思いながら、まさに「知らない地元の人」である自分がはるか遠くの国で彼の曲を聴いてぶち上がってます。
どの曲もいいのでぜひEP聴いてみてください。kick backのhookとか癖んなる。「ハナから興味ねえよ/ニュースとかレース、ショー」の小説頭の一瞬の間とかうまい。KJ season Freestyleの「KJはリスナーを裏切らない/KJはリスナーを裏切らない」とかも好き笑(ここでも大谷翔平がネームドロップ)。
長崎のタワレコ(まだあるよね・・・?)にCD並んでんのかなとか勝手に思っています。
番外編 (2024年の曲だしパンチラインではないけど)
海外駐在員の歌 / ケツメイシ
ほんと、ケツメイシってどんなトピックで何を言えば人が泣くか考えてラップしてんじゃないのってくらい泣けちゃうっすね(別に泣ける必要ないんだけど笑)。
厳密には海外駐在ではないし全然フィリピンじゃないんだけど、聴いて泣きながら頑張ってます。
遠く遠く / 槇原敬之
解説することもない名曲なんですけどね。
僕は中学/高校と地元を離れて寮に入ってて大学から上京しておりまして。なんとなく地元の保育園とか小学校の友達とかと疎遠になっちゃったような気がして成人式とかに行くのやや緊張したりとか、社会人になって盆正月とかに同級生との飲み会に行くのにちょっと緊張してたりしてたんですね。でもあるときに幼馴染のひとりが、「この曲聴いてマジでお前がこうやって頑張ってんだなと思ってるよ。」って言ってくれて、全然知らない曲だったんですが後で聴いて本当に泣いちゃったりして(泣いてばっかりだなおい)。東京どころか更に遠くに来て何してんのおれ、と思うことも多いけどホントこの曲聴いて頑張ってます。ほんとありがとう・・・。
ということで急に自分の好きなものをとりとめもなく紹介する長文記事を書いてしまっただけなんですが、なんか興味あるやつだけでも聴いて(読んで?)みてね。
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