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上京ってなんだろう。

上京ってなんだろう。

僕自身6年前に大阪から東京へやってきた。
気が付けば芸歴の半分は東京で過ごしているのだが改めて上京について考えていこうと思う。
これはあくまで僕の主観で誰かに押し付けたい意見じゃない。
けど、もし上京を考えている人、上京してもがき苦しんでいる人(役者等)がいるのであれば参考にして良いかもしれない。
臆病者がそんな欲と予防線を先に張っておく。

ネットの辞書で上京を調べると
”地方で暮らす人が都に行くこと。特に東京へ行くこと”
と表記されている。
まぁそのままの意味だ。が、凄く大事な表記だと思っている。

上京はあくまで”行くこと”に過ぎない。

ここで、僕がいま勝手に作った役者辞書で上京という言葉を引いてみよう。
”次のステップへ進むため活動拠点を東京に移すこと”
と表記されている。

”地方で暮らす人が都に行くこと。特に東京へ行くこと”
”次のステップへ進むため活動拠点を東京に移すこと”

この二つの違いが理想と現実の差を表すと思う。

後から補足はするが一旦ざっくりはっきりきっぱり言うと
上京したところで次のステップは踏めない。
上京なんてただの引っ越しなわけで今住んでいるところから一つ隣の駅に住み変わるのとなんら変わらない。
それなのに上京という行為を当人は何故か前進しているように錯覚する。
もちろんその決断をしたことは大きな一歩なのかもしれないがその歩幅を勘違いしてはいけない。

では補足タイムに入る。
上記はあくまで何も考えずに上京した場合だ。
ここで何も考えずに上京をした夢見るAさん24歳(架空)の例を見てみよう。

Aさんは大阪を拠点に俳優活動をしている。
バイトしながら年に3〜4本程舞台に出演したり、たまに映像の仕事があったりと実力を磨き夢に向かっているAさん。
決して多いとは言えないが自分を応援してくれるファンの方も居て、知り合いを含めた集客は50人程。
そんなAさんが次のステップへ進むため上京を決意する。
まずAさんは東京の家賃の高さに驚くだろう。
生きていくためにバイトを探すだろう。
東京の舞台に出るためオーディションを受けるだろう。
舞台出演が決まった時には集客に困るだろう。
東京では知り合いも少なく大阪の舞台に来てくれた50人全員が東京まで足を運ぶわけはないのだから。
こうしてAさんはコツコツと努力しながら年に3〜4本程舞台に出演したり、たまに映像の仕事があったりと実力を磨き夢に向かって行きましたとさ。
めでたしめでたし。

いや、全然めでたくない。

これこそ上京がお引っ越しになる典型的なパターンだと思う。
お引っ越しどころか家賃や物価の高さにバイトを増やしたり、集客面や実力面で落ち込んだり疲労疲弊の日々が続いていく。
Aさんはあくまで架空の人物で僕が誰かを模して書いたわけではないがこれがリアルな現状だと思う。

ではAさんはどうすればよかったのか、何を考えて上京すれば良かったのか。

それは『夢からの逆算』だと僕は思う。そしてこれが意味のある上京に繋がる肝だと僕は思っている。

夢からの逆算、なんとなく意味合いは分かるだろうが一応具体例を交えて説明しよう。
桃太郎で考えてみる。
桃太郎は鬼退治を決意するわけだから彼の夢=鬼退治とする。
昔話の中ではおばあさんが優しさから桃太郎へきび団子を渡し、それと引き換えに仲間になるという動物が偶然現れ、その仲間達と鬼退治し無事に成功するという流れ。
完成された物語だからとんとん拍子に夢は叶うが実際はこう上手くはいかない。
現実にとんとん拍子の方も存在すると思うが0.0000000001%なので期待せずにいこう。

桃太郎が考えるべき『夢からの逆算』はこうだ。

鬼退治に成功したい

今の自分の実力ではまだ自信がない。
仲間を増やそう。

仲間を増やすにはどうすればいいか。
何か贈り物を用意しよう。

プレゼントは何が良いか。
おばあさんにきび団子を頼もう。

的な感じだ。これはあくまで物語に則った形の逆算だがこの矢印は無数にある。
仲間を増やそうじゃなく自分が強くなろうと思ったのなら見知らぬ師匠に弟子入りする選択肢だってある。
贈り物をしようじゃなく宝の山分けを提示しようというパターンだってある。
夢から今の自分に向かって無数の矢印を下ろさないといけない。

大事なことがもう一つある。それは自身とそれを取り巻く環境を理解すること。

桃太郎が今の自分の実力ではまだ勝てないと思うためには自分の実力を理解していないといけない。
そこを誤って勝てると勘違いし鬼ヶ島に向かったパラレルワールド惨敗桃太郎もいるかもしれない。
自分を理解することで伸びる矢印が一番の近道だと思う。

もし考えるのが苦手だったり自分自身がわからなかったら人に頼ればいい。
頼ことは悪いことではないし頼れる人、話せる人がいることは幸せなことだと思う。そしてその人が新しい矢印に気付かせてくれたりする。

もしも有名俳優Bさんと共演したいという夢があるのなら

Bさんの属する事務所を調べるのはもちろんのこと、Bさんを起用する会社はどこが多いのか、どの監督との作品が多いのか、その監督はどういった表現ができる役者を起用しがちなのか、自分は今そういった表現ができるのか、できないのなら、、、、的な感じで。

長々と書いたが上京をただの引っ越しにしないためには少なくともこれくらい考えるべきなのではないかと思う。
『夢からの逆算』をして東京での道筋を自分で把握する。そもそも今上京すべきなのかどうかも見つめ直せると思う。
道筋が見え、点々と指標があることで自分が夢に向かって歩めているのかどうかも把握できる。

なんとなくぼやけた考えではなくこういった考え方をすることが
”地方で暮らす人が都に行くこと。特に東京へ行くこと”
から
”次のステップを踏むため活動拠点を東京に移すこと”
へと繋がる気がした。と言う話。

僕は僕の矢印をマイペースに進んでいて決して贅沢とは言えないけれど有意義な上京生活を過ごしています。

人それぞれ色々な考え方があると思うのでこの話を鼻くそほじりながら読んでいる方もいるかもしれませんが、鼻くそほじらずに読んでいただいている方が少しでもいらっしゃれば幸いです。

おしまい

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