LOST JUDGMENT 裁かれざる記憶-ストーリーレビュー 主人公の正義とは?

*ネタバレを含みプレイしている前提でのレビューです

*PC版でプレイ、サブクエストなどは未クリア部分あり

前作であるジャッジアイズから間を開けずにプレイしてみた感想を書きたいと思う。結論から言うと前作よりゲーム部分は改善されている。ストーリーも前作に負けず劣らずよかった。モヤモヤする部分も存在したがそれは問題提起としては成功しているのだと感じる。

やはり社会派、正義VS正義

恐らく多くの前作に引き続きプレイヤーはストーリーに期待しているであろう。ジャッジアイズでは日本がこれから直面する高齢化に問題提起する形のストーリーであった。今作では主に学生のいじめについて問題提起している。
ストーリー自体は面白かったが正義を巡ることについてはこれまでも多くの作品で語られていたため新鮮味は余り感じなかった。

厚生労働省 ”令和4年の「児童生徒の自殺」”
資料1-2 令和4年の「児童生徒の自殺」について (mhlw.go.jp)

上記の資料によるといじめは学生の自殺理由のTOPではないようだ。筆者のどこで見たかの記憶が曖昧で申し訳ないのだがこのレポートはあくまで後から考えた理由であるため正確ではないとのこと(つまり、後付けの理由であるということであった)。現代では劇中にあった直接的ないじめだけではなくSNSなどを利用したものも多く存在するだろう。現代のいじめ問題について当事者でない人間が本当の意味で理解するのは難しいのかもしれない。

筆者の感想として、今作のストーリーは八神サイド、桑名サイド両方の言い分はわかる。

桑名サイドのロジックとしては漫画「デスノート」に似ていると感じた。法で裁かれないものは誰が裁くのかという主張だ。デスノートの読者の中にはキラは悪ではないという主張に納得する方もいるのではないだろうか(筆者も言ってることは理解できる)。

一方で八神サイドの言い分が少し弱く感じてしまう。
八神の主張で大きく占めるのは澤先生の犠牲は事件を明るみにしないと報われないとい主張だろう。では、澤先生が亡くならなかった場合はどうだろうか。筆者はその場合でも同様に真実を追求すると考える。しかし、八神は法を順守するためとは主張できないのではないだろうか。彼は弁護士の資格を持ち法廷に立つにも関わらず、大衆(我々)から見た正義を実行するためには武力行使やヤクザとの関係を持っている。現実で考えたらスキャンダルな内容だ。そう考えると八神は法を第一とは主張できないし、そんなキャラではないだろう。そのため、後半の真実を明らかにする理由は無念を晴らすためを強く主張した内容となっているのではないかと考えた(前作の犠牲者などを考えたらその主張に固執する理由もわかるが)。また、巻き込んだかもしれないという負い目もあるだろう。
正統派刑事ドラマなどでは法を絶対順守するためという主張は簡単にできるが今作ではキャラクターの性質上難しいのかもしれないと感じた。そもそもヒューマンドラマを見たいためそれでは面白くない。
澤先生以上の理由がないためどちらかというと桑名サイドに共感がもててしまい少しモヤモヤしてしまうのかなと感じた。

他に個人的な感想かもしれないがエンディングで周囲の素早い助けがいかに重要かについて書かれている。一番の主張であろうし、実際に大事だ。
しかし、もっと早く気が付けなくてごめんねと香田さんに言わせるのは違くないか?と感じた(笑)。

長々と書いたのだが結局答えはないしこれからも正義を巡る話は作られ続けるだろう。しかし、答えがないから色んな意見があって面白いのだ。また、時代の流れによって人の意見変わっていくだろう。筆者の様々な考え方も古くなっていて今の学生とは全く違うだろう。それを意識するために記録していきたいなと感じた。


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