過食症きっかけ編

以前私はうつであるとの診断を受けたが、いまだ信じられていないし、認めていない。しかし、一方で、確実に自覚している症状がある。
それは、過食だ。

病気名でいうなら、摂食障害・過食症。
特に不適切な代償行為を含む過食症を「神経性過食症」というらしい。

わたしの摂食障害は、ごく普通のダイエットからはじまった。

大学1年生の夏前、実家に帰省する機会を目前にして、母から言われていた
「大学生になって一人暮らしをしたら絶対やせると思う」
という言葉にそぐわない自分の体形を変えるために短期間のダイエットを決行した。

栄養学的な知識もまったくなかった当時の私が最初に挑戦してしまったのが、断食を含むダイエットだった。
おそらく、結構話題になっていた「月曜断食」という本。
これを参考にした生活をした。

内容は、月曜に断食、それ以外の平日は炭水化物以外のもの(確か野菜と肉中心の軽い食事)を握りこぶし程度の量で3食食べる。土日は「美食」といわれる、自分が食べたいものを好きに食べる(量はそこそこに)。というものだった。
あとから考えると、この時期がほぼ拒食症であったように思う。
断食の日だって当然授業などもあり、勉強もしていたしそこそこ運動量もある生活をしていたため、めまいや立ち眩み、頭が回らないといった感覚を覚えていた。しかし、その感覚がダイエットしている自分を自覚する要素にもなっていたことで、それがよくないことだとは感じていなかった。
また、普段の平日は炭水化物をとることが怖く、服用しているビタミン剤に「炭水化物1グラム」と書いてあることが気になるほどに、完璧に管理しようとしていた。

私は、このダイエットで減量自体には成功し、はじめは自分にもあっている方法だと思っていた。
しかし、このような極端な食事は長く続けることはできないものだった。

バイトを始めるなどしてだんだんと生活が忙しくなっていくうちにきっと私は無意識のうちにストレスをためていたのだろう。
だんだんと、食事を抑えた反動で大量の食事をとる癖がついてしまった。

大量の食事、とは一般的な人の「ちょっと食べすぎちゃった」とは明らかに違うものがある。

まずほとんど衝動的ともいえる食欲がわいてくる。すると、食事のことしか考えられなくなる。仕方がないので近くのコンビニに行き、まず一人前でではない量のジャンクなものを購入する。私の場合はコンビニスイーツを特に大量に購入していた。シュークリーム、カップヌードル、メロンパンなどの菓子パン、100円で買えるようなプライベートブランドの袋菓子なども。

しかも厄介なことに、その衝動は夜に多かった。
22時過ぎになることもあった。
または夜にバイトをした日は、そのバイト後の0時ごろ。
その時間から買い出しに行き、一気に大量にジャンクをとり、気絶するように寝るという日々。当然短期間に急激に太ってしまった。しかも、拒食の期間に抑えすぎたことで筋肉が減りすぎていたのだろう。見た目はダイエットを始める前より明らかに醜い。

どうして?頑張っていたはずだったのに。痩せたらきれいになるんじゃなかったの?なんでこんなに自分をコントロールできなくなったの?
こんなことなら、はじめからダイエットなんてしなかった方がよかった、、、

このころの私は、摂食障害・過食症なんてものは知らず、我慢ができない、自己管理ができない私、その結果どんどん太って醜くなっていく私に失望していた。なんて意志の弱いやつなのだ、と。

うまく食事をとることができなくなり、泣きながら過食する毎日。

ある日私は検索エンジンに
「ダイエット 我慢できない」と入力した。すると、予想検索欄に「過食症」の文字。
ここではじめて過食症というものの存在を知り、自分もそうなのかもしれないと思い始めた。

はじめは「症」という文字にビビり、「病気なの?そんな大げさなものでは、、」と思っていたし、「こんな病気のせいにするなんて甘え」とも思っていた。

私は一人暮らしだし、自分が人に話さない限り過食のことが誰かにばれることはなかった。しかし、その影響は確実に自分の社会生活にも出始めていた。

まず当時していた飲食店の夜のバイト。
バイト後に毎回過食することがわかっていたので、行きたくなくなっていった。また、制服が決まっており、過食によって太ったことでズボンがきつかったこと、それを相談できないことも理由の一つだった。また、そもそも飲食店だったので働きながら食べ物を見て、食のことしか考えられなくなったためその環境自体もつらかった。さらに仕事自体忙しく、体力勝負だったこともあり、このころの自分のストレスの最も大きな要因だったと思う。バイトを当日欠勤することもあったし、働く姿も元気がなかったと思う。バイト先の方には大きな迷惑をかけてしまった。このバイトに関わることすべてがしんどかった。いまその気持ちを思い出しても、涙が出てきそうになる。

影響はバイトだけではない。付き合っていた彼氏も何度も悲しませてしまった。
バイト前に会っていた時、バイトがつらすぎてカフェで急に泣き出してしまったこともあった。出かけた先のグルメイベントで、人気の料理に並んでいた時、食衝動が強くなってしまい、そんな自分が嫌になって理由も話さず泣き出してしまったこともあった。ここまでわかりやすいものだけでなくても、一緒にいるときの食衝動とそれによるストレスで理由も伝えることなく不機嫌になることが幾度となくあったように思う。
彼氏は本当に優しい人だったので、めったに私に文句を言ったり責めたりすることもなかったが、相手のことを鑑みる余裕のない瞬間が多くなってしまったことを今でも後悔している。

他にも、人と食事をするとき、相手の食べる量やスピードに異常に注目してしまうようになった。単純に太っていったことで、着れる服が減っていき、自信がどんどんなくなって人に会うことに後ろ向きになることが多くなった。


大学3年生を終えようとしている今、このように振り返っているのは、最近もまた過食をする回数が増えてきてしまったことが理由だ。
はじめからさかのぼって自分を理解し、少しでも改善していきたいと思った。

もしダイエットを始めようとしている人が見ているなら、だれでも簡単に摂食障害になってしまうことを身をもって理解した私からいくつかアドバイスしたい。

・短期的に痩せることは危険な場合が多い
・極端な食事をすると、ふつうの食生活に戻るのが難しくなるかもしれない

短期的なダイエットや、〇〇ダイエットと名の付くなにかに特化したダイエットを否定はしない。それで結果を出している人も実際にいるし、短期的なダイエット後もキープできている人もいるだろう。
しかし、とにかくそのすべてに危険性があることを頭に置いておいてほしい。



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