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カンレキにカンゲキ。

2年前に亡くなった西城秀樹さんが若い頃、「ハウスバーモントカレー」のCMに長いこと出ていて、最後の「秀樹カンゲキ!」の決めぜりふが大ヒットした。それはもう、一世風靡と言うぐらいの流行ぶりだった。その秀樹さんが60歳になったとき、ステージで「秀樹カンレキ!」というフレーズを自ら発して話題になり、ファンの胸を熱くさせた。

うまいこというなあ、とそのときは思っていたが、特に秀樹ファンでもないのでそんなことすっかり忘れていた。そして自分が今日、同じ年の誕生日を迎えるにあたって出てきた言葉が「秀樹カンレキ!」だった。

「それかい!」と自分で自分にツッコミたくなる。私はやっぱり骨の髄まで、CMコピーに影響を受けてきた昭和のテレビ世代なのだ。

今日、60歳になった。

5回目の干支がまわる節目の年で、会社勤めの方は定年で、JRの「ジパング倶楽部」の入会資格が与えられる年だ。

昔の60歳ならばこれから「余生」になるわけだが、今はそんなに楽じゃない。幸か不幸か寿命が延びて100歳まで生きるのだとすれば、あと40年どう生きていくのかを真剣に考えなければならない。

しかも今年はコロナによって、一瞬で世の中がトランスフォメーション(変容)してしまった。「新しくなった世界」を「老いゆく古い世代」がどう生きていくのか、大きな問いをつきつけられているのである。

当然ながらその答えはひとつではない。

ここがポイントだ。ようやく最近「多様性」の時代に入ってきて、典型的な人生設計以外認めてもらえないような昭和の価値観はだいぶ薄れてきた。「こうあらなければならない」の呪縛も、もうない。

「60歳からのニューノーマル」を自分スタイルで作り上げていけるのだ。

うん、これは楽しい。

まずは大きなライフテーマを再設定することにしようと思う。一生追い続けられる、深くて広くて、できれば仕事につながるテーマがいい。

私のテーマはもう決まっている。「コンテンツプロデュース」だ。

実はこの7月から、NewsPicksの佐々木紀彦さんがリードする「コンテンツプロデュース」講座で若い人たちと一緒に学んでいる。聞き慣れない言葉だが、これからの時代、どの業種どの世界でも必要な「コンテンツ」を見つけ出し、企画し、作り出し、広め、マネタイズするプロセスのことだ。クリエイターではなくプロデューサーなので、必ずしも自分がコンテンツを作らなくてもよく、作れる人をスカウティングして、チームを作ればいい。

第1回目の講義で佐々木さんのお話を聞いて、「私がこれからやるべきことはこれだ」と確信を持った。これからすごく求められる分野、人に価値をたくさん与えられる仕事であることは間違いない。

「アーティスト」が職業ではなく「在り方」であると同じように、「コンテンツプロデューサー」も在り方、そして生き方だ。資格もないので、やりたいのなら、ただそう名乗るだけでいい。

だから今日60歳を機に、私は「コンテンツプロデューサー」になる。未開の分野に突っ込んでいくのは大好きだし、最高に自分らしいと思う。

もうすぐ、とあるWebメディアの編集長に就任することが決まっている。新しい名刺には「コンテンツプロデューサー」も入れるつもりだ。

そんなことを考えていると「60歳からのニューノーマル」は、エキサイティングすぎて、きっと年をとるのも忘れるに違いない、と言いたいところだが、そうは問屋がおろさない。

西城秀樹さんは長年戦っていた病魔に勝てず、「秀樹カンレキ!」から3年後、63歳で亡くなった。

昨年突然襲った顔面麻痺の後遺症もあるし、健康管理は手を抜かず、私もいつその時がきてもいいように、悔いなき日々を送ろうと思っている。

それなりにいろいろあった人生だけど、今、私はすごく幸せだ。そしてこの幸せをいただいている周りの皆さんに、改めてお礼を言いたい。

いつもありがとうございます。おかげさまで無事、還暦を迎えられました。


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