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「人を家に招く」のハードルを下げる【東京サーキュラー生活 #4】



家に人を招きたい

新居はまだもろもろ整備の最中だけど、さっそく友人のマッキーが高級シャンパンを持ってお祝いに来てくれた。記念すべきファーストゲストだ。

東京暮らしをするにあたって、廃棄を出さない循環型のサーキュラーな生活をすると決めたのだが、実はもうひとつ決めている生活スタイルがあった。

それは、人を招く家にすること。

といっても、ホームパーティとか、おもてなしとかそんな大層なものではなく、外で飲む代わりにうちで飲む「家飲み」に近い。福島では家の台所にカウンターを設けて「ひとみキッチン」と名付けて時々飲み会をやっていたのだが、それを東京でもやろうと画策しているのだ。

いつの頃からか、家に人を呼ぶことが自分のデフォルトになった。亡くなった父の影響が大きかったかもしれない。

父は無類の酒好きだったが、めったに外には行かず、家に人を呼んで宴会をするのが大好きだった。さらに食にうるさく、母に料理の指示を出す。なので母はひたすら料理を作っていて、常に台所にいた。家族だんらんの場のはずのお茶の間は宴会場と化し、姉と私は追いやられ、別室で母が運んでくれた食事を食べるという、なんともいびつな子ども時代を過ごした。

それがたまらなく嫌で、父を批判していたけれど、人を呼びたくなるDNAはどうも譲り受けたらしい。飲みに行くのもいいけれど、むしろ家に人を呼んだほうがラクだし、楽しいのだ。1人暮らしなので、家族に気を遣うこともない。

オーブン料理が「人招き」の鍵

ただし、母がしたような、凝った料理は作らないと決めている。だんだんおっくうになってしまうし、そもそも仕事があるので、凝った料理なぞ作っている時間もない。

家はお店ではないので、料理の完成度の優先順位は低い。それより大事なのはゲストと会話すること、つまりコミュニケーションだ。ホストの私が料理にかかりっきりになっていたら会話ができないし、ゲストにも気を遣わせてしまう。本末転倒なのだ。

そこで登場するのがオーブンである。オーブンに材料を突っ込めばあとはお任せ、という料理は結構ある。新居で使うオーブンレンジを、お任せ系を得意とするヘルシオにこだわったのはそれが理由なのだ。

海外のキッチンには必ずオーブンがあるが、日本人はオーブンを使う人があまりおらず、このマンションにも魚焼き器(いらん!)はあるけどオーブンはついていない。よく、オーブンレンジを買ってもほとんど電子レンジとしか使っていないという話を聞くが、それはもったいない話。使いこなせば時短家事に欠かせないツールなのだ。

最適メニュー「ごろごろ野菜グリル」

さて、ファーストゲストに何を出すか。ヘルシオのメニューブックを見ていたら、野菜とチキン、ソーセージを切って焼くだけの「ごろごろ野菜グリル」なるメニューがあったので作ってみる。野菜を適当に切って、下味をつけてオーブンにお任せすると、40分ぐらいでできあがる。

出来たら天板ごとテーブルにどーんと出す。
野菜たっぷりでヘルシー、見た目も豪華。ワインや泡にめちゃくちゃ合うおつまみ。それなのに、具材を用意して切るだけの手間だ。

下味はオリーブオイル、塩、コリアンダー、黒こしょう。

野菜の美味しさが引き出された料理、泡が進みます。

家に人を呼ぶと何がいいのか

ゲストのマッキーは、実は筋金入りの「人招き」のプロ。「日本バルコニスト協会」の会長なのだ。数年前、コロナでステイホームの時期に、自宅マンションがオープンなスペースになることに気づき、人を家に招いてバルコニーで食事を始めた。それ以来、外食ができないあの時期に、なんと数百回に及ぶバルコニストの会を自宅で開催、仕事上のコミュニケーションを加速させ、人間関係を広げていった。

バルコニストのメニューは、たこ焼き器で作るアヒージョなど、ホストがキッチンに立たずにワインや泡に合うものと決めていて毎回同じだけど、人が違うから問題はない。ここは「仕組み化」の出番なのである。

マッキーと人を呼ぶことの効果について話した。

まず、店で会うよりも人との関係が確実に深まり、仕事にも良い影響が及ぶ。そして人を呼ぶと強制的に掃除をするので家を常にきれいに保てるというメリットも。

それと、外では高くてなかなか飲めないいいワインも、家でなら飲めたりする。ワイン好きにとっては計り知れないメリットなのだ。とはいえ、いわば自炊の進化版なので、外で飲むのと比べてはるかに安い。さらに、余った食材は私の翌日の食事に回せるというエコなメリットもある。

「人を呼ぶ」と「サーキュラー生活」は、実はリンクしているのだ。

今回の「ごろごろ野菜グリル」は定番メニューとして、あともう2パターンぐらいあれば十分。ヘルシオのクックブックを参考にしながら、いろいろやってみようと思う。



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