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「エッフェル塔写真問題」私はこう思う【住んでみた北欧】

海外からの発信の難しさ

今週、SNSで炎上した例のエッフェル塔写真問題は、「海外体験の発信」という自分との共通点があるので、僭越ながら意見を述べたいと思う。

この春からの北欧での見聞をFacebookとnoteで発信してきたのだが、想定以上にたくさんの人が関心を持ってくれた。会う人ごとに「note楽しみにしてます」と言われるし、Facebookでの反響も大きく、先日の誕生日には北欧の投稿について言及してたメッセージが多かった。それは本当に意外だった。

というのは、実は海外ネタというのは反感を持たれやすく発信が難しいからだ。日本で何か問題が起きて、それに対して「海外では〜」と言うと「出羽守(でわのかみ)」と呼ばれ、煙たがれている海外在住者も多い。ほとんどの日本人にとって海外のことは自分の日常とは関係がなく、関心もない場合が多い。せっかく発信しても無視されたり、下手すると今回のように炎上するリスクもある。

しかし、どうも最近はその状況が変わってきたのではないかと思う。

コロナ鎖国を経ての変化

先日、ある会で北欧の話をしてほしいと言われ、20人ほどを前に1時間ほど長期滞在で得たことの話をさせていただいたのだが、皆さん本当に熱心に聞いてくれた。それだけでなく、「いい話だった」と感謝までされたのである。「なかなか北欧なんて行けないから、すごく勉強になった」と言われた。

そうなのだ。コロナの3年間、日本は鎖国状態にあり、海外に行きたくても行けなかった。そうこうするうちに円安が進み、原油高で飛行機運賃も上がり、コロナ開けは海外旅行も出張もかなりハードルが上がった。リアルな海外情報が得にくくなり、「海外に比べて日本は今どういう状況なのか」「どんな立ち位置なのか」を判断しにくくなり、なんとなく不安を持っている人が多いのだと思う。つまり、この分野はいま、情報の需要に供給が追いついていない。私のレポートへの皆さんの反応を見ていると痛切にそれを感じる。

そして皆が求めている海外情報とは、すごいスピードで変化する世界においての日本以外の国の状況であり、ニュースで流れたことの裏付けであり、日本とのカルチャーギャップ、つまり「生活に関係すること」であって、観光地についてではないのだ。

そしてもう一つ。客観性が求められるニュース記者ではなく個人の場合「誰が、どの立場で、どんな視点で」の発信であるかを見られているし、期待もされている。

どう発信すれば炎上しなかったのか

そういう目で今回の自民党女性局のパリ研修旅行の発信を見ると、代表の松川るい氏が認めるように発信の仕方が非常に悪手だった。研修もしっかりされていて、レクチャーを聞いている写真もあるが、それだけでなく、女性政治家ならではの視点でのパリの街のスナップなどもコメントつきでアップしてほしかったし、暴動のあった場所には行かないまでも、今どういう状況か、当時どうだったかなどの生の情報を現地の方に聞いて言及してほしかった。誰も政治家に観光スポットでの「女子旅写真」など期待していないのだ。

Twitterで発信したのも炎上の原因になったと思う。これがnoteやFacebookであれば、たくさんの写真を入れられて、その中に一枚ぐらい女子旅写真が紛れ込んでいてもそこまで騒ぎにはならない。ただし、たくさん写真を入れるなら、その7割から8割は研修中や視察の写真であるべきだろう。

それにしても、現地はみんな夏休みに入っていてキーマンがつかまらないであろうこの時期をあえて研修に選んだのは何故か。それも知りたいところだ。

気になる論点のズレ

炎上後の女性局の弁明が「自費負担なので」ということでお金の問題にすり替えられているが、これはお金の問題ではない。政治家は国民の代表なのだから、税金で行ってもらっていい。そのかわり、それなりのアウトプットが求められる。今後の政策にどう影響するのか、これからに期待したい。

ちなみに、私としては炎上したエッフェル塔のお三人の写真よりも、「女性局」とピンクの横断幕で参加者全員で撮った別のエッフェル塔写真が気になるし、恥ずかしい。「女性」と区別して大々的に強調することがそもそもダイバーシティから離れており、逆に遅れているなあと感じてしまうからだ。


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