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海外大学のサマースクールに申し込んだ話。

この夏、ユトレヒト(オランダ)のサマースクールに行くことにした。といっても1週間のみ。先ほど申し込みを済ませたばかりだが、自分にしては珍しくいろいろ悩んだので、その一部始終を書いてみる。ミニ留学とも言える海外のサマースクールに興味のある方の参考になれば幸いだ。

そもそもサマースクールって?

海外大学のサマースクールは、夏休みの授業がない期間を利用して、テーマごとに受講生を募集するもの。自分が学びたいテーマを日本にはない視点で学べるというところがすごくいいと思う。

大学によってスタイルも様々で、教室の講義だけのところもあれば、3日間の船旅なんてのもあるし、グループで企業訪問して提案書を書かせるなんてところも。受付は申し込み順のところもあれば、モチベーションレター(願書)を書かせて選抜するところも結構多い。期間も様々で、短いものでは数日間、多いのが1週間〜2週間、1ヶ月を超える期間のものもある。オンラインとオフラインの合わせ技も。自分の興味や予定に合ったところを探すのもまた楽しい。

サマースクールの探し方

私の場合、昨年フィンランドに滞在していたとき、アアルト大学のサマースクールでサーキュラーエコノミー講座をやっていたのだが、知らなかったために申し込みが出来ず受け損ねたという苦い経験があった。知らないというのは損失だなあとその時に痛感。そこで今年は春ぐらいからちょっと意識していろいろ探してみることにしたのだ。

サマースクールは早いところでは年明けぐらいから情報を出している。また毎年だいたい同じなので、公開されている昨年のレポートなどが参考になる。気になる大学のウェブサイトをチェックしたり、自分のテーマ、例えば私なら「Circular Economy Summer School」で検索するといろいろヒットしてくる。英語を読むのが面倒な方は、翻訳ソフトをブラウザに入れておけば日本語で読める。便利な世の中になりました。

注意すべきは締めきり。7月実施なのに3月締め切り、なんてのもあるので、早めの情報収集がおすすめだ。

「ユトレヒトサマースクール」に決めたわけ

冒頭で伝えた通り、今回オランダの「ユトレヒトサマースクール」に申し込んだ。当初はアアルト大学に再挑戦するつもりだったのだけど、サーキュラーエコノミー研究で有名なユトレヒト大学のウェブサイトをたまたま見ていたら、サーキュラーエコノミー関連の講座が3つもある。そんなサマースクールは他になく、「これだ!」感があった。それぞれ1週間づつ、連続して受けることもできる。連続受講も考えたけど、今の状況で3週間は時間的にも費用的にもちときついので、3週目の「製品イノベーションにおけるサーキュラーエコノミーの応用」(=サーキュラーデザイン)の講座のみ受けることにした。これはまさに今学びたいテーマだったからだ。

昨年オランダでコロナ足止めになった時にユトレヒトには訪れていた。アムステルダムから電車で30分ほど、欧州トップクラスの名門・ユトレヒト大学の存在感が強い落ち着いた街という印象だ。その街で、たった1週間にしてもユトレヒト大学で学べるのなんて最高だ。

しかしよく見てみると、ユトレヒト大学で学ぶわけではないことがわかった。「ユトレヒトサマースクール」というのは一つの事業体名で、様々な講座を、ユトレヒト市内のいくつかの大学で分散的に行うものだったのだ。ユトレヒトだけでなくベルリンやエストニアの大学もあった。

私が受けたい講座は「ユトレヒト応用科学大学(University of Applied Sciences Utrecht)」によるものだった。「応用科学大学」というのはより実践的で即戦力を身につける大学のこと。この大学はユトレヒトサマースクールの事務局的な役割を持っているようだった。

ちなみにユトレヒト大学の提供する講座も見てみたが、アカデミックすぎて私にはとてもついていけそうにもない。しかもがっつりモチベーションレターを提出するもので、そもそもすでに締め切っていた。サマースクールのレベルとしては相当高いと思う。

英語力の問題

留学経験のない私は、英語のみで大学の授業を受けるのはこれがはじめてである。大丈夫なのだろうか。極めて自信がない。

どこのサマースクールでも、求められる英語力が記載してある。それによるとこの講座は「最低B1レベル」とある。B1とは、ヨーロッパの言語基準CEFRのレベルのことで、IELTSなら4.0-5.0、TOEFL iBTなら42−71、日本の英検なら2級相当とのこと。そこはなんとかクリアはしているし、サーキュラーエコノミーの専門用語はだいたいわかるので、ついていけないことはなさそうだ。

そもそも「自信」というやつは自分の基準でしかないので、「なんとかなるさ、たった一週間だし」と考えることにした。

寝袋つき??激安の宿泊施設

意を決してオンライン申し込み。このサマースクール、オプションではあるが宿泊もついている。ユトレヒト市の各地にある学生寮で、夏休みで学生がいないので、空き部屋を利用するらしい。そのためか1週間で200€(現在のレートで約33,000円)という激安価格だ。ホテルだと1泊の価格である。しかも一応個室らしい。

そして目が点になったのは「寝袋を希望する場合は+50€かかります」という説明だった。つまりベッドリネンは提供されないのだ。2つオプションがあって、50€の寝袋か、自分で枕とシーツ類を持ってくるか。すごい。まるでキャンプである。

この年で寝袋は相当きついのだが、ホテル高騰と円安のダブルパンチのヨーロッパで、合わせて1週間250€で泊まれるなんてサマースクールならでは。寝袋を申し込み、保険のためにシーツ類も持って行くことにした。

願書(モチベーションレター)が重要だった

申し込みは、ウェブ上で必要なところを記入して、それで終わりと思っていたら、コースディレクターからメールが来て、「モチベーションをもうちょっと書いてもらえますか。その上で、あなたを我々のグループに受け入れるかどうかを判断します」と言われた。

モチベーションの欄は確かにあったが「簡潔に」とあったので、「EUのサーキュラーデザインを学びたい」とだけ書いたのだ。それでは全然足りなかったらしい。

そこで、サーキュラーエコノミーの論文を書いたことや、このテーマの自分の関わり、この講座に期待することなどを長々と返信した。

無事にアクセプトされ、支払いの段になって「あれ?」となった。請求金額が自分が考えているのと違う。どういうこと?

講座費用は二重価格

このサマースクール、実は二重価格なのである。現在学士、修士、博士課程に在籍している場合は599€。学生以外、つまり社会人はプロフェショナル料金として750€。151€も違う。私は博士課程なので学生料金で受けられつもりでいたら、なんとプロフェショナル料金を課金されていたのだ。

そこでまたメール。学生証も添付して学生価格が適用されるはずなのですが、どうでしょうという内容だ。

結果的には学生価格になったのだが、「こっちにメールしてくれ」と言われたり、そしてそのアドレスが間違っていたりなどいろいろあってやっとこさ支払い完了した。

気づいて修正を依頼しないと150€も多く払うところだった。油断も隙もないというか、日本と違うので常にチェックが必要ですね。

ということで、1週間の講座費用と宿泊合わせて日本円で約12万円。物価高のヨーロッパではほぼホテル代だけの金額だ。結構安く済んだのではないかと思っている。

コースが始まるのは7月22日からだけど、論文の調査でオランダの他の街にも滞在する予定なので、7月後半は再びヨーロッパ滞在になりそうだ。

寝袋で滞在するサマースクール、どうなることやら。その様子はまたこのnoteにて。





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