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北欧のスーパーのレジ袋に書いてあること【住んでみた北欧#11】

北欧は環境保全の先進国であると言われているが、実際に生活をしてみると、本当にそうだなと日々実感している。数日の旅行でも気づくことはたくさんあるが、暮らしてみると細かいことで「あ、なるほど」と思うのだ。

立派なレジ袋が無料

たとえばスーパーやコンビニのレジ袋。日本は2020年7月から有料化が始まり、もう3年になるので、すっかり「レジ袋有料」の頭になっているのだが、こちらではレジ袋は無料だ。レジ横か下に積んであって、自由に使える。しかも、かなりしっかりしたもので、何種類か置いている。中にはデザインされた大きめのいわゆるショッピングバッグも見かけることがある。それも無料なのだ。

このスーパーではレジの下に2種類設置。

日本のあの薄い袋に5円とか10円とかを払っているのに慣れていると、こんな立派なのが無料??しかも使い放題ってエコなのか?と戸惑った。見ていると、買い物客はやはりこれを使っている人が多く、「エコバッグ派」は日本のほうがむしろ多いのではないかと思う。

個性豊かなレジ袋のメッセージ

袋にはフィンランド語で何か書いてある。手元に4種類のバッグがあったのでGoogleレンズで翻訳(日本語だとわかりにくいので英語)してみた。

1,スーパーA(フィンランド)〜使用している再生素材の割合を強調

スーパーA

(翻訳)リサイクル素材90%使用
エコな行動をしましょう。何度も使いましょう、ゴミ袋として使うか、プラスティックごみに分別して捨ててください。投げ捨てはやめましょう。食品の保存に使うのはやめてください。短期間の使用にとどめてください。

90%が再生素材というのはすごいと思う。でも謎なのは「短期間の使用にとどめろ」という指示。流通させてほしい、ということなのだろうか。

2,スーパーB(フィンランド)〜一人称で語り、使い方まで提案

スーパーB

(翻訳)何度も使ってね!
私は80%のリサイクル素材で作られていて、何回もの使用に耐えるようにデザインされています。自転車のサドルカバーとして、汗だらけの服を入れるトレーニングバッグとして、また、丘をすべる時に敷いてもかまいません。ボロボロになってきたらプラスティックごみに分別して捨ててください。そうすれば私は再びリサイクルバッグに生まれ変わります。(ほかの丈夫なバッグの仲間も試してみてね)

個人的にはいちばん面白かったしユーモアがある。内容からすると子どもや若者向けのメッセージなのだろうか。自転車のサドルカバーって(笑)。確かに日本ではそういう使い方しているのを見たことがあるので懐かしい。しかし、こちらは自転車大国だけど、まだ一度もレジ袋をかぶせている自転車を見たことがない。

3,スーパーC(フィンランド)〜国民としての自覚に訴える

スーパーC

(翻訳)フィンランド人は責任を負っています。これは最初のサーキュラー(循環性)のある袋で、これを選んだことはフィンランドの環境とKIERTOKASSI(意味不明)のために良い選択です。

AとBとは全く違うアプローチで、これは完全に大人向けのメッセージでユーモアゼロ。国旗まで印刷してあって、フィンランド人の誇りと自覚に訴えていてちょっと国営の匂いがする(資本関係は調べてないけど)。

4,スーパーD(デンマーク)〜資源節約を訴える

スーパーD(デンマーク)

コペンハーゲンのレジ袋。「当店のプラスチック廃棄物から作られた」というのは本当なのだろうか。大きなチェーン店ならば不可能ではなさそう。

生活の中の環境教育

それぞれの企業の個性が出ていて面白いが、共通の訴求ポイントとしては3つ。
1,再生素材で作られていること
2,何度も使用してほしいこと
3,捨てる際にはプラスチックごみに分別すること

要は「無料で配るけど環境に責任ある使い方をしてね」ということだ。しかし、レジ袋有料の施策のおかげでエコバッグの使用率は断然日本のほうが多いように見える。環境施策はその国の背景によって違うし何をやるにも時間がかかることなので、どっちがどうなのか、単純に比較はできないと思っている。

レジ袋に限らず、スーパーには飲料ボトルのディポジットマシン(カンや瓶を入れるとキャッシュバッグされる仕組み)が必ず設置してあって、リサイクルの現場という感じがする。マシンは子どもを巻き込む仕様になっているのが目につく。生活の中にリサイクルや環境教育が組み込まれているのだ。

スーパー店内にあるリサイクルディポジットマシン。完全に子ども使用だが大人も使える。


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