【ネタバレ有】映画すみっコぐらしの感想・考察~忘れた何かを思い出す〜

!はじめに!

この感想と考察にはネタバレを含んでいます。
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◆映画すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ を見ました

既にSNSやレビューサイトで話題になっているとおり、素晴らしい映画であることに私もとっっっても同意しています。


良い映画のレビューには必ずと言って良いほど、“忘れてしまった何かを思い出させてくれるような映画でした”というコメントを見かけます。
今回私も漏れなくその感想を抱きました。


さて、その上で今回は、私がすみっコ映画を見て思い出した「忘れてしまっていた何か」の『何か』について、考察を述べたいと思います。

◆エンディングに対する違和感

正直な話、映画を見終わった直後の私は、「感動した」「良い話だった」というポジティブな感情よりも、「悲しい」「スッキリしなかった」等のネガティブな感情を強く抱きました。


というのも、今回のハッピーエンドに対して、100%納得できていなかったところがあったからです。


それは、現実世界に行くことができなかったひよこ?に対し、『すみっコ達が想像して実行した、ひよこ?が喜ぶこと(=仲間とおうちを描き加えたこと)』と、
『ひよこ?が本当に嬉しかったこと(=仲間とおうちができたこと)』が、
【偶然】一致したから
【結果的に】ハッピーエンドになったのでは?
という疑念が生まれたということです。
(直後にそこまでハッキリ思っていたわけではありませんが、今冷静に考えるとそんなことを思ってモヤモヤしていたんだと思います。)


エンドロールでは、すみっコの描いた新しい仲間とひよこ?が、楽しそうに過ごしていました。
とてもとても素敵な絵で、それを見てさらに感動して涙腺が刺激されるほど、心温まるエンドロールでした。
ただその一方で、
「幸せそうなひよこ?の姿を見られたからホッとしたものの、もしそれを見ることがなかったら、ひよこ?が本当に喜んでくれたかどうかが分からず、不安な気持ちになっていたのでは?」
そんなことも考えていました。


しかし、たっくさん考察してようやく分かりました。
この違和感は、私のひよこ?に対する想像力の欠如が原因でした。

◆正しくひよこ?に寄り添えていたすみっコたち

すみっコたちが行ったことは、ひよこ?が求めていたことそのものだったんです。
そしてこの一致は偶然ではありません。
なぜなら、すみっコたちの行動は、思いやりから成る“正しい想像力”が生んだものだったからです。


すみっコは皆、ひとりぼっちの経験者です。
だからこそ、ひとりぼっちのひよこ?の寂しさを人一倍理解でき、寄り添うことができました。
再びひとりぼっちになってしまったひよこ?が寂しくならないよう、何をしてあげればよいか、すみっコたちは【すぐに】【正しく】想像できたのでしょう。


お別れして数日後のシーンが、重苦しくなく淡々と、それでいてみんなが楽しそうに描かれていたのは、これが理由なのかもしれないなぁと思いました。
ひよこ?が絶対に喜ぶと分かっていたから、すみっコたちは楽しそうにしていたのです。
思いやりから成る正しい想像力は、相手も本人も周りをも幸せにさせるんですね。
は~、なんて優しい世界。


ということで、「結果ハッピーエンドだったから良かったものの…」なんて考えは、無事払拭されました。
ひよこ?は、きっと今も絵本の中で、新しくできた仲間と幸せに過ごしているでしょう。
今ならもしあのエンドロールがなかったとしても断言できます。いや、あった方が一億倍ほっこりするんですけどもね。何せ可愛い。萌えが渋滞してるイラストが流れるエンドロールまじで尊い。

◆すみっコ映画が思い出させてくれた「忘れてしまっていた何か」の『何か』

さて、冒頭で話した「忘れてしまっていた何か」の『何か』についてです。
それは、『寄り添うということは、正しい想像力を働かせるということ』そして、『辛い経験をした人は、人に優しくできる心を持つことができる』ということです。


人の悩みを思いやるとき、
『自分が相手だったらどうされたい?』を考えるのは容易いけれど、
『その相手が本当にしてほしいことは何か?』を考えるのって、自分が経験していないとなかなか難しいなって最近思います。


辛いことなんて、できたら味わいたくないけれど、でもその経験をしたことで、いつか自分と似たような経験をした人に寄り添うことができる・正しい想像力を働かせて、思いやりのある行動がとれるようになるんですよね。


よく『辛い経験は決して無駄にならない』なんて言われますけど、その経験が『誰かのため』になるという発想を、あまりしてこなかった気がします。だから忘れてしまっていたのでしょうか。辛い経験も人のためになる、なんて考えられたら、少しは自分の心も救われるような気がします。


じゃあ優しくなるためには絶対に辛い経験が必要か?といわれると、そうではないし、辛い思いをした人全員が全員優しい人になれるかと言われると、答えは否です。


何が言いたいかというと、辛い思いをした人は、人に寄り添える気持ちを持っているだけであって、実際に寄り添えるかどうかは、その人次第ってことですね。
今回のすみっコの行動は、彼らの優しい性格があってこそのものです。
私自身も今までに辛い思いをしたことは何度かありますが、その経験を優しさに変えて人に寄り添うことができる人間になりたいもんだと思います。
そう、優しい優しいすみっコたちのように。

◆長くなったけど、とにかくすみっコ最高!イェーイ!

すみっコぐらしの映画でここまで考えを巡らせることになるなんて、当初は全く思っていませんでした。
いや〜あなどるなかれ、すみっコ。笑
私も人生色々あるけど、頑張ろっと。(散々語っておいて締めはなぁなぁ。)

◆そして最後に。

すみっコぐらしの作者であるよこみぞ様、そして映画製作チーム様に心から感謝をいたします。こんなに素敵な作品に巡り会えたことが、私にとって最高の経験です。本当にありがとうございました。
より一層すみっコぐらしを大好きになりました。これからも応援しています!すみっコぐらしフォーエバー!!!

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