見出し画像

2023年の4月の末に、ロンバルディア州のミラノMilanoから、西隣のピエモンテ州に移住した。いずれも北イタリアではあるが、イタリアは州が変われば、言葉もかわりゃ、人も変わる。ピエモンテ州はフランスとの境目にある緑豊かな、食の州。

州都はヘーゼルナッツチョコやカフェ文化が有名なトリノTorinoであり、スローフードが生まれたブラBra、ワインで有名なバローロBarolo、バルバレスコBarbaresco、トリュフで有名なアルバAlbaと美味しい物だらけ。

このブログを書くにあたって、ピエモンテの意味を調べたところ、イタリア語では「山の麓」を意味すると書いてあるではないか!あ~、なるほど。
ピエ=PIEDE 足!、モンテ=MONTE 山!自分のもとの苗字との縁も感じて嬉しい。呼ばれてたのか。

呼ばれてた、、、人生の中でそんな風に感じる事が、1度くらいは誰にでもあるのではないだろうか。その時は分からなかったけれど、後から考えるとそうだったというような。

私はこの州にだけではなく、この引っ越した家にも呼ばれてたと感じている。その理由は、ヨガで言う第3の目のような目がある樹の、足元(ピエモンテ!)にいたこのデアDeaの存在だ。

Dea: Divinità femminile della mitologia classica. Estens. Donna di rara bellezza (di Oxford Languages)神話の中の女性神、類まれない美しさの女性

先のブログにも少し書いたが、私達夫婦は3年ほど、自然の中にある田舎の家を探していた。はじめはバカンスの家として、最終的には移住する家として。なかなか見つからず諦めかけた頃にこの家が現れた。その後は、イタリアにしては驚きの速さの展開で購入まで進む事ができた。

購入までに2度家を見学に来ていたが、私は彼女の存在に気づいていなかった。購入してから、はじめて彼女の存在に気付いた。そして、デアと名付けた。

いつからここに居るのか、誰が置いたのかもわからない。歴史を遡れば、この家は1910年に建てられたそうな。その100年を超える年月の間のどこかで、彼女はここに置かれた。

その存在にはじめて気づいた時に、私は小さく「あ、、」と声をあげた。そういう事か、この家は私を呼んでくれてたんだと。そして「ここに居たんだね」と思った。だから、こんなにも早く事が進んだのか、ありがとう。
そう、私は彼女に既に出会っていた、別の形で。

話は2019年の11月にさかのぼる。コロナ渦のほんの少し前。45歳で転職をしたミラノの旅行会社、いつまでこの仕事を続けるかどうか悩んでいた。50歳を前に焦っている自分がいた。今やっている具体的な仕事は、今後も続けていきたいものなのか。

そんな時に、ドイツに住むアーティストであり友人でもある、のぶこAフースラーゲさんが https://norimaelma.com/

"その人の魂を絵に描くアート"「ブルーミングソウルイメージ」を、ミラノで開催されるという。直感で申し込む。この時に描いてもらった絵がこれ。

2019年11月に描いてもらった絵

びっくりじゃないですか。同じ子ですよね。のぶこさんのアートは描いてもらって解説してもらうものではないので、この絵が何を意味するのかの説明は彼女からはありませんでした。彼女はこのセッションの事を、彼女のブログの中でこう説明しています。

その人の計り知れない可能性を、心の中のその人に向かって
見せてください…! と願います。
そして、見えたものを絵に落とし込みます。

https://ameblo.jp/norinori-norima/

ただこの絵を見た時に、好きだなって思ったことは覚えている。ポジティブな空気を感じたし、これが自分だとしたら、目を大きく開けてしっかり前を見てる気がしたから、未来は明るいのかなって思った。

そしてこの時に、今後どういうことをしたいかって事を、数人の参加者でそれぞれ話した。私が突如、口にしたのは「イタリア語を教えたい」だった。決めていたことでもなかったし、心の奥から沸き起こった明確な思いと言うわけでもなかったのだけど、なんか言わなきゃという焦りもあったような気もするが、とにかく、背中のボタンを誰かに押されたみたいに、ちょっと早口で(恥ずかしかったのだと思う)言った言葉がこれだった。言ったはいいけど、「ほんまかいな」と自分で突っ込みそうなくらいのまだあやふやなものだったと記憶している。

この数か月後に世界はコロナに包まれ、会社員だった私はいきなり自由な時間を持てるようになり、インスタグラムでイタリア語の言い回しを発信し始めるのだ。

その流れから、あの場で口にしたとおり、イタリア語を教え始める。教え始めて気づく、自分の喜びと役に立ちたいという想い。これが使命かもしれないという予感。私の人生の転機が来るという期待。

そして、絵を描いてもらった3年後の同じ11月に、私は今の家の広告を目にしていて、12月には夫と購入を決めていた。デアの存在を知った今、これはもう呼ばれたとしか思えないし、奇跡だ。

現在の夢は、ここからイタリア語を発信することに加えて、ここを、イタリア語学習者が、語学学習の先に訪れる事が出来る場所にする事。イタリアに語学を実践できる場所がある、助けてくれる人がいると思えることで、語学学習のモチベーションを保ち、語学と暮らしを体験しに、ここに来てほしい。

来てくれた人が、体験を通して旅行では味わえない何かを感じて、帰国したら、その思い出が心にあることで、より幸せに毎日を過ごせるような場所にできたら最高だ。

またイタリアで何かを実現したい、暮らすように過ごしたい人にも、この土地を有効活用してもらいたい。

新しいツーリズムの形をつくりたい。供給者と受給者ではなく、来る人も待つ人(私)も、出来ることを差し出して共有できるような、みんなそれぞれが、出来ることを差し出す事で、幸せだなと思える場所。そんなアイデアが、デアの居る家で過ごしていて、頭の中に出てきた。

この想いは、長年の旅行業界での仕事の中で培われたのかもしれない。
得したい、損したくない、
これだけ払ったから見合うサービスしてもらって当たり前、お客様は神様?という、極端に相対する関係性では、本当の幸せをお互いに感じる事ができないってことを知ってしまったから。与えるに徹するだけ、そして与えられるだけだと、どちら側の人も、本当にリラックスして幸せにはなれない。

この場所が、私を含めて、関わってくれる全ての人の「人生を謳歌する」1ページになることを願って、来年には改築を進めて貸部屋を作ります。

デアが守ってくれると信じて。そしてこれを読んで、デアに会いたくなった人、会いに来てね。

さらにこのデアの発見には後日談があります。ある日、イタリア人の友人から連絡がありました。しめ縄を持っていくよと。

彼はここに来るまで、デアの存在は知りませんでした。日本マニアの彼は、しめ縄の神秘性に魅せられて、私たちの家に庭があって大きな木があるのなら、ぜひ手作りのしめ縄をつけさせてと、提案してくれたのです。

それなら、デアの樹にお願いしますと、自然な流れで、デアの頭の上、この樹にしめ縄をぐるっと廻してもらいました。

仏教や瞑想の世界に興味がある彼は、お祈りをしようと私達に提案し、
彼の用意したお経の調べを聞きながら、私、夫、彼の3人で手を合わせたのです。私たちが頼んだわけでもなく、自然にしめ縄とお祈りがやってきて、めでたくデアは神樹の前の神様に崇められた感じでした。彼の事もデアが呼んだのかと思わずにはいられません。

しめ縄の後ろはこんなふうに❤型になっています

イタリア人の夫は、この一連の儀式を見て、consacrare「神として崇める事」されたねえと言ってました。不思議なことと言ってしまえばそれまでだし、何を信じるか、どう感じるかは、皆それぞれでしょう。

私はこの日から毎日、デアにBuongiorno!「おはよう」と言いにいってます。訪ねてきて、デアに挨拶した人は、幸せになれるとか、なれないとか、、、

最後に、アーティストののぶこさん、しめ縄を持ってきてくれたアンドレア、ありがとう❤




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?