HUDで最も重要な10項目と、その使い方
久しぶりの投稿になってしまいました。
皆さんはHUDを使っていますか? これは Heads-Up Display の略で、プレイの戦績やアクションの頻度を自動で記録・表示してくれるアプリのことです。
HUDが出た当時は革新的な発明だったようですが、なんだか最近は影が薄くなっているように感じます。強いプレイヤーの中にも、HUDは使わない方が良いと公言する方も少なくありません。
ただ、実際にアクションの根拠として使うかどうかに関わらず、鍵となる概念を頭の中で整理する上で非常に有用なことは間違いないと思います。テーブルの上で何が起きているのかを理解するためには、やはり共通の言葉が与えられた方が便利です。
今回は、HUDで特に重要な項目についてまとめた記事です。簡単にしか紹介されていませんが、自分自身のプレイを振り返る上できっと大きなヒントになると思います。
2020年6月3日 written by Dan.B
ポーカーで最大限の利益を上げるには、相手にExploitする余地がないか常に探し続けなければならない。その最善の方法は、HUDを使いこなすことだ。
HUD は Heads-Up Display の略で、オンラインゲームで利用される戦略ツールのことだ。対戦相手の統計データをリアルタイムで表示してくれるもので、有名なソフトとして「PokerTracker 4」「Hold'em Manager 2」「DriveHUD」などがある。
HUDを正しく使いこなせば非常に有利にプレイすることができるのだが、それは決して簡単なことではない。どの統計データも解釈が難しく、間違った使い方をしてチップを減らしてしまうことも十分にありうる。
ちょっと怖気づいた人もいるかもしれないが、心配しないでほしい。これから特に重要な10項目について一つずつ解説する。
1. VPIP (Voluntarily Put [Money] Into Pot)
VPIPとは、自分の意思でチップをポットに入れた頻度を示すものだ。レイズとコールの両方を含んでおり、次に紹介するPFRと比較して使用する。これは絶対に必要な項目だ。
6人テーブルにおけるVPIPの標準的な数値は20~30%となる。この数値よりも低ければタイトすぎるし、大きければルース過ぎる可能性が高い。
この数値が信頼性を得るには約300ハンドが必要になる。ただし、あまりに数値がズレている場合はもっと少なくても良いと思う。50ハンドしかなくても、VPIP 70%になっていればルースだと考えて良いだろう。
2. PFR: Preflop Raise
PFRとは、プリフロップでレイズした頻度を示したものだ。オープンレイズだけでなく、3ベット、4ベットなども含まれている。VPIPと組み合わせることで、対戦相手のプリフロップ戦略の概観を理解できる。
標準的な数値は15-25%となる。VPIPと同様に、この数値が信頼性を得るには約300ハンドが必要だ。
3. 3-Bet Frequency(3ベット頻度)
3ベット頻度は重要な項目で、大きな武器になる。プリフロップレンジの予測やディフェンス率を設定する際に役に立つ。標準的な数値は6-10%であり、信頼性を得るには約1,000ハンドが必要になる。
この数値が正常でないプレイヤーに対しては、以下のようにExploitすることができる。
・アグレッシブすぎるプレイヤーが自分の後ろに控えている場合、オープン率を下げてややタイトにプレイする。
・タイトすぎるプレイヤーが自分の後ろに控えている場合、オープン率を上げてややルースにプレイする。
・アグレッシブすぎるプレイヤーから3ベットされた場合、ディフェンス率を上げる。
4. WTSD: Went To Showdown
WTSDとは、フロップを見た後にショーダウンまで到達する頻度を示したものだ。フロップに10回参加して、そのうち4回でショーダウンまで到達すれば、WTSD 40%と表現される。
標準的な数値は27-32%となる。これより小さければフォールドしすぎているし、大きければコーリング・ステーションだということだ。特に、W$SDやWWSFと組み合わせることで大きな効果を発揮する。
プリフロップの段階でほとんどのハンドが降りるため、フロップをみる標準的な頻度は約17%しかない。よって、この数値が信頼性を得るには約8,000ハンドが必要になる。
5. W$SD: Won Money At Showdown(ショーダウン勝率)
この項目は単体ではあまり意味がなく、WTSDと組み合わせて利用するものだ。標準的なW$SDは49~54%になるのだが、その適正値は相手のデータによって大きく変動する。
例えば、WTSDが極端に低い相手の場合、W$SDは自然と大きくなる。ショーダウンまで滅多に行かないプレイヤーは、当然強いハンドでしか勝負しようとせず、ブラフも少ないからだ。逆も同様で、WSDが低い場合は弱いハンドでコールしすぎていたり、ブラフが多すぎる場合が多い。
信頼性を得るために必要なハンド数は、WTSDと同じく約8,000となる。
6. WWSF: Won When Saw Flop
プレイヤーがフロップを見た後に、どれくらいの頻度でポットを獲得しているかを示している。標準的なWWSFは約45~53%となり、この数値より小さければタイトで、大きければルースとなる。
この項目も単体では意味をなさないので、いくつか例を挙げてWTSDやWSDと組み合わせて考えてみよう。上手くいけば、相手の致命的な弱点を導くことができる。
【WTSD 32, WSD 51, WWSF 46 の場合】
このプレイヤーはWTSDが32%とやや高い数値を示しており、ショーダウンまで到達しやすいようだ。しかし、それにしてはWSDが51%と若干低く、その勝率が良いわけではない。またWWSFも小さいため、ブラフで相手をフォールドさせて勝つ回数も少ないはずだ。これらの理由から、このプレイヤーはコーリング・ステーションだと思われる。
どのくらいルースにコールするのかは、さらにVPIPが参考になる。VPIP 40%と非常に高ければ、たくさんのハンドでフロップまで参加して、ポストフロップではあまり降りないプレイヤーだとはっきりわかる。このようなプレイヤーに対しては、ブラフを減らし、シンバリューも狙いに行くExploit戦略が良いだろう。
【WTSD 26, WSD 56, WWSF 44 の場合】
WTSDが26%しかなく、このプレイヤーは滅多にショーダウンまで行かないらしい。また、WWSFも44%と低いため、ブラフでポットを獲得している訳でもない。WSDが56%と高いことからも、非常にタイトなプレイヤーで、ポストフロップでフォールドしすぎていることがわかる。
【WTSD 30, WSD 52, WWSF 49 の場合】
VPIPが適正値であることが前提だが、このプレイヤーはやっかいな相手だ。WTSDが適正値であり、フォールドしすぎていることはない。WWSFも高く、アグレッシブにブラフでもポットを獲得している。このような相手に直面したときは、難しい決断を突き付けられることが多くなるはずだ。
7. Fold to 3-Bet After Raising
プリフロップレイザーが、3ベットに対してフォールドする頻度を示している。
この項目を設定する際に、単なる「Fold to 3-Bet」という項目も隣にあるはずだが、間違ってこれを選ばないように注意しよう。これはプリフロップレイザー以外にも、3ベットに対してフォールドしたすべてのアクションを含むためあまり役に立たない。
さらに、この「Fold to 3-Bet After Raising」は、イン・ポジション(IP)にいる場合と、アウト・オブ・ポジション(OOP)にいる場合に分けて表示すると良い。3ベットのサイズが同じだと仮定すれば、実現できるEquityが大きくなるでの、通常はIPの方がOOPよりもフォールド率が低くなる。
標準的な数値はIPの場合で40~45%、OOPの場合で45~50%になる。信頼性を得るには約1,500ハンドが必要だ。
8. Preflop Squeeze(スクイーズ率)
スクイーズとは、オープンレイズに誰かがコールした後で、さらに後ろからレイズを仕掛けるプレイだ。標準的な数値は7-9%になる。もし
12%ほどまで高くなっているプレイヤーがいたら、こちらもより高頻度にディフェンスしなくてはならない。
あまり頻繁に起こるシチュエーションではないので、この数値が信頼性を得るには約3,000ハンドが必要になる。
9. Flop C-Bet(フロップCベット率)
Cベット率は、シングルレイズポット(SRP)と3ベットポット(3BP)に分け、さらにIPとOOPに分けて表示する必要がある。
これは非常に複雑なテーマで、状況によって標準的な数値が大きく変わりうる。ポジションによってCベット率を変えるべきだが、その頻度を上げる戦略もあれば下げる戦略もあり、どちらが良いとは言えない。今回は詳しく説明するのは止めておこう。
信頼性を得るために必要なハンド数は、その複雑性から膨大な数になってしまい、少なくとも1万ハンド以上にはなると思う。したがって、この項目に関してはそれほど厳密にハンド数を重要視すべきではない。大切なのは、相手の戦略がどのようなものか全体像を把握することだ。
10. Fold to Flop C-Bet
Cベットに対するフォールド率も、Cベット率と同様にSPRと3BPに分けて、さらにIPとOOPに分けて表示しよう。適切なフォールド率はCベットのサイズによって変動するため正確に追い求めるのは難しいのだが、一般的には50%以下になるのが良いと思われる。
この項目も、信頼性を得るには膨大なハンド数が必要となるため、あまり重要視しすぎるべきではない。ベットサイズによって、大きく変動することになる。
まとめ
HUDに必須の10項目(細かな分類を含めれば18項目)を紹介した。
しかし、最後に言っておかなければならないことがある。それは、HUDを過剰に信用しすぎないようにすることだ。サンプルサイズが小さいと間違った結論に至ってしまうことも多々あり、ひどいプレイを続けてしまうことになる。
また、サンプルサイズが十分にあったとしても、強いプレイヤーは相手によってプレイスタイルを使い分けている。そのHUDの数値が、自分に対して行われている戦略を反映しているという保証はない。
それでも、この記事はきっとオンラインだけでなくライブプレイでも役に立つ内容になったと思う。ここまで読んでくれてありがとう!
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記事は以上です。基本的な項目ばかりでしたが、僕はあまりプレイ中に意識できていない部分もありました。
アクションの根拠にするだけのデータを集めるのは大変ですが、自分のプレイが標準的かどうかを知ることから使い始めるのが良いと思います。
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