Equity Realization (エクイティの実現)
「Equity Realization」という言葉、みなさんご存じでしょうか? 一時期はよく話題になっていたような気がしますが、最近はあまり聞かなくなったような気がします。
「Equity」って、明確な数字が出ますから心強い頼もしい感じがしますよね。でも、これを無防備に信頼しすぎていると、間違った選択のもとになりかねないようです。
ポーカーは数字と戦っているのではなく、目の前の相手と戦っていることを思い出させてくれる記事でした。
それでは、どうぞ。
Equity Realizationがプレイに与える影響
2018年9月25日 written by Dan.B
あなたもこれまで、Equity Realization(エクイティ・リアライゼーション)という言葉を聞いたことがあるかもしれない。UpSwing Pokerの記事でもたくさん使われてきた言葉だ。しかし、もしまだその意味や使い方を知らなければ、今こそ学ぶ時だ。
Raw Equityとは?
まずは、Equity Realizationについて理解するために、Raw Equity(生のEquity)について理解する必要がある。
Raw Equityとは、相手のハンドレンジに対して、ある特定のハンドが持つポットの配当率のことだ。例えば、あなたがAKs、相手が22を持っているとき、あなたのAKsが持つRaw Equityは約50%ということになる。
Equity Realizationとは?
一方でEquity Realizationとは、Raw Equityを基本として、ポストフロップをプレイする上での重要な要素を考慮して期待されるポット配当率を意味する。
つまり、どれくらいショーダウンまで到達するか、それまでにブラフされるか、ブラフを仕掛けるか、といった要素を含めた上でのEquityということだ。
例えば、プリフロップの段階で相手のハンドレンジに対して40%のRaw Equityがあるとしよう。ポストフロップの要素を考慮すると、そのうち75%しか実現できないと想定される場合は
Realized Equity = 40% × 75% = 30%
と表現される。Raw Equityのうち、3/4しか手に入れることができないということだ。ただし、Realized Equityを正確に計算することは不可能に近いということに気を付けてほしい。私たちにできることは、それを推測することなのだ。
どのようにRealized Equityを推測するのか?
1. Position
Realized Equityは、IPであればより大きくなり、OOPであればより小さくなる。
IPにいるプレイヤーはすべてのストリートで最後にアクションを行うため、より多くの情報をもとに正確な判断ができ、バリューとブラフを効果的に使うことができる。
2. Playability(プレイヤビリティー)
Playabilityには3つの一般原則がある。
① ハンドが強いほど、より多くのEquityを実現できる。
② ハンドがよりコネクトしているほど、より多くのEquityを実現できる。
③ スーテッドハンドの方が、オフスートハンドよりも多くのEquityを実現できる。
原則①は自明の事実だと思う。AA、AKなどの強いハンドを持っていれば、ショーダウンまで到達することが多くなり、その分Equityを実現できることになる。
原則②と③も同様で、ショーダウンまで到達してEquityを実現できる可能性が上がるからだ。コネクターやスーテッドハンドの方が、ストレートやフラッシュ、そのドローハンドなど、フロップで高いEquityのハンドになりやすい。
例を挙げてみよう。下の図は、同じ「76」というハンドをスーテッドとオフスートに分けて、Flopzillaというソフトで解析したものだ。
フロップでヒットする確率は、「76s」では62.4%であるのに対して、「76o」は55.9%しかなく、フラッシュを完成させる可能性の度合いから6.5%の差が出ている。
次に、スーテッドコネクターとギャッパーを比較して、Connectivityがどれほど影響するのかをみてみよう。
フロップでヒットする確率は、「87s」では62.4%であるのに対して、「85s」は57.1%しかない。ストレートを完成させる可能性の度合いが異なるからだ。
3. Stack Depth(スタックの深さ)
おおまかな表現ではあるが、有用な指標として、Stack-to-Pot Ratio (SPR) が高いほど、IPのプレイヤーがEquityを実現しやすくなる。
さらに、スーテッドハンドやコネクターであれば、強い役を完成させたときに大きなポットが取れるため、SPRが高い方がEquityを実現しやすくなる。
4. Range Advantage
ハンドレンジ全体が強いプレイヤーの方が、Equityを実現しやすくなる。ハンドレンジの弱いハンドでもアグレッシブにプレイができるため、中途半端な相手のハンドを降ろすことができるからだ。
5. Skill
スキルには2つの要素がある。
《① 相手のスキル》各ストリートで相手がプレッシャーに対してどれくらい適切に対応できるかという問題だ。例えば、相手のCベット頻度が少なければ、こちらはより多くのEquityを実現できることになる。
《② 自分と相手のスキルの差》あなたのアクションが適切であれば、より多くのEquityを実現できるはずだ。Exploitを考えるときも、相手の戦略、リーク、それに対するカウンター戦略を理解することで、GTOに沿って戦うよりも多くのEquityを実現できるだろう。
結論
Equity Realizationは、高い頂を目指すプレイヤーにとっては必要不可欠な非常に重要な概念の一つだ。Raw Equityだけでなく、Equity Realizationを考慮しなければ、本当はEVマイナスのアクションを行っているかもしれない。
大切なことだが、この記事を読むだけではなく、自分自身でしっかりとこの概念について考えなくてはならない。この記事は単なる導入でしかなく、学習する上でのガイドをしているに過ぎない。
読んでくれてありがとう!
あと、Equity Realizationについては、この他にも「Equity Denial」についての記事も読んでみてほしい。きっとライバルより優位にプレイできるようになるはずだ。
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翻訳は以上です。次回は最後におススメされていた「Equity Denial」の記事を翻訳する予定です。
ポーカーは本当にとらえどころない複雑なゲームですが、その中でも「Equity」は数少ない信頼できる明確な指標だと思っていました。でも、それも結局は様々な要素によって大きく変化するものだったんですね。
座学ばかりだとつい忘れてしまいがちですが、あくまでポーカーは対人ゲームだということを常に心に留めておきたいものです。
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