ポーカーでベットする理由
「なぜ、私たちはベットをするのか?」
ポーカーを始めたばかりの方にとっては簡単に見えて、一生懸命取り組んでいる方には難しく見える......面白いテーマですね。
高名なLillianさんがこのテーマについてすでに記事を執筆されています。僕も何度も読み返していますが、やっぱり抽象的な概念を理解するのは難しいですね。
そういうときは、同じテーマについて他の人が書いたものを読むのも良いかもしれません。間違った内容の記事に出会ってしまうリスクはもちろんありますが、難しいテーマで頭を悩ませ続けてポーカーが嫌になるより建設的なようにも思います。
この記事も、短い文章で具体例を出しながら簡潔にまとまっています。ポーカーに限らず、成長に悩んだときには立ち止まって原則に立ち返ることを心がけています。僕もこれからこの記事を何度か読み返すことになると思います。
それでは、どうぞ。
ポーカーでベットするたった2つの理由
2019年5月29日 written by Dan.B
「なぜ、私たちはベットをするのか?」
ここ数十年、この疑問がポーカーのトッププロ達を悩ませ続けてきた。かの有名なDavid Sklanskyは、この謎に包まれた疑問への足掛かりとなる答えを示した。
1. 強いハンドを持っているときに、相手の弱いハンドからバリューを得るため。
2. 弱いハンドを持っているときに、相手の強いハンドに対してブラフするため。
ほんの数年前まで、この2つがベットする理由だというコンセンサスがあった。しかし、様々な計算ソフトの発展に伴い、これらの簡潔な分類ではベットする理由を正確に説明できないことがわかってきた。
私が考えるに、ベットする真の理由に最も貢献したのは、2017年にMattew Jandaによって発表された「No-Limit Hold’em for Advanced Players: Emphasis on Tough Games」である。それによると、ベットする真の理由は、以下の2つである。
1. 勝利したときに得られるポットをより大きくするため。
2. 相手のハンドが持つEquityを実現させないようにするため。
今まで考えられてきた理由とは違い、この2つは相互排他的な関係ではない。ベットする際のベストな状況というのは、これらの理由が両方とも当てはまる状況を指すのだ。
例を挙げて考えよう。
【プリフロップ】ブラインド 1/2点のリングゲーム。あなたはBTNからオープンレイズして、BBにコールされた。
【フロップ K♢ 6♡ 4♣】BBはチェックして、あなたの番だ。
ここで、あなたのハンドが「8♡8♠」である場合と、「Q♣Q♠」である場合に分けて考えよう。
BTNのCベットに対して、BBは比較的広いハンドでコールしてくるだろう(「AX」「QX」「スモールペア」など)。どちらの場合も、これらの弱いハンドからバリューを取ることができる。つまり、大きなポットで勝利するためにベットするという、1つ目の基準は満たしていることになる。
しかし、2つ目の基準に関しては話が変わってくる。「88」でベットした方が、より多くのBBのEquityを否定することができるのだ。
BTNのCベットに対してBBがフォールドするのは、「T9」などのまったくボードに絡んでいないハンドや、「Aハイ」「Qハイ」が予想される。もし、BTNが「QQ」を持っていた場合、これらのハンドのEquityは非常に低いものになる。バックドアでよほど幸運に恵まれない限り、BBがポットを得ることはないだろう。
しかし、「QQ」でCベットせずにチェックに留めれば、BBはターンやリバーで何かしらヒットしてバリューを引き出せるかもしれない。フロップでチェックに留めることで相手がブラフしてくれるかもしれない。相手からバリューを引き出すチャンスが増えるのだ。
一方、BTNが「88」を持っていた場合、BBがCベットに対して降りるハンドはかなりのEquityを保っている。例えば、「QTo」は「88」に対して27%のEquityを持っており、これをフォールドさせるのはBTNにとってかなり喜ばしいことだ。もっとわかりやすい状況だと、トップセットに対してナッツフラッシュドローが持つEquityが約27%だ。
ベットすることで、Equityを持つハンドをたくさんフォールドさせることができる。相手のハンドが後のストリートで発展する可能性がなくなり、またスケアカードを利用してブラフする機会も奪うことができる。
これらの理由により、「88」の方が「QQ」よりもベットに適していると言える。
GTOソルバーでも解析してみよう。下の図は今回のシチュエーションの解析結果で、アクションの大半を占める「BET 16」は33%ポットベットを意味している。どちらも高頻度でベットしているのだが、やはり「88」の方が「QQ」よりもベット頻度が高いことがわかる。
結論
ベットする2つの理由を解説してきた。あなたがこれからすべきことは、すべてのベッティングアクションに対し、これらの2つの理由が当てはまるかどうかを考えることだ。ちゃんと練習すれば、自然とかなり正確な判断力を身に付けることができるようになる。
このテーマについて書くのは楽しかった。みんなの役に立ってくれたら嬉しい。
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翻訳は以上です。
やはり、直観とは大きく異なるプレイが正しいことは往々にしてあると思いました。経験則ではなく、ポーカーの基本原則に立ち返ることは、常に心掛けておきたいものです。
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