見出し画像

Equity分布と、その重要性

 久しぶりの投稿になってしまいました。今年に入ってTED talkの翻訳チーム全体が休止しているので、その間はポーカーの記事を翻訳することにしました。

 前回のくまぽかで、「Equity」という言葉を使ってハンドを議論しているのを耳にしました。

 でも、「Equity」って最初はなんとも理解しがたい概念ですよね。いろんな方のお話を聞いてみると、どうもただの「勝率」と考えるのはシンプルすぎるようです。ハンドレンジ全体で考える必要があるようですが、それを具体的にイメージして戦略に活かすのは、僕もまだ苦戦しているところです。

 先日、UpSwing PokerのブログにちょうどEquityについての記事がアップされました。Equityについての考え方を、より正確に理解するのにぴったりだと思ったので、共有します。

 それでは、どうぞ。

Equity分布とは?その重要性とは?

2021年2月23日 written by Dan. B

 毎年毎年、ポーカーがタフなゲームになってきていることは疑いようもない事実だ。現代の戦略の中には、ポーカーブームの絶頂期では聞いたこともなかったような概念がたくさんあり、その1つが「Equity分布」だ。

 もしあなたがGTOやそれに近い戦略を目指しているのなら、Equity分布を理解することは必要不可欠になっている。

 もし、これを読んで難しすぎると感じても心配しないでほしい。ポーカーの概念という樹があるとすれば、これは高いところにある果実のようなものだ。この果実を無視したとしても、きっとあなたのゲームで稼ぎを減らすことにはならないだろう。

画像4

1. Equity分布とは?

 Equity分布とは、あるハンドレンジの中でハンドのEquityがどのように分布しているかを示したものだ。

 X軸はレンジに含まれるハンドを示しており、Y軸は相手のハンドレンジに対して特定のハンドが持つEquityを示している。

 Equity分布のグラフには2つのタイプがあり、それは「リニア(直線的)」であるものと、「ポラライズ(両極化)」されたものだ。それぞれ例を見てみよう。

2. リニア(直線的)なEquity分布

 Equity分布がリニアであるということは、下の図のようにハンドごとのEquityがハンドレンジ全体にとても均等に広がっているということだ。これはフロップの段階でよくみられるもので、ハンドレンジの中にはバリューハンドもあれば、マージナルなハンド、セミブラフ、エアも含まれている。

画像1

・下位20%のハンドのEquityは、25-40%の間にある。

・ちょうど中央付近のEquityは約50%になっている。

・上位ハンドのEquityは80-90%の間にある。

 このような特徴が、均等にEquityが分布しているということだ。

3. ポラライズ(両極化)されたEquity分布

 ポラライズされたEquity分布はまた違ったタイプのグラフになり、下位33%から上位33%のEquityが急激に変化する。これはリニアなEquity分布とは対極に位置するものだ。

 以下のグラフはとても良い例で、リバーでのベッティングレンジを示している。Equity 0%であるブラフと、高いEquityを持つバリューベットで真っ二つに分かれている。下位33%のハンドはEquityが低く、上位33%は100%近いEquityを持っている。これがポラライズされているということだ。

画像2


4. なぜEquity分布が重要になるのか?

 ここで難しい概念が必要になる。ただ、難しいということはあなたの理解を超えているということではないから、あまり心配しないでほしい。この概念を理解するためには、まずは他の基本的な概念を最初に理解する必要があるというだけだ。

 上で示したグラフを見るだけでは、私たちがどのようにプレイすべきかということまではわからない。しかし、自分と対戦相手のEquity分布を互いに比較することで、戦略を形成するための重要な情報を手に入れることができる。

 例として、BTN vs BB のSingle Raised Potを考えよう。あなたはPreflop Raiserで、イン・ポジション(IP)にいるとして、以下の2つのフロップを比較する。

「Q♠ 8♥ 3♦(ドライボード)」「8♠ 7♦ 6♥(結びつきの強いボード)」

 赤い線はBTNのEquity分布、緑の線はBBのEquity分布を示している。

画像3

 これらのグラフから主に2つの特徴がわかる。

① IPにとって、「Q♠ 8♥ 3♦」の方が「8♠ 7♦ 6♥」よりも有利である。「Q♠ 8♥ 3♦」ではEquity分布全体を通してOOPとIPの間にEquityの差があるが、一方で「8♠ 7♦ 6♥」では互いに近接したグラフになっている。

② 「Q♠ 8♥ 3♦」では、上位20%のハンドでIPとOOPの間に非常に大きなEquityの差がある。しかし、「8♠ 7♦ 6♥」では上位ハンドでもEquityに差がほとんどない。

画像5

これらの特徴がどのように戦略に影響するのか?

 Equity分布の特徴に合わせて、ベット頻度やベットサイズを考えよう。

 例えば、2つのレンジの間に広く大きなEquityの差がある場合、有利な側のプレイヤーはベット頻度を上げるべきだ。

 フロップではEquity分布の差が大きくなるほど、IPのプレイヤーはよりアグレッシブにプレイできる。単純に相手のレンジにはそれに対抗できるハンドが含まれていないからだ。

 これらは「Q♠ 8♥ 3♦」のフロップでみられた特徴だ。Equity分布の間に広く差が開いており、その結果として「8♠ 7♦ 6♥」よりもIPのCベット頻度が上昇することになる。

 また、このように上位20%のハンドに大きなEquityの差がある場合、有利な側のプレイヤーはより大きなベットサイズを使うべきだということだ(ナッツ・アドバンテージ)。ちなみに、これはリバーに到るまでのどの段階にも当てはまる事実である。


まとめ

 今回の記事は、Equity分布と戦略への応用に関する完璧な説明にはなっていないかもしれない。しかし、汎用性の高い強固な基礎知識として、様々な複雑なシチュエーションを理解する助けとなるだろう。

======================

 翻訳は以上です。しばらくEquityに関する記事に集中して続けてみようと思います。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?