エリザベス・神乃介(オス11歳)
エリザベス・神乃介
何を隠そう我が家の愛猫の名前である。
頭おかしいのかとよく聞かれるが、めちゃくちゃに真剣である。
どうしてこうなったとも聞かれるが、ただ喧嘩多き幼少期に、姉がエリザベスと名付けたく、わたしがしんのすけ(漢字は後付け)と名付けたく、殴り合いの喧嘩を止めるために母の提案により合体してこの名前になったのだ。
さて、わたしは猫の話は滅多にしない。というのも猫を飼った(正確には里親で譲り受けた)小3の頃に嬉しすぎて1ヶ月他の話を全て置き去りにし、猫の話しかしなかった時期があった。今思うと気でも狂っていたと我ながら思う。
寝ても覚めても猫のことで頭はいっぱいである。
いわゆる人生初めての推しの誕生だ。
そんなわたしを母は放っておかなかった。
「一つの話(猫)しかしないと友達につまんないやつだとおもわれるぞ」
そう言い放たれたのだ。わたしを傷つけることなど滅多にしない母からの言葉はわたしを本気で「それはまずいのではないか?」と気付かせてくれた。
それからは無事に他クラスに好きな男の子ができたこともあり、猫への熱はいい具合に冷め、周りの人に猫元気?と言われると自慢する程度になった。
さて前置きが、どこぞの前座で空気を読まず何分もネタをする芸人ほど長くなってしまった。
〜本題〜
猫は頭がいい動物である。実際うちの猫は相当奇異な名前であるが、「しんのすけ」「エリ」「にゃごにゃご」どれで呼んでも全て自分のことだと理解している。天才じゃないか。
そんな天才猫とわたしは出会ってかれこれ11年になる。我が猫は、わたしのことを育てた張本人(張本猫)とでも言わんばかりに毎日わたしが寝るまでそばで見守っている。
また思考回路が似ているのか、1人になろうと思って入る部屋に絶対的に先客として佇んでいるのである。わたしがどこの部屋で歌っていてもうるさいぞお前。という顔でわたしの前に現れ「ニャア」となくのだ。
いつも外に出る時手助けしてやってるだろ、わたしだって好きで歌ってるんだから見逃してくれよ。といいたいが猫にそんな長文は通じるわけもない。
何はともあれコロナ禍で猫といる時間がぐーんと長くなった。家を開けることが多かった分今一緒にいる時間が長く嬉しそうな猫を見るのは悪くないものだ。
11歳は人間で言うと60歳ほどだと言う。歯も抜け、1日のうちほとんど眠っている猫を見るとただならぬ恐怖が襲ってくる時もある。
ただ抱きしめながら思うのだ、その寝顔が幸せなものであるように、わたしに与えてくれた温かい気持ちをわたしもあなたに返したいのだと。
その世界で1番可愛い顔、寝顔、鳴き顔、あくびをする顔をわたしはこれからもずっとそばで見守っていたい。
わたしはこの猫からたくさんの愛をもらったのだとしみじみ感じながら今日も眠るまで見守られるのであった。
ではまた。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?