熊野通信アーカイブス(その壱):熊野はグー・チョキ・パーの仕組み
熊野には「熊野三山」と言って、熊野本宮大社・熊野那智大社・熊野速玉大社の三つの神社があります。その仕組みは、じゃんけんのグー・チョキ・パーで表すことができます。
まず本宮にある熊野本宮大社が「チョキ」を表し、これから熊野三山を巡る「自分の再生の旅」の無事を祈ります。次に、熊野古道の大雲取り越えを通り、那智大社に参ります。那智大社は「パー」を表し、自分の魂を開く(こころを開く)と言う意味があります。そして、開いた魂に途中魔が入らないように、寄り道せずに急いで新宮にある熊野速玉大社をめざします。熊野速玉大社は「グー」を表し、魂の結び(想いを結ぶ)を意味しています。無事にこころが再生できたところで、もう一度熊野本宮大社に戻り「チョキ」で、自然に生かされている自分の生命の再生に感謝。
このように、熊野三山は「グー・チョキ・パー」の仕組みになっており「三位一体」を表し、グーもチョキもパーも、そのどれが一番強いと言うことや、一番弱いと言うこともなく、ひとつの自然の仕組みであると言う事を教えています。また、その再生の仕組みのスイッチに当たるのが、熊野三山の奥宮に当たる海抜1,076mの紀伊半島中央の玉置山にある玉置神社なのです。
自らを離れて自らを見つめ直す・・・現代熊野詣で
今、私たちの特にビジネス社会の一般的な社会通念は「より多くのものを所有し」「より多くの物を作り」「より多くの富を蓄え」「より多くの人間を支配する」者が、優れた人間(=成功者・勝ち組)とする考え方が定着しています。
さらに今や、個人の生き方・価値観までもが、この「我れ良し」や「競争勝敗」の考え方で行動するようになっており、その結果、人間の勝手により、かけがえのない地球の環境破壊がどんどん進み、自らの生存環境さえ失う可能性が出てきています。この事は身近には、昨今の日本各地の異常高温や台風の被害、世界規模の大雨・大洪水・大地震・干ばつ・森林消失・砂漠化等の気象異常を見ても、容易に現実問題として、誰もが瀬戸際に立たされている事が想像つくのです。
これは、意志ある地球が私達に従来の「考え方・価値観」の転換と「生活行動」の見直しを迫っていると言う事で、「自然の理」に添った生き方を発見し、本質に目覚め生命を再生していかなければ、私達の未来は確実に無いことを示しています。
日本のこころの原郷「熊野」は、古くは蟻の熊野詣でとして、古来から「自らの日常を離れ、自らを見つめる場」として、この「グー・チョキ・パー」の仕組みをもって、私たちに知らせているのではないでしょうか?
NPO法人 熊野生流倶楽部 代表 満仲雄二
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