見出し画像

若い女性に地方に住み続けてもらうには

最近ニュースで度々取り上げられる、若い女性の東京への一極集中の話題。

中年となった今となってはどこも住めば都だと思っているけれど、正直独身20代ならだんぜん東京がいい
東京以外を選べと言われたら、海外がいい。


個人的に、国内では東京でしか得られないと思っていることが2つある。

一つ目は、以前のnote記事にも書いたけれど、「匿名性」

東京には10年近く住んでいたけれど、行きつけでもない場所で、ばったり知人に出くわしたのはたったの2回だけだった。
一度目は新宿駅、二度目はその数年後に山手線内で。しかもその2回とも相手は同じ友人で、男女だったら絶対運命感じて付き合っていたよね、と笑い合ったっけ。

2回会えば運命の相手かと思うくらい、東京では知り合いに会うことがない。

大阪や名古屋ほどの人口規模があれば分からないけれど、人口100万人の地方都市ですら「こないだ○○で見かけたよ」と言われることがある。
人口5万人以下ともなると、100%縁もゆかりもない人に出会う方が難しい。

地方は常に自分の顔と名前を伴う実名社会。
対して東京では有名人でもない限り、匿名のモブのままでいられる。
実名FBと匿名アカウントの違いといったところか。

匿名社会は治安の面ではデメリットもあるけれど、モブでいられることの解放感を一度知ってしまうと、地元に戻ろうという気にはなれないのでは。


もう一つは『キラキラしている仕事』

地方から若い女性が流出してしまう理由について「地方には魅力ある仕事がないから」が挙げられるようになってきたけれど、正直その手のキラキラした仕事は東京ほどの人口規模がないと存在しえない気がする。

学生の頃1か月だけ、ファッション雑誌の編集部でバイトをした。
撮影用商品を受け渡しするだけの、いわゆるパシリ仕事だったけど、ハイブランドの本社にハイヤーで出向いたりして、田舎出身の大学生にとっては十分キラキラした楽しいバイトだった。

就職先は中小企業だけれどアパレル関連だったので、オフィスはおしゃれエリアだし、ドラマのロケに使われたり、会社のイベントで芸能人を見かけりして、それなりに華のある話題もあったりした。

そんな訳で少しばかり東京のキラキラを垣間見たけれど、この手の仕事はそもそも顧客も上司も取引先担当者も20-30代。
しかも第二次ベビーブーム世代が20代のメインストリーム。
若者だけの経済圏だからこそキラキラしている訳でして。

「地方に魅力ある仕事を」と言われても、そもそも消費者が高齢者しかいない地方では、無理ゲーでは???

地方で増えている仕事は介護に葬儀、終活関連ばかり。
自治体がキラキラ企業の支店を誘致しても、せいぜいコールセンターか保守業務の移転だけでキラキラ部門は東京のまま、しかも誘致の補助金が切れた途端にクローズされてしまうし。


『匿名性』も『キラキラした仕事』も、地域性というよりは人口規模によるスケールメリットによるものだと思うので、人口1000万人以上いないと実現できない気がする。

若い女性に地元に残って欲しいのも分かるけれど、この2大メリットを上回るよほどのメリットがないと、引き止められないのでは。

もしも自分が20代女性で、上京を諦めて地元で就職するための条件を挙げるとするなら
・東京並みの収入で、更に税率や公共料金が優遇される。
・上司が自分のロールモデルになってくれそうな30代女性。
・時々、海外や東京に出張がある。
・会いたくない人と偶然出くわしたりしないくらいの人口規模と流動性。

やっぱり無理かな…

地方にできるのは、都会ライフに疲れて東京を離れた女性を、温かく受け入れることだけかもしれない。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?