中国とメタバース『世界2.0』中国語版に思うこと
佐藤航陽さんの著書『世界2.0』の中国語版が出版されるという、ご本人の投稿を見てちょっと驚いた。
この本って、中国で出版していいの⁇
佐藤さんの語る未来は、テクノロジーの進化が人間の意識の大変容を促し、中央集権的なものが縮小していくことを予見する、どことなくアナーキズムを思わせるような印象で、中国では発禁扱いだろうと勝手に思っていたんだけれど。
我々とは全く違う方法で世界を認知する新しい世代が登場したり、メタバース空間で仮想国家つくったりするのは、OKなんだろうか?
とりあえず中国語のタイトル名で検索してみると、投稿サイトで1か月間に4件も書評が投稿されている。本当に販売されているらしい。
ちなみに同じサイトで、発禁になったという噂の「進撃の巨人」について検索してみたら、スピンオフのコメディ漫画『巨人中学校』と、2025年公開予定のハリウッド実写版の情報はヒットしたけど、本編は見つからない。
自分の中では、進撃の巨人やデスノートよりも、ずっとヤバい本だと思うのだけれど、どうして『世界2.0』は禁止されないのか?
妄想が止まらない。
(仮説1)検閲担当者がそこまで深読み(妄想)していない、もしくはヤバい部分がカットされてる
「普通のテクノロジー本です」っていうことで。
(仮説2)中国政府と太いパイプがあるから
都市伝説系Youtuberナオキマンさんの動画に出演された際、佐藤さんが中国で謎の権力者と出会った話をされていた。もしかして何かの陰謀が…
(仮説3)為政者が恐れているのは老百姓(民衆)であって、知識人ではない。
一握りのインテリしか読まないであろうこんな小難しい本は、恐るるに足らず?
(仮説4)中国の為政者にとっては、国がそもそもメタバース
これ一番怖いなぁ。
映画「ラストエンペラー」では、中華世界に君臨しているはずの皇帝・溥儀は、紫禁城を出ることだけは禁じられていた。中国ドラマみたいに皇帝がお忍びで街に繰り出してタンフル食べるとか、恐らく無理だよね。
為政者にとっては、想像するしかない外の世界はメタバースとなんら変わりがないのかも。
中国語のタイトルでは、メタバースは「後代宇宙」と訳されている。「次世代宇宙」の意だろうか?
ふと気になって「宇宙」という漢字の由来を調べてみた。
不思議なことに、古代中国の宇宙の語義からは、UniverseよりもMetaverseに近い印象を受ける。
Universeよりも、高次元でもっと範疇が広いというか。
だとすると、メタバースの中国語訳としては、本のタイトルに使われた「後代宇宙」よりも、「元宇宙」「原宇宙」と表現されることの方が多いことに納得がいく。
現代中国語の「宇宙」がUniverseの意味になってしまったので、Metaverseは「本来の(古代中国語の)宇宙」を意味する、といったところか。
絶妙な翻訳力だ。
メタバースと仏教は親和性が高い~という話は聞いたことがあるけれど、中華思想の宇宙観とメタバースも相性がいいのかもしれない。
もしや(仮説4)が正解だったりして⁇
それにしても、中国語版の味気ない表紙が気になる。
日本語版の美しいバーチャル渋谷の装丁なら10倍売れそうだけれど、NGなんだろうか?
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