愛なんか、知らない。 第8章⑤さよなら、また会う日まで
優は立ち止まって、私の顔を見た。
「葵のミニチュアはすごいんだから。人を感動させる力を持ってるんだから。葵の世界は、誰にも壊せないから。そんなやつのせいで作れなくなっちゃうなんて、ホント、悔しくて」
私はなんて答えていいのか分からなくて、うつむいた。
「私、高校の時、葵にミニチュアを教えてもらって、どれだけ救われたか……。あの家にいる時も、豆本を作っている時間は自分でいられたんだ。親から冷たくされても、妹がかわいがられるのを見てても、『次はどんな豆本作ろう』とか考えて、