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たまに短歌 カラスが鳴いたA地点

ほうほけきょ白梅香る白日夢
カラスが一羽ニヤリと笑う

そのときは梅に夢中でほうほけきょ
A地点からカラス飛び立つ

真似ているつもりがあるか太カラス
姿を見せろここで一節

ひと月ほど前のことである。銚子に出かける前にカメラにあるフィルムを使い切ってしまおうと、陶芸の後に六義園を訪れた。駒込駅からすぐという好立地ということもあり、陽気が良いとかなりの人が集まるのだが、さすがにこの時期は好天でものんびりできる。その六義園でのことである。

園内を時計回りに歩いて、池の向こう側の茶店を過ぎたあたりで、頭上から「ホーホゲキョー」と大きな声がした。立ち止まって見上げると、大きなカラスが「私じゃありませんよ」というような風情で木の枝にとまっていた。また鳴くかと思ってそのまま眺めていると、あちらもどこかを眺めているようだった。再び歩き始めると背後で「ホーホゲキョー」と鳴いた。振り返るとバタバタと飛び去ってしまった。

カラスが鳴き真似をするという話は聞いたことがあったが、実際に遭遇したのは初めてだ。おそらく、鳴き真似をして、近くにいた人の反応が面白かったのでクセになったのではないか。後日、上野の国立博物館に行ったら前庭に大きなカラスが何羽もいて、人の食べ物を狙っている様子だった。こちらは鳴き真似のようなことはしていなかった。

「ここがそのカラスがホーホゲキョーと鳴いた現場なんですね、山本さん」
「そーなんですよ、川崎さん」
撮影日:2024年2月3日
「これがそのカラスですね」
「いえ、違います」
撮影日:2024年2月24日
カラスの自意識に興味がある。都会のカラスと田舎のカラスは自意識に違いがあるのだろうか。
都会のカラス、殊に都心のカラスは体格が良い。
六義園の白梅(撮影日:2024年2月3日)

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