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階段

短歌を詠もうと思って詠み始めてどれくらいになるのか、と思い、去年の日記を読み返している。どうやら5月に「万葉集講座」が最終回を迎え、その後しばらくして「一日一首」などと馬鹿なことを書いている。そうやって始めた歌がひどい。赤面してしまうが、恥を晒すというのは己を律する上で大事なことだと思うのである。そこに書かれている歌一首。

食べすぎたひとりよがりの危機管理普段使いの非常階段

食べすぎて少し運動しないといけないと思い、職場でエレベーターを使わずに非常階段を使う、というのである。しかし、「食べすぎ」というのは一時的なことのように聞こえる。そうなると「普段使い」で受けるのは奇妙だ。

太り気味ひとりよがりの危機管理普段使いの非常階段

小さい歌だ。仕方がない。

と、手帳の2019年5月27日のところに書いている。もっと推敲しろよ、去年の自分。これを今、直してみる。

肉弛み気休めながら階段で息を切らせて膝大笑い

これまでに8回転職した。社会人になって最初の勤め先には13年半勤務していたので、転勤も経験しており、勤務経験のある建物は新東京ビル、新川ダイヤビル、茅場町の小さいビル、虎ノ門マリンビル、東建インターナショナルビル、霞が関ビル、大手町ファーストスクエア、新丸の内ビルディング、ロンドンのCitigroup Centre、三菱ビル、東京ビル、などである。職場が高層階にあったり、ビルの管理上の理由で非常時以外の階段利用が制限されている場合を除き、昔から階段を利用している。エレベーターという小さな密室で嫌な奴と時間を共にしたくないのである。別に運動不足解消のために階段を使っているわけではない。しかし、身の回りのことを歌にしようとすれば、そういうつまらないこともネタにしないといけないくらい、ぼんやりした毎日だ。

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