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原爆忌 2022

原爆忌 懲りずにどこか もうひとつ

原爆忌 あれば使うか もうひとつ

「原爆忌」は広島の方は暦から言えば夏だが、長崎は立秋の後なので秋になる。しかし、俳句の季語としては「長崎忌」も含めて夏の季語として扱われるのが一般的らしい。

昨年の8月6日に原爆に因む俳句をnoteに詠んだ。毎年この日に詠んでみようと思ったが、果たしてそうそう毎年何かを思いつくものかとも思う。たまたま最近、核兵器使用の可能性について考えざるを得ないような事象が複数発生している。欧州の方は陸続きということもあり、また異変収束後の互いの生活というものもあるので、何かの間違いでもない限り使用は無いと考えるのが現実的なのだろうが、アジアの方はどうだろう?兵器というものは、使用することを前提に生産されているものではないのか。

以前に何度か書いたかもしれないが、2001年9月に仕事で六ヶ所村の使用済み核燃料の再処理工場を見学した。竣工までは程遠い状態だったが、遠心分離機が並ぶエリアは既に完成しており、特殊ガラス越しに見学させていただいていろいろ説明を受けた。特殊ガラスの何が「特殊」かというと、透明になったり曇ったりするのである。遠心分離機というのは、ざっくり言えば縦型の洗濯機のようなもので、構造自体は単純だ。しかし、見る人が見れば性能が一見してわかるものだそうで、見せたくない見学者の時はガラスの下半分が曇って装置の全容がわからないようにするという。私が見学した時は、見学者は十数名であったと記憶しているが、全員私同様ぼんやりした奴ばかりだと思われたらしく、ガラスは全面透明だった。

搬入された使用済み核燃料は水中で保管される。ところどころに潜水艦のハッチのような円形の蓋がある広い空間の地下、ハッチの下にプールがあり、その水中に使用済み核燃料を収めた円筒状の棒のような容器が並んでいるらしい。そのハッチの近くには浮き輪が備えてある。万一、ハッチからプールに人が転落した時のためだそうだが、使用済みとは言いながら、もしそんなことになったら助からないのだそうだ。それなら浮き輪は意味が無いと思うのだが、しかし、世間の「安全」というのはそういうことも大事なものである。

完成前とは言いながら、施設にはさまざまな安全対策が講じられている。安全に対する現実的な脅威としては盗難を念頭に置いているとのことだ。被曝対策をどうするかという問題はあるものの、核兵器の製造自体は然程ハードルが高いものではないそうだ。それゆえ、テロ組織などが再処理工場を襲って使用済み核燃料が彼等の手に渡ることは絶対に避けなければならないことの一つであるらしい。Wikipediaの「核兵器」の頁には「この記事には複数の問題があります」としながらも以下の記述がある。

核兵器(かくへいき、英: nuclear weapon)は、核分裂の連鎖反応、または核融合反応で放出される膨大なエネルギーを利用して、爆風、熱放射や放射線効果の作用を破壊に用いる兵器の総称。原子爆弾、水素爆弾、中性子爆弾などの核爆弾(核弾頭)とそれを運搬する運搬兵器で構成される。技術の根幹が原子力発電と同様であり、原子力発電による生成物が核兵器の燃料となり得る。そのため核兵器の燃料が単純製造されることはほとんど無く、核兵器保有国の自国内にある原子力発電所から供給される使用済み核燃料が利用される。
Wikipedia

たまたまこの見学会の10日ほど前に9.11テロ事件が発生した。見学者から航空機が施設に墜落した場合に大丈夫なのかという質問が当然あった。三沢基地が近隣にあり、そこに配備されている戦闘機が同施設に墜落する可能性は考慮してあるとのことだった。しかし、あのテロのように旅客機が墜落することは想定していないのだそうだ。そもそもハイジャックした旅客機で自爆テロを行うことなど誰も考えもしなかったのではないか。どのようなことも起こり得るのである。そういう諸々を原爆忌に改めて考えている。

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