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歌仙

美術館に頻繁に出かけた時期がある。和洋平面立体ありとあらゆるジャンルのものを、とりあえず見たのである。東京には「ぐるっとパス」というものがある。都内の美術館や博物館の入場券や割引券が冊子にまとめられたものだ。有効期限が比較的短いのだが、これを何冊も使い尽くした。今はそういうことはやらない。

そんなことはどうでもよい。よく三十六歌仙と題した絵がある。36人の歌人が歌とともに描かれている。「仙」は仙人にも使われる文字なので、歌の上手い人ベスト36、という意味かと思っていた。全然違うらしい。

万葉集講座で歌仙の回があった。歌仙というのは五七五の長句と七七の短句を互い違いに組み合わせた36句の連句を一巻とするものだ。個々の句は「詠む」もので、歌仙は「巻く」。この最初の句を発句といい、発句が独立して俳句となった。松尾芭蕉も歌仙こそが「座の文藝」である俳句の原点と考えていたのだそうだ。ちっとも知らなかった。

歌仙については辻原・永田・長谷川の『歌仙はすごい』などを読んでいただくとして、たいへんに面白いものであるということだけここに記しておく。

是非、自分もやってみたいとは思うのだが、決まり事が色々あって、そういうことに通じた人に捌き手になってもらわないといけない。しかし、そういう人が自分の周囲にはいない。ただでさえ友達がいないのだから、ましてやそういう気の利いた奴などいるわけもない。ま、仕方がない。

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