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読んだ・観た・聴いた

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本や雑誌などを読んで思いついたこと。書評とか感想は上手にまとめる人がたくさんいるので、そういうものはそういう人たちにお任せする。本の内容とは全く関係なく見えることも少なくないが、…
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記事一覧

桂米朝 『落語と私』 文春文庫

一口に文庫本と言っても版元によってサイズが微妙に異なる。作者毎にまとめて書棚に本を並べて…

熊本熊
1か月前
29

蛇足 『ナショナル・ストーリー・プロジェクト 全2巻』

本書は五人の翻訳者が分担し、全体のある程度の統一を柴田元幸が担当しているのだそうだ。その…

熊本熊
1か月前
20

ポール・オースター編 柴田元幸 他訳 『ナショナル・ストーリー・プロジェクト 全2…

5月に一週間ほど入院した。入院中に退院予定日の夕方に予約を入れておいたマッサージ店にその…

熊本熊
1か月前
26

「私」と「あなた」の幻想 『新版 エルサレムのアイヒマン 悪の陳腐さについての報告…

ホモ・サピエンスが誕生して30万年だか20万年が経過したらしい。6万年前まではアフリカ大陸で…

熊本熊
1か月前
25

信条について 『新版 エルサレムのアイヒマン 悪の陳腐さについての報告』

もうすぐ都知事選挙だ。よく、初対面の相手と政治や宗教を語るべきではない、などという。これ…

熊本熊
1か月前
25

国境について 『新版 エルサレムのアイヒマン 悪の陳腐さについての報告』

初めて日本の外に出たのは1984年3月だった。大学3年と4年の間の春休みにオーストラリアに出か…

熊本熊
2か月前
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ハンナ・アーレント 著 大久保和郎 訳 『新版 エルサレムのアイヒマン 悪の陳腐さについての報告』 みすず書房

アイヒマンとは、オットー・アードルフ・アイヒマン(Otto Adolf Eichmann、1906年3月19日 - 1962年6月1日)のことだ。彼は戦時中、ナチス親衛隊員でユダヤ人移送局長官としてユダヤ人問題の「最終的解決」のためユダヤ人を強制収容所に移送する指揮を執ったとされている。戦後は名前を変え、旧ドイツ内で何度か住まいを変えた後、アルゼンチンに移住して暮らしていた。1960年5月11日にブエノスアイレス近郊でイスラエルの諜報特務庁関係者により拘束され、イスラエルへ移

菅野康晴 『生活工芸と古道具坂田』 新潮社

『ひとりよがりのものさし』の編集後記のような本。2022年11月に坂田和實が亡くなった後、新潮…

熊本熊
2か月前
27

ルイス・フロイス著 松田毅一 川崎桃太 訳 『完訳フロイス日本史 豊臣秀吉篇』 中…

プーチンがドイツにいた頃 俺はプー太郎で 兄貴はプーさんだった 近所にプーシキンがいて 朝昼…

熊本熊
2か月前
31

大野晋 『日本語の教室』 岩波新書

本書は『日本語練習帳』の読者から寄せられた質問に答えるという趣旨でまとめられたものだそう…

熊本熊
2か月前
27

網野善彦 『中世荘園の様相』 岩波文庫

先週木曜日に職場の昼休み勉強会の講師番が回ってきた。「150人考」と題して、ダンバー数の話…

熊本熊
2か月前
24

ルイス・フロイス著 松田毅一 川崎桃太 訳 『完訳フロイス日本史 織田信長篇』 中…

うっかり全巻買ってしまった。さまざまなところで史料として本書に言及されることがあり、以前…

熊本熊
3か月前
39

カール・マルクス著 長谷部文雄訳 『賃労働と資本』 岩波文庫

たぶん「価値」というものは観念であって、それを恰も実体であるかのように認識するところから…

熊本熊
3か月前
23

片岡千歳 『古本屋 タンポポのあけくれ』 夏葉社

本書はエッセイだ。古書店を営む著者が日々思うあれこれを綴っている。ただ、書いた本人も、その古書店も今はもうない。以前読んだ『昔日の客』も古書店の店主が書いたエッセイ集だ。古書に限らず古物を扱う人は、世間的には用済みとなったものに改めて価値を見出す、或いはそこから改めて価値を創造する目利きである、と思う。古道具屋の坂田さんだってそうだ。みんなすごい人たちだ。そういう人たちが書く文章は、なぜかとても柔らかだ。そういう文章が書けるようになったら、茨木のり子に「ばかものよ」と叱られな