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読んだ・観た・聴いた

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本や雑誌などを読んで思いついたこと。書評とか感想は上手にまとめる人がたくさんいるので、そういうものはそういう人たちにお任せする。本の内容とは全く関係なく見えることも少なくないが、… もっと読む
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記事一覧

大野晋 『日本語の起源 新版』 岩波新書

言葉のそもそもに興味がある。人類は20万年ほど前にアフリカ大陸で生まれ、6万年ほど前にアフ…

熊本熊
6日前
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勝俣鎮夫 『一揆』 岩波新書

4月、新学期、新年度。「イッキ、イッキ、イッキ、、、」というのは今はやらないらしい。強要…

熊本熊
13日前
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池谷和信 『人間にとってスイカとは何か カラハリ狩猟民と考える』 臨川書店

初めて野生のスイカというものを目にしたのは1984年3月、オーストラリアを旅行したときのこと…

熊本熊
2週間前
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笠松宏至 『徳政令 中世の法と慣習』 講談社学術文庫

落語に『雁風呂』というのがある。米朝と圓生の動画でしか聴いたことがないのだが、この噺は大…

熊本熊
3週間前
23

古今亭志ん朝 『世の中ついでに生きてたい』 河出文庫

先日、noteでシズさんがビックリハウスのことを書いていたので、懐かしさを覚えてコメントを付…

熊本熊
1か月前
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蛇足 『職人歌合』

「職人」というのとは違うのだが、「職人」で思いついたことがある。道楽で陶芸をやっている。…

熊本熊
1か月前
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網野善彦 『職人歌合』 平凡社ライブラリー

「職人」という言葉に何を想うだろう。私は堕落した賃労働者なので、自分の腕で暮らしを立てる気概を持つ「職人」には憧憬の念を抱いてしまう。今の時代は「職人」で食っていくなど至難のことだろう。 食っていくには世間の経済原理や市場原理に付き合わないといけない。自分が拵えるものや提供する用役の「品質」は何がしかの尺度とデータでデジタル表示が可能なものでなければならず、それに対して別の尺度による「価格」というこれまたデジタル表示のものによって「市場」から評価されて、売れたり売れなかった

網野善彦『宮本常一『忘れられた日本人』を読む』岩波現代文庫

本書では「東日本と西日本」という章を設けている。宮本の方でも明確に東西を分ける境界のよう…

熊本熊
1か月前
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宮本常一 『忘れられた日本人』 岩波文庫

本書はずいぶん前に読んだのだが、最近になって網野善彦の『『忘れられた日本人』を読む』を読…

熊本熊
1か月前
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松岡宏大 『ひとりみんぱく』 国書刊行会

広告に弱い。築60年近い公団住宅に暮らし、テレビを持たず新聞を読まず、自家用車や自転車を持…

熊本熊
2か月前
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田中克彦 『差別語からはいる言語学入門』 ちくま学芸文庫

やっぱり田中克彦はおもしろい。差別ということについては近頃妙に喧しい所為もあって、関心が…

熊本熊
2か月前
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宮本常一 『女の民俗誌』 岩波現代文庫

やっぱり宮本常一はおもしろい。丹念に人に会い、信頼関係を築いて相手の経験とその先にあるも…

熊本熊
3か月前
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三杉隆敏 『やきもの文化史 景徳鎮から海のシルクロードへ』 岩波新書

長崎に行ってきた。長崎県美術館で開催している「永田玄の眼」というタイ古陶の展示を観るため…

熊本熊
3か月前
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オルテガ・イ・ガセット 著 佐々木孝 訳 『大衆の反逆』 岩波文庫

個人的な感覚として「大衆」という言葉の響きには蔑みを含んでいる気がする。おそらくそれは、自意識として自分と「大衆」との間に一線を画しているからなのだろう。しかし、国家の体制を超えて、圧倒的大多数の人は自覚するとしないとに関わらず「大衆」として存在している。ところで「大衆」とは何なのか。 ざっくりと言ってしまえば、大衆とは己の存在を当然正当なものとして疑うことがなく、それでいて何事にも当事者意識を覚えることなく貴方任せの無責任な存在ということだ。そういうことであれば、私なんぞ