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日々掌編短編小説(そよかぜの千夜一夜物語)

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2020年1月1日から、ほぼ毎日掌編小説を執筆中。東南アジア小説をはじめ、興味のあるあらゆるジャンルをネタにして作品を発表しています。ちなみにこちらには「書き下ろし」としてしばら… もっと読む
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2021年8月の記事一覧

野菜畑と共に迎える8月31日 第586話・8.31

「あ、ああと1日を切った」尾道拓海は、深夜に日付が変わるのを確認した。ちょうど8月31日にな…

夏の思い出 第585話・8.30

「乗るんですか? もう出ますよ」「あ、乗ります。待ってください!」  私は突然訪れた別れ…

思い出の羊焼肉 第584話・8.29

「最初はずいぶんギャップを感じたが、所詮俺たちは日本人。日本だといろんな意味で落ち着くな…

あーおむすび食べたい 第583話・8.28

「あーおむすび食べたいなぁ」  ここは、遥か未来の宇宙を航行する宇宙船の一室。このときか…

女だってつらいのよ 第582話・8.27

「何が『男はつらいよ』なの! はっきり言うけど女だってつらいのよ」茶色いロングスカートを…

ナミブの鷲獅子 第581話・8.26

「まさか我が生涯で、アフリカの地に足を運ぶとは思わなかったな」  プロカメラマンの田吉は…

即席ラーメンの味を川柳に 第580話・8.25

「今日は疲れたな。もう料理という気分ではない。即席ラーメンにしよう」  独身でひとり暮らしの俺は、戸棚からラーメンを探す。「カップ麺は切らしてるな。だったら袋で行くか」鍋に水を入れて火をつけた。その間に袋麺を開ける。 「お、これはワンタンメンだ。いいねえ。こういうの入っていると」俺はノーマルな即席ラーメンよりも、ワンタンとかチャーシューが多いのが好きだ。あまりネギが多いのは好きではない。どうせ入っているなら餅入りが良いのだ。  あっという間に鍋の水が沸騰し、そこから泡が噴出

ポンペイの最後?  第579話・8.24

「あれ? どういうこと」振り返った摩耶が驚くのも無理はなかった。「紗香ここってどこ?」「…

港に響くウクレレの音 第578話・8.23

「海が見える!」紗香が高台に到着する前に、摩耶が叫んだ。「海と言っても工場地帯ね。埋め立…

チンチン電車が向う先 第577話・8.22

「ちょっとね。摩耶は疲れすぎ。何があったのか知らないけど。あまり症状がひどかったら、病院…

噴水から何が出てきた? 第576話・8.21

「あ、まずい、もうこんな時間」  昨夜は蚊のしつこい攻撃に悩まされた、女子大生の摩耶。彼…

蚊との格闘 第575話・8.20

「あ、これ、一番いやな奴」夜中に目が覚めた摩耶は、露骨に不快な気持ちになった。  夏の夜…

バイクに乗りながら俳句を詠みたい 第574話・8.19

「お、ここがいいな」松尾良太は、富士山が見えるあたりでバイクを止めた。彼は自らを、松尾芭…

日本より米を多く食べる地域 第573話・8.18

「さて、今日の午後からは勉強会だ。秋の米特集に向けて、日本以外のコメについてもしっかり調べた。さて最終チェックをするか」  ここはグルメ雑誌の編集部が入居しているビルの隣にある喫茶店。古参編集員の松沢は、午後から編集長に変わって部員とのミーティングを取り仕切るための準備をしていた。  この時期は交代で夏休みを取っており、ちょうど編集長の茨城が夏休みの最中。3日後に戻ってくる予定だ。その間、代理とまではいかなくとも、編集部をまとめる役目を担っていた。そしてこのミーティングが一