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字書きがこの話つまんなくね?って思った時に見るサイト

 字書き〜!!!!!!!!!!!!!!!!
 三幕構成の話は聞き飽きたか!キャラクターアークは考え尽くしたか!テーマにタイトル世界観に起承転結プロットポイント!もうそんなん死ぬほど見とるわーい!

 このnoteは一応創作歴10年目、界隈大手とはいかないけど中堅くらい、毎日毎日創作に苦しんでいる字書きが書く字書きのためのnoteです。
 結構作風は確立してきているけど、個性っぽいものもあるけど、ここから何していいのか分からない。あと限界原稿〆切デッドラインを走り抜ける上でなるべく正気に返りたくない。

 そんな「あれ?この話つまらないかも?」と思った時に私が見るためのメモをこの世の字書きを救うために公開します。プロットが書けない、本文が書けない、〆れない。そういう時に一旦冷静になるためのものです。是非ご活用ください。効果には個人差があります。よろしくお願いします。


①とりあえず「言った」辞典を作っておこう

 あれ、この話つまんないな?と作者自身が思う時は九割読者も読んでいて飽きるタイミングです。ここを乗り越えれば読者の心もグッと掴める筈。そう信じて一旦心を無にして読み返してみましょう。

 さて、早速本題です。
 話がつまらない!と思う原因の大半は「繋がりが悪い」ことではないでしょうか。それは文章のテンポ、キャラクターの感情、出した情報etc……まず取っ付きやすいのはテンポです。自分の文章を音読してみた時、ちゃんとリズムは取れているでしょうか。
 テンポが良い小説ってなんぞ?と言われましたら——多分色々技巧はあるのでしょうが——とりあえず読んでいて流れていくような、スラスラと語り出したくなるような文章のことだと思ってください。お気に入りの小説のフレーズを思わず声に出して読みたい、なんて時あると思います。それです。その感覚です。

 じゃあ、どうやってテンポを良くするのか。めちゃくちゃ簡単なやり方をお教えします。
 ざっと見た時、その小説に表現の重複はどれくらいあるでしょう。言った、立った、座った、言った、手を動かした、言った、言った、言った……
 脳死で書いてるとあるあるですね。「〜と言った」ってこの文章内で何回言った?いちに、さんし……はい。減らします。変えます。ごちゃごちゃしてるからつまらなく見えるのかもしれません。

 でも、世の中に感情類語辞典はあっても表現類語辞典はあんまり見ません。(※存在してます)

 表現にも動きがあります。テンポがあります。色があります。
 口を開いた、声色を変えた、囁いた、呟いた、唇を動かした、喉を震わせた、叫んだ、大声を出した、落とした、投げかけた、注いだ、満たした……まだまだ沢山あります。言葉を紡ぐだけでも数多の色が変えられるのです。

 でも……
 メンタル死んでる時はそんなの逆立ちしたって出ません。変えても意味あるんか?変えたところでこの小説がつまらないことに変わりないのでは?
 なので予め元気な時に考えておきましょう。
 言うにも、聞くにも、立つにも、座るにも、沢山の色があるわけです。予めパレットに絵の具を出しといた方が一々箪笥から引っ張ってこなくて済みます。
 元気じゃないから無理?そんな声が聞こえてきました。このサイトを見ている時点でお前もお前もお前も限界だとね。そういう時は恥を捨ててAIのべりすとに突っ込みましょう。ゴーストライターモードがオススメです。ちっがーう!となったらパッションのまま書き殴るも良し。ええやんけ……となったら採用するも良し。AIは怖くない。共存していこう。AIは森で、私はたたら場で暮らそう。

 決して重複表現がいけないわけではありません。それが効果的になっている場合も沢山あります。ただ、それが無意識的にやってしまっていることなら一旦意識下に置いてみてください。もしかしたら下を向いていじけていた話だってスキップし始めるかも。
 変えてみて変だったら直せばいいんです。所詮世に出るまではみんな下書き、いくらだって満足のいくように書き直せばいいのですから。


 さて!
 ここまで考えてようやく、内容のことを考えましょう。まずはどう見えるか、どう聞こえるか、どう流れているか。音読するともっとわかりやすい。耳触りの良い文章は目で追ってる時だってサラサラと流れているに決まっています。パズルみたいに最高のパーツを当て嵌めて、自分の考える最強の文章を作れるのが、小説の良いところですね。


②キャラクターの感情に寄り添ってみよう

 音は綺麗に流れてるけど、まだまだ釈然としない。それでは今度はメインキャラクターの一人(一人称であるなら語り手、三人称であるのならばスポットライトを当てているキャラ)に寄り添って、心臓引っくり返してとびきり感情移入しながら読んでみましょう。
 笑う時に笑い、泣く時に泣き、怯える時に怯え、驚く時にとびきり驚いてください。録音でもしながらし実況しつつ読むのも手かもしれません。Aはここでこう思ってるけどそれを表に出せずにただ目を伏せることで己の中の衝動を抑えているんだよ〜!!だからここで「Aはうろと視線をさ迷わせ、眉を少し動かした後ただ、目を伏せた」って書いてて〜!みたいな。

 さて。
 そうすると段々と見えてこないでしょうか、「あれ、もしかして、ここの感情繋がってない……?」と。
 時間はいつも一方通行、いつだって流れがあります。さっきまで悲しみの表情を携えていたキャラクターがなんの前触れもなく突然満面の笑みになって全力でピースはしないわけです。(※する場合もあります)
 悲しみには悲しむまでの間が、喜びには喜ぶまでの間があります。感情はいつだってフェードインフェードアウト。一見カットインのように見えていても、実際頭の中の感情担当さんが必死にフェーダーを上げています。テンションを一本の線だと考えると分かりやすいかもしれません。その線が途中で途切れてやしないか、途中でぶっ飛んでやしないか。それをよく見て、丁寧に丁寧に繋げます。

 繋がった話をもう一回感情たっぷりに読み直してみてください。きっとさっきより、説得力のある文章になっていると思います。

③出た情報を整理しよう

 音は綺麗に流れてる。感情だって繋がってる。でもまだまだつまらない気がする。それではまた冷静になって一番最初から今書けているところまでざっと読み返してみましょう。ざっとでいいです。ちゃんと読み返すと疲れるので。
 その上で箇条書きに情報を整理します

 この文章で結局伝えたいことはなんなのか?今何を書いているのか?その情報を整理します。メインテーマ、サブテーマがある場合はそこに向けてちゃんと言いたいことが言えているのかチェックします。なんにも知らずにこの話を読んだ時、テーマはちゃんと伝わっているのでしょうか?


 自作の話を突然ぶっ込みますがある話のメインテーマが「嘘から出た真」だとします。サブに「妖精を信じるならば手を叩いて」とか。
 まぁ話構成する段階で6章くらいかな〜とか考えるわけですよ。ついでにちょろちょろっとサブタイなんか考えてね。

1 嘘は信じられるのか
2 信じなければ死ぬ
3 嘘から出た真
4 貴方だけが残らない
5 信じるのならば手を叩いて
6 その戯言に祝福を

 まぁこんなんですわ。次にこのサブタイに相応しい描写が書けているのかチェックします。

1 嘘は信じられるのか
  →「そんな嘘みたいな存在が、写真に映ると思うのかい?」
2 信じなければ死ぬ
  →「子どもが、『妖精なんて、信じないや。』って言うたびに、どこかで、妖精がぶったおれて、死んじゃうのさ」
3 嘘から出た真
  →「信じるなら、手を叩いて」
4 貴方だけが残らない
  →目尻から知らず零れ落ちたのが何かなんて、名前を付けるのも嫌になって目を瞑った。
5 信じるのならば手を叩いて
  →「信じて良かった」
6 その戯言に祝福を
  →「バーカ、誰がきみから貰うかよ!」 

 まぁ多分、粗方大丈夫でしょう。ちゃんと書けてるーやったー。


④今足りないものを言語化してみよう

 テンポ、感情、情報。全部繋がりました。百点満点!……というには、まだ何か足りないかも?

 何が足りないんでしょう。もう一回読み返してみます。足りない!と感じる場合の大半は描写かシナリオ、もしくはその両方が薄っぺらいことが考えられます。

・描写が薄っぺらい場合

 上三つが崩れないようにバランスに気を付けながら描写の解像度を上げていきます。風景の縁取り!感情の深度!触れる世界の温度!
 情景描写は慣れとしか言い様がない気がするので頑張ってください。感情は死ぬほどシンクロさせてキャラが泣いてるならこっちも大泣きするレベルにします。触れる世界というのは、キャラが感じる世界の質感ですね。情景描写と同じでは?と思うかもしれませんがちょっと違います。情景描写は読者に対する説明ですが、そこにキャラの感情を挟んだ世界の見方を描いていきます。キャラが悲しい気分だったら空を泣いてるように見せ、キャラが嬉しい気分だったら光が溢れているようにします。言わば効果的な演出です。

 さて。ここでまたテンポの話に戻ります。
 またかよ!と思うかもしれませんが小説ほどテンポが大事なものはありません。流れるリズムは読者のテンションですら操らないといけないわけです。キャラクターに寄り添って、彼/彼女が進みたいと言うのならば文章だって進ませます。彼/彼女が進みたくないと言うのならば文章だって滞ります。
 逆にそれをあえてしないことで不気味さを演出するのも良いかもしれません。キャラは進みたくないと言うのに描写はどんどん進んでいく。キャラは進みたいと言うのに描写はどんどん遅れていく。キャラクターを語るのはアクションだけじゃありません。描写だって語るんです。

 具体的なテンポの上げ方、下げ方は?と問われますと非常に難しいのですけれど、簡単なもので言ったら「〜した。〜する。〜した。」を繰り返していれば進みます。「〜した。〜した。〜した。」を繰り返していれば止まります。
 まぁでも皆さんきっと歴戦の字書きですので解説しなくたって〝体〟が覚えているんじゃないでしょうか?

・シナリオが薄っぺらい場合

 そもそもシナリオが薄っぺら〜い!という場合、たまにあります。どうにかしていきましょう。もうこれプロット構成し直す他ありません。最初に謝っておきます。三幕構成の話です。

 シド・フィールドは言いました。世の中の最高な作品、実はみんな同じような構成してね?と。
 多分皆さんご存知だと思うので大幅に飛ばしますが大体の作品は発端(状況説明)、ターニングポイント(プロットポイント1)、中盤(葛藤)、ターニングポイント(プロットポイント2)、結末(解決)で構成されています。詳しくはこれ読んでください。

 ここで重要なのはターニングポイント。シナリオを加速させ、今まで向かっていた方向とは別の方向へ行き先を変えるような事件、エピソード、出来事がこれに当たります。状況説明から葛藤へ、葛藤から解決へ。プロット立てる時にふたつとも決めておくのが楽ですね。今言うなっての。
 このターニングポイントが書いている小説で何に当たるか、よく考えて当て嵌め、物語を単純化させます。恋物語とかだったらキャラが二人いる(状況説明)→一方が相手のことを好きになる(プロットポイント1)→この気持ちを伝えるか悩む(葛藤)→告白(プロットポイント2)→実は両思いだった(結末)とかでしょうか。これでいくらでも話膨らみますね。そんな単純なこと?と思うかもしれませんが……実はこれ皆さん驚くんですけど……物語ってすごい単純なんです!


 さて、基本的な骨組みが見えたと思います。

 次に緩急について考えてみましょう。大体の物語はジェットコースターです。じわじわと上って、上って、ドーンと落ちる!そういう驚きが物語を展開する上で必須なんですね。ええっ!?そんな!うわぁっ!アッと驚くような展開が必ずしも必要だとは言いませんが、予想外は物語をより面白くします。

 キャラクターアークの話します。参考文献これです。

物語のキャラクターは最初、もしかしたら「嘘」を信じているかもしれません。でもそれは嘘なので、真実ではないわけです。真実は別にあるけれど、キャラは嘘を信じて止まない。そこに物語が生まれます。嘘を信じるキャラ、段々と真実に気付いていても葛藤せざるを得ない、どこかで自分の嘘と吹っ切れ、真実に気が付く。うーんドラマティック!


 そう、そんな「ドラマ」を生み出すために三幕構成やらキャラクターアークやら引っ張り出してきたら、もしかしたら輝いて見えなかったも物語だってピッカピカのキラッキラに面白くなるかもしれません!貴方の話はどうですか?読者を夢中にさせるようなドラマが展開できているでしょうか。


⑤多分気の所為


 ここまでやってもつまらないなって思いますか?そうですか。なるほど。

 はい、多分気の所為です。

 三日後冷静になって読んだら絶対あれ?面白いじゃん!って思います。原稿の悪魔が襲いかかっているだけです。
 今すぐ正気をかなぐり捨てて暖かいシャワー浴びてください。寝てください。唐揚げを食べてください。原稿のことを一旦全部忘れましょう。忘れられない場合は頭を強く打ち付けます。

 そして、改めて貴方の紡いだ物語を読んでください。

 これでつまらないなと思った場合はもう全部ボツです。無かったことにして書き直してください。人生長いのでそういう日もあります。

 面白いなと思った場合は存分に自信をつけてください。よっ天才字書き!ブクマ100万!国語辞書が歩いてる!最高最高最高〜〜〜〜!!!!!!!



終わりに

 ここまで「うわ……私の小説、つまらなすぎ……?」となった場合の様々な対処法を述べてきました。まとめです。

①とりあえず「言った」の辞書を作っておこう
②キャラクターの感情に寄り添ってみよう
③出た情報を整理しよう
④今足りないものを言語化してみよう
⑤多分気の所為

 私が詰まって呻いて死んでる時の対処法ではありますが、どれも修羅場時にはそういやそんなんあったなってなる程度の初歩的なことです。そうです。小説の上達に天井はありませんが、小説を書くのはとびきり楽しいのです。妄想を形にできるのはとても嬉しいのです。最高の原稿が出来上がるのを楽しみにしながら書きましょう!

 貴方の素敵な小説が、もっと光り輝くものになりますように。良き同人ライフを!

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