_BRN3330_-_コピー

LAYERS HOOP YORIIを通じてわかった地域プロジェクトの大切なこと(後編)

埼玉県寄居町で4ヶ月半に渡り開催されたLAYERS HOOP YORII。プログラムディレクターである自分が、この4ヶ月半で感じたことを前編・後編でレポートにしてみました。

▼前編はコチラ
LAYERS HOOP YORIIを通じてわかった地域プロジェクトに大切なこと(前編)

前編のレポートでお伝えしたとおり、僕はプログラムディレクターという立場でありながら、プログラムを運用することを同じプログラムディレクターの上田さんやメンター陣に放り投げ、自分もチームに入って一緒に楽しんでしまいました。なんとなくの流れで「きぬのいえ(染め物職人さん)」チームに所属していたので、後編のレポートは、きぬのいえチームにフォーカスした内容を書いてみようと思います。

まずはメンバー紹介

タイトルの写真、いい顔してるな〜みんな。これがきぬのいえチームです。

写真左下から:池澤拓真さん(写真家)、境野典さん(大学生)、笠原亮彦さん(寄居町商工会)、吉田昌弘さん(きぬのいえ代表)、赤井恒平さん(メンター)、増田怜央さん(学生だけど自分でアパレルブランド立ち上げてる)
左上から:井澤剛史さん(きぬのいえ染め職人)、河田夏樹さん(メンター)市毛知美さん(IT系企業勤務)、柳川梨沙(PR会社勤務、僕の妻です)、柳川雄飛(プログラムディレクター、僕です)、青木猛さん(デザイナー)

捨てるなら、染めよう

このチームの成果は、きぬのいえの新規事業「SOMA Re:(ソマリと読みます)」。気に入っていた洋服が色あせてしまったり、太ってサイズがきつくなってしまったり、、誰しも経験がありますよね。そんな洋服をきぬのいえの持つ染めの技術で染め直して復活させ、次の季節まで保管してくれるクローゼットサービスを考案しました。染め×クローゼットの掛け合わせからさらに発展し、例えばサイズがきつくなった洋服は、染めて誰かに売れたりするともっと嬉しいかも。きぬのいえが本来持っていた技術力と、これからの時代性をかけ合わせた新しいサービスが生まれました。

SOMA Re_(サービスドラフト)_v01_20191217

SOMA Re_(サービスドラフト)_v01_20191217_1

SOMA Re_(サービスドラフト)_v01_20191217_2

たったの2ヶ月でサービスモデルができてしまった

で、結論からいうと、このチームすごすぎるんです。チームが発足したのが、プログラム2日目の11月下旬。で、まともに企画が始まったのが12月中旬のプログラム3日目。そこから年末年始をはさみ、たった2ヶ月後の最終報告会までに、【サービスコンセプト】【サービス名】【サービスモデル】【Webサイト立ち上げ】【SNSアカウント(Instagram、LINE@)】まで出来上がってしまったのです。まあ、お仕事でサービス立ち上げされてる方たちにとっては、ふーん、という感じかもしれませんが、このメンバー当然今回が初めましての人たちばかり。企画立ち上げから最終報告会までの間は1月中旬のプログラム4日目のみ、1回しか会ってません。あとのやり取りは全部Facebookメッセンジャーで。メインのメッセンジャーグループが一つあって、あとは分科会形式で適宜チームをつくり、役割分担して、どんどん具体的な形をつくっていきました。

画像4

↑染職人の井澤さん(左)と社長の吉田さん(右)、この二人とだから出来たプロジェクトです。

行動量が熱量を生みだす

僕がこのチームで一番すごいと思ったのは、染め職人の井澤さん。僕らチームメンバーが「こういう色に染められる?」とか、「染めた後の着心地をもう少し改善したい」とか「何ならスニーカーも染められる?(柳川家の要望です笑)」とか結構無茶振りな要求に対しても、まず動く。すぐに実験して、「こんな感じになりました!」とか写真を添えて連絡をくれる。それだけでなく、「もっとこうしたら、こんな感じに染められます」とか提案までしてくれる。職人さんが試行錯誤してるのをすぐ側で感じながら、サービスを考えられるなんて最高に楽しいクリエイティブな時間でした。

画像5

↑染め上がった洋服を見ながら、Before/Afterをチェック。みんなの洋服がありえないレベルで生まれ変わった。可愛いです。

画像6

↑出来上がったWebサイト。河田さんwith under→standの皆さん、かっこよすぎます。

画像7

↑SOMA Re:のInstagramとLINE@アカウント。SNSチームのスキルとセンスの高さがうかがえます。

画像8

↑最終報告会前にきぬのいえチームで一枚。井澤さんのヒーロー感と僕の小物感の対比がやばい。

なぜこんなにいいチームができたのか?

なぜこれだけのスピード感、品質のサービスが生まれたのか。スキルの高い人が集まったからでしょ?それも確かにあります。でも、この「SOMA Re:」というサービスはそれだけでは生まれなかった。メンターの河田さんがプロジェクト終盤で、このメンバーのチームビルディングについて話してくれていました。

きぬのいえのメンバーは好きなこと、得意なことがバラけてる。だから、タスクを分解して役割化するのではなく、それぞれの人の好きなこと、得意なことのちょっと先、今の実力より少しだけ上のハードルを求めるようにしてた。

好きで得意の、少しだけ先を

仕事柄、クライアントと新しいサービスや事業の立ち上げようとすると、まず大体がトレンド調査したり、ユーザーインタビューしたりして、課題を特定し、解決策を幾つか出しながら、事業の方向性を定めていくことが多い。けれども、このきぬのいえチームで大事にされていたことは、「きぬのいえだったら、もっとこんなこと出来るんじゃない?」「それだったら僕・私は欲しいと思える!」という、まさに自分たちをユーザーに見立てた価値の深堀りでした。それでも必要であれば、競合調査を社長の吉田さんにやってもらったり、ブランディング目線での他事例調査は僕がして、みんなに共有したり。必要な情報、参考情報は適宜みんなで共有するスタイル。僕の妻は、PRエージェンシー勤務ということを活かし、女性目線でのSNSの使い方、情報発信について発言して、SNSアカウントのビジュアル方針をつくり、デザイナーの青木さんがそれを形にした。Webサイトで完結させるには初期開発が重たいユーザーの問い合わせフォームは、きぬのいえとユーザー間で密にコミュニケーションできるようにLINE@を立ち上げた。キービジュアルを担当する池澤さんがすんごい素敵なLINE@の仕組みを整えてくれました。

みんなそれぞれ、人より多少好きなこと、人より多少得意なことってあると思うんです。別にあなたが世界中で一番うまいとか、すごい必要はなくて。ただ、好きで得意なことの方が単純に楽しいし、能力以上の探究もするからスキルも上がる。で、みんな得意なことはバラバラでも、「SOMA Re:」をどういう世界観にしていきたいか、という志向性は議論する中でみんながある程度共有、共感がつくれたからこそ、このサービスが生み出せたのだと思います。共感が先でもスキルが先でもなく、どちらも必要。これって今回はうまくいったけど、次もうまくいくとは限らない。それが難しいところではあるけれど。でも、それでも、これからもこんな面白い人たちが集まって、つながって、何かを一緒につくる時間を通じて、関わった人の幸せが少しでも増えるような「場」や「仕組み」をつくり続けていこうと思えた貴重な体験でした。

▼前編はコチラ
LAYERS HOOP YORIIを通じてわかった地域プロジェクトに大切なこと(前編)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?