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スクラムフェス三河2024に参加してきた

はじめに

日本で開催されているアジャイルコミュニティの祭典の一つ、スクラムフェス三河に現地参加してきました。
愛知は製造業のメッカということもあり、スクフェス三河は製造業アジャイルという特色のあるイベントでした。
先日の転職をきっかけに仕事で製造業に関わるようになったため、これは現地に行くしかないと思い参加してきました。
先月スクフェス仙台に参加した時、その後すぐにアウトプットしなかったことを後悔しているので、この二日間で思ったことや感じたことをまとめてみます。


思ったこと、感じたこと

基調講演:製造業でのアジャイル、悩みと光

  • タイトルの「上ロジ」「下ロジ」という言葉が何を指しているのか気になってましたが、実際話を聞いてみてなるほどなあと思いました。今まで、アジャイルを浸透させる対象がチーム内か、組織内かでやることは変わってくるという感覚は漠然と持っていたのですが、この定義は非常にわかりやすくて、私が今参加しているプロジェクトにあてはめて考えてみたいなと思いました。

  • 組織のどのアジャイルに向いているのか、変えたいと思っている業務はアジャイルに向いているのかという視点が足りてなかったあという気づきを得ました。「アジャイルが向いてない業務もあるよね」ということは何となく思ってはいましたが、アジャイル適正のスライドが特にわかりやすかった。ここで挙げられている本も気になるので読んでみたい。https://amzn.asia/d/bvdRm7p


やってやろうじゃないかメカアジャイル!老舗製造業がプロダクションプリンターで取り組んだハードウェアアジャイルの実例を紹介します


  • 製造業で、しかもソフトウェア領域ではなくハードウェアの領域でアジャイル導入が進められた事例ということで、印象深い話ばかりでした。

  • 具体化と抽象化が鍵ということでしたが、話を聞いてみて本当にその通りだなあと。

    • 挙がった課題について、それを直接的に解決するのではなく、具体例から抽象化を挟むことで、課題の発端となる部分に焦点を当てているのが素晴らしいなあと思いました(どうピッキングするか、でなくそもそも在庫管理を不要にする)

    • 顧客領域の定義や、開発対象など、具体と抽象の行き来を重ねる中で、やるべきことの焦点がどんどん合っていっているのがわかりました。

  • また、当然かもしれませんが、一つの工程を変えるためには、その工程を理解するだけでは不十分で、その工程に関わる別工程も十分に理解し、別工程に負荷がかからないような打ち手を選定する必要があるんだということもわかりました(ちょっと耳が痛かった部分)

  • 「想いを可視化する」という話に共感したのですが、「想いを可視化することでいい意味で冷静になる」という一言が自分にとって印象的でした。

あなたの知らない世界:テスラのSoftware Definedな世界を解説してみた

https://confengine.com/conferences/scrum-fest-mikawa-2024/proposal/20246/software-defined

  • テスラの凄さを垣間見えることのできるお話しでした。

  • 製造業はBOM的思考(メカ・エレ・ソフトの分業。部分を集めると全体が完成する)での捉え方が一般的だったが。テスラは広い世界をトータルで見ていて、全体の構造をベースにして部分を作っているということみたい

  • 車の充電スポットの例が非常に面白かった。日本の充電器はそのデバイスでなんでもできてしまうが、テスラの充電器は非常にシンプル。決済など充電以外のことは全部ソフトウェア側(スマホアプリ)に任せてしまう。設置期間なども考慮されており、シンプルな工程で迅速に設置できるようになっている

  • テスラをライバル視してる人は、皆それぞれ車だけを見ていたり、充電インフラだけを見ていたりする。部分に注目している。でも、テスラの本当の強みは、広い領域をトータルで見ていてデータ分析しているところ。BOM的思考から抜け出せないと、テスラに勝つことはできない?


自己組織的なチームから空虚なチームへ変貌させた3カ月の組織運営からの教訓

  • 一度うまくいった後にうまくいかなくなった事例を聞く機会は貴重なので本当にありがたい

  • チームレジリエンスについて:個人のレジリエンスの高さがチームレジリエンスにつながるわけではないという話は驚きつつも、冷静に考えてみると確かにそうかもと思いました

  • 空虚なチームになっていってしまった段階について

    • 新しいメンバーが入ってきたり、組織再編で構造が変わったりすると、今まで無意識に共有できてた価値観を引き続き共有し続けるのは難しそう

    • チーム単位のミーティングがなくなると、確かにチームという単位には重要性を感じなくなっちゃうなあ

    • メンバーからすると、リーダーというものがいる以上、リーダー不在で考えて話し合っても結局「xxさんは何を考えているんだろう」が気になってしまう。自ら生み出す動きと、他人が持ってる答えを探す活動が混在するのは疲れるよなあと思いました

  • チームが再び上向いていった段階

    • リーダーが想いを表明することはすごい大事だと思いつつ、チームの空気があんまり良くないであろう状況下で、実際に表明したのがすごいなと思いました。リーダーの想いが理解できれば、メンバーがそこから自分たちがどう動くべきかに集中できる

    • 「妖怪ウォッチ」という名付けがいいし、活動もすごいいいなあと思いました。そして、その問題を良くするではなく、「もっと悪くするには」という問いがすごく良くて、自分の仕事にも取り入れたいなあと思いました

  • チームレジリエンスが下がることが問題なんじゃなくて、下がったことを認識して対応できることが大事なんだろうなあ


製造業にも活かせるアジャイル事始め

https://confengine.com/conferences/scrum-fest-mikawa-2024/proposal/20368

  • 製造業ではアジャイルという用語があまり一般的でない?アジャイル側は
    トヨタ生産方式のことを知っているのに、逆はそうでないんだというのが

  • まずは7つの無駄消しから入りましょうという呼びかけについて、自分が知っている用語に捉われず、相手がよく知る概念から入っていくことは確かに効果的かもと思いました(アジャイルを導入すること自体が目的ではないもんね)

  • 作りすぎの無駄からせめていく理由として、それ無駄の多くを占めているというのは、ソフトウェアの世界でも一緒だなあと感じました。とりあえずやっとこうか」でタスクが積まれてしまうことはめっちゃある。。。


わたしたちはいかに聴いて話せない動物なのかを体験するワークショップ

https://confengine.com/conferences/scrum-fest-mikawa-2024/proposal/20287

  • ワークショップ中に感じたこと

    • 前の人の物語を繋ぐ形で自分も話さなくちゃいけなくて、そのためにめちゃくちゃ考えながら話を聴いてたのでプレッシャーがやばかったです

    • 後から振り返ってみると、常時焦りながら相手の話を聴いていた。考える材料を得るために話を聴いていて、相手の話を理解するためには聴いてなかったように思う

    • (ワークショップの目的からは外れるけど)実際にやってみる前までは「自分は創作能力もないし、前の人に続いてその場で物語を話すことなんて無理だ」と思っていた。でも、実際やってみると意外といけてびっくりした。多分こういうことって他にもたくさんある

  • そこから考えたこと

    • 会議などで相手が自分の痛いところをついてきてたり、自分の話を理解していないと感じた時、私は相手にどう返事するかを考えながら聴いてしまっているなと感じました

    • それってちゃんと相手の話聴けてるだろうか?そうじゃないように思う

キラキラしてない製造業で会社を変えるために地味に泥臭く改善していきたい

https://confengine.com/conferences/scrum-fest-mikawa-2024/proposal/20306

  • 「品質担保のための厳格な規格と変わることに適していない会社体制」が課題であるという話があったけど、実際人の命が関わるとなると、かえることへのハードルはすごい高そうだな。変えた後に問題が起きたら、それが原因だと見なされちゃうんだろうなあ

  • コミュニティは存在しているが一部の人しか発信していない背景として、多くの人が情報収集を目的にしているという状況があるとのことだった。悩ましいことだよねと思いつつも、公務員時代のことを思い出すと発信してない人たちの感覚も理解できる気がした。

  • 公務員時代は、仕事=上の指示・組織のルールに従うことという感覚だった。それに反する意見を言うと上司や同僚に迷惑がかかるのはほぼ確実なので、自分の考えを発信するときはものすごい覚悟を決めた時だけだった。

  • 改善のための取り組みを色々されてる最中とのことなので、半年後・一年後に是非またお話ししてほしいなあと思った。

全体通して

先月スクフェス仙台に参加した時も感じたんですが、地域ならではの特色とか課題とか、人と話して初めてわかることがあり、本当に現地参加して良かったと思える2日間でした。

7月に故郷の札幌に戻り、スクフェス仙台・三河と現地参加したのですが、どうやら私は「日本なんて小さい島国だし、公用語は日本語しかない国だし、仕事するにあたってどの地域も大差ないんじゃないか」と無意識に思っていたようだということに気づきました。
仙台でも三河でも、現地に行って話を聞いて初めて知ることがたくさんあったし、特に愛知県の特徴的な産業体系について、実際そこで活躍されている人の話から理解できることがものすごく多くありました。
私は札幌と東京&神奈川(あと、少しだけ京都)での生活を経験しただけでなんとなく日本全体を分かった気になってたんだなあ。。。ということに気づきました。そんな自分に落ち込んでますが、それに気づけたことは本当に良かったと思います。

そしてこれはどこのスクフェスに参加しても感じることなんですが、どなたに話しかけても、会話の途中に輪に入ろうとしても皆さん快く受け入れて下るのがすごいなあと思いました。
迷惑がられたらどうしようという心配を全くする必要がなくて、安心しながら交流と学びに集中できるのは本当に素晴らしいなと感じています。

番外編:火災報知器発報に伴う会場からの避難

二日目の夕方頃、そろそろクロージングが始まろうかというタイミングで、会場の火災報知器が発報しました。

会場は5階で火災が発生したのは4階。発報直後は「え、避難訓練?」という声もどこかから聞こえたりしましたが、それから10秒もしないうちに各々動き始めました。
火災が起きている様子は特に見えなかったし実際誤報だったんですが、「どうせ誤報でしょ」などと言って動かない人は誰一人おらず、そして誰かが大声で避難を呼びかけたわけでもなかったのに、各々が判断して避難をし始める様は本当にすごかったです。
「自分で考えて判断する」が身に染み付いている集団だとこんな動きができるという具体例を目の当たりにすることができて、印象深い一幕でした。

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