ヒトリボッチ帝國リターンズ第十二回「声の主に書いた手紙その1」

’23年5月28日

声の主に書いた手紙

昨日書いた通り、声の主に書いた手紙を公開する。本人の名前の部分は当然イニシャルになっている。長い文章になってしまったが、明日も含めれば全体的な日記になっている。

IAさんの家族の方々へ

お久しぶりです。何度も手紙を出していますが、何度も無視されています。そのことでこちらは怒ってはいますが、ここでその怒りを書いたところで手紙を読んでもらえないという状況になってしまいそうなので、ここではそのことを後回しにします。少なくともこちらは怒っているし、絶望的な気持ちにもなっている事だけでも知っておいて下さい。

 Iさんの実家の玄関を潜ってからもう何年も経ちました。相変わらず声は聞こえ続けているし、声は自分のことをIAさん本人だと自己主張しています。僕は中学の頃、彼女に声を読まれた経験があるためか、この声をIAさん本人のものと思うのに全く抵抗はないのですが、実際に彼女の両親を通して帰ってきた言葉は「そんな事実は全くない」というようなニュアンスの言葉だったと聞いています。繰り返しますが、彼女が僕の心の中を何度も笑ったり読んだりした経験があるせいか、彼女の「そんな事実は全くない」との主張を僕は信じることはできません。
 それを受け入れて、「はい了解しました。あとは何の問題もありません」という状況だったら、僕もその後も何度も手紙を出そうという気にはならない筈です。でも実際には、僕は何度も手紙を書くという行為に走っています。僕の頭の中に聞こえる声が「会ってくれ」といまだに自己主張してくるせいです。
 声は仕事などをしているとずっと聞こえ続けてきます。心の病からくる声ならば薬が効きますが、おそらく本人からの言葉なので、薬なんかは一切効きません。精神科には「これは病気じゃない。本当の人間の声だ。本人と実際に会ってその本人に「これは私じゃないよ」と言われるまで、僕は病気じゃないのだから何の治療も受けたくない。逆に言えばそう本人に面と向かって言われたらその時はこれは病気なのでどんな治療も受け入れる」と言っているにもかかわらず、精神科医は意味がわからないのか、完全にこちらのいうことが頭がおかしい人間のことだとでも思っているのか、僕を馬鹿にしているのか、これを完全に無視して治療のみをしようとします。
 正直に書くとIAさん本人に会って確認する以外に治療法は存在しません。会うのが駄目ならば電話越しでも構わないので話をさせてください。僕の頭の中で聞こえ続けている人間の声がIAさん本人のものなのかどうかを本人に確認してみたい。それだけなのです。
 僕も男なので一時期はビッグになって、IAさん本人にも名が届くくらい有名になって向こうから近づいてきてほしいと思っていた時期もありました。ただ、声のせいで、人間のやるすべての生活にやる気を失ってから睡眠中毒になって、いろんなことを積み重ねることができなくなりました。
 かろうじて少しの時間でアイディアを出したり、働いたりなどはできますが、正直このまま生きていても大成功を収めるのは難しいでしょう。少なくとも僕がサトラレで他人にも声が聞こえていて、IAさんとのやりとりも周囲に筒抜けのような状況でなければの話ですが。逆にそれが事実であるのならば合えば少しくらいは生活を上向ける施策はあるということは言ってはおきます。あまりにも僕が無能だと思われても不愉快なので。あくまで僕が苦しめられているのはIAさんとの関係のみです。
 僕には頭の中の声がIAさんのものであるという確信があります。少なくとも僕は中学校を卒業して以降IAさんとは一度も会っていないにも関わらず、IAさん当人からものすごく嫌われていたというのは、僕の頭の中の声をIAさん本人が聞いていて、頭の中の声同士がやりとりされたからということ以外考えられないからです。どう考えても会ってもいない人間に手紙を出して、その手紙の内容だけからそんなに拒絶されるほど嫌われるのは難しいと思います。少なくとも好かれようと思って書いた手紙だったものからはそうでしょう。
 ただ、その証拠はどこにもないので僕は強く言うことができないだけです。
 僕とAさんの声のやりとりが喧嘩ばかりだったのは僕がAさんとの関係性を軽く考えていたからです。僕はAさんがどうしても僕と一緒になるしかない運命だということを知りませんでした。僕とAさんはサトラレであり、もともと相手のことを思うように仕向けられて結ばれるように組まれた人間同士なのではないかと僕は思っています。この事は2006年辺りにアニメ化されたメジャーという漫画を読んで結論に達しました。僕はこの漫画の主人公、茂野吾郎、Aさんはそのライバルであり親友の佐藤寿也のモデルにして中学校から高校までの進路が描かれています。漫画が本当だとするとサトラレという漫画の中のサトラレ政策(心が読まれる代わりに天才であるサトラレを守るために大人になるまで進路を決めて無事に生きていけるようにする取り組み)が実際に取られていているのではないか。メジャーの中の海堂高校の野球育成マニュアルは不幸があったサトラレがモチーフになっているのではないか。
 Aさんの家族は遠くから僕と運命を共にするために遠くの他にサトラレ政策から急遽僕の元に送られてきたのではないか? 彼女は僕の声が聞こえるのを知っていたからわざと揶揄うようなことをしていたのでは? 僕がAさんと何とか付き合うように仕向けるのがAさんの筋だったのに、僕があまりにも自分に自信がなかったからそれが関係を悪化させる原因になってしまったのではないでしょうか。
 僕は彼女の声から「付き合って」と言われても無視していました。自信がないからもっといい人と付き合った方が彼女のためになると本気で思ってました。
 しかし、その後声は聞こえ続け「いじわる。何で付き合ってくれないの?」となり、「鬼付き合ってくれてもいいのに」となってきました。
 あまりにもしつこいので、付き合ってくれと手紙を出しましたが向こうからは無視されました。それでももっとアプローチしてきてと催促がなされるのです。ふざけるなと思いました。
 「付き合おうよ」「彼女はそんなの望んでいないよ」
「大丈夫だから付き合おう」「だから彼女は望んでないってば」
 結局その後声の主とは喧嘩になることが多くなりこちらから「死ね」と心の中の声で言うと「いつものジロウちゃんじゃない」といわれ、その後罵倒はエスカレートしていき、僕は死にたいなと思うようになりました。それと同時にAさんを恨むようになり彼女への罵倒はどんどん酷いものとなり彼女もこのままじゃ生きてられないとなったのでしょう。
 彼女と会いたいんじゃなかったのかと言われればメジャーを読む前は声の居心地を悪くして声越しに殺そうと思うくらい嫌いでした。しかし、メジャーを読んでその事実を悟ってからは方向が真逆になりました。それから先は彼女に会ってお詫びがしたい。そう思えるようになりました。ただ、それからというものの、一度も彼女に連絡が取れず、生身の彼女とは会えない状況が続いているのです。
 メジャーのことは事実なのか、それはわかりません。ただし、声の主はそれを全て肯定してくれました。中にはこちらが知りたくもなかった情報もありました。しかし、それがどこまで本当のことなのか本人に確かめてみるまでわからないのです。
 生身の彼女とはどこまで話が通っているのでしょうか?
 少なくともIさんの家族から聞いた話は僕とはもう会いたくないとの事でした。だから僕は彼女とは距離を置いていました。
 しかし、その会えなかった15年間に聞こえてきた声から伝えられたのは声は本物のIAさんで、実際には僕に会いたいと言う事を言ってき続けています。
 僕にはどちらが本当のAさんの本当の声なのかがわかりません。
 少なくとも僕が働いている間に延々と聞こえ続けて、生活を脅かされているのは事実です。しかし、会いに行こうとチャイムを鳴らせばそれもこちらのストーカー行為で犯罪です。チャイムを鳴らしても本人には会えないのでこちらはどうせストーカーになるなら本人から直接訴えられたかったと思います。
 正直Iさんのことを思うのはもうキツいです。せめてAさんが誰かと結婚しているのならばそれがいいなと思っています。でもそうでないのならば少しくらいはチャンスをください。
 まだ僕のことを信用していないのかもしれませんが、Aさんも僕との関係をよくしたいと思っているのかもしれませんよ。彼女のためを思っての行動が実は彼女を苦しめる結果になってるかもしれないじゃないですか。
 僕だって声のやり取りで精神的に相当苦しんでいるわけじゃないですか。もしかしたらAさん本人も心
の中の声が聞こえるのであれば彼女も相当傷ついているのかもしれませんよ? 騙されたと思って僕にチャンスをください。

 この最悪な中途半端な状態が15年も続いている事に僕は怒っています。相当精神的に追い詰められているので、どんなことをしてもおかしくありません。はっきり書くとこちらはあまりにも追い詰められているにも関わらず相手にしてくれないので、Iさんの実家の家に火をつけようと思ったことも何度もあるのは事実です。死のうと思ったことも一度や二度じゃないくらい切羽詰まってます。そういった人間をさらに追い詰めるとどうなるのか想像がつかないのでしょうか?
 警察に相談してもいいです。と言うかこちらも警察に相談して話を取り持ってもらおうかと思って警察署に出向いたのですが、相手は何もしていないという理由で断られました。

 こちらからの見方としてはあなたがたは僕に死ねと何度も言っている状態です。
 こちらを車で引いたのにも関わらず、別に何も賠償を払わずにしらばっくれてるようなものです。こちらがやったことは事実を聞いたことそれだけです。それなのに最低限のことすら答えない。どうしてでしょうか?
 ただ、本人に話を聞きたいだけ、こちらはそれを全て受け入れるつもりです(それはIさん家族からしてみれば滑稽に見えるかもしれませんが、Iさん達が僕にもう二度と近づくなと言えば僕はもう二度と近づかないし、逆に僕と結婚しろと言われれば一生大事にする、一生面倒を見ると言う意味でもあります)。どちらの方向になっても大丈夫なように心理的にはなっています。ただこのままの状態だと、どちらの態度を取るのが正解なのが見えてこないのです。
 本人が僕と会うか、会話をするという形で(その場に僕と一緒にいるのが不安ならば別に警察が立ち会ってもいいし、こちらを拘束した状態で会うという事になっても)構いません。
 ここまで書いてもそれでも本人が会いたくないといっているという状況は何なのでしょうか? 
 Aさんは家族のことを何とも思っていないのでしょうか?
 僕のことを人間だと思っていないのでしょうか?

 少なくとも、このままだと不幸な出来事が必ず起きます。僕が自殺することかもしれませんし、あなた達の身に何かしらの危険が及ぶ事になるのかもしれません。
 ただ、言えることがあるとすればそれでも無視するということは、こちらはそれを話し合いで解決したいと望んでいたことを一方的に拒んだという事実が残るということです。
 僕は相当精神的に追い詰められています。にも関わらず話し合いでの解決を望んでいるのです。この状況を当たり前のことだと思ってはいけません。僕の強い精神的な意志があるからそうなっているだけです。
 
 僕のことを心の声が聞こえるとかほざいてる馬鹿な存在だと思っているでしょう? 気持ち悪い存在だと思っているでしょう? でも、こちらの方もそちらを一方的に声だけを送り続ける気持ち悪い存在だと思っているんですよ?
 たまたまこの世ので心の声があるという事にはなっていないから(そういう事にしてねじ伏せているから)そうだなってなっているだけです。
 逆の立場だったら相手が何もせず、反応すらしない状況にイラッと来るのは当たり前の話じゃないですか。
 あなた方は僕を犯罪者に祭り上げたいのですか?
 僕はこの声が聞こえ始めた頃Iさんの実家の前で声が「私のことお風呂でのぞいていいよ」といってきても覗かなかった人間です。悪いことはしませんよ。僕は悪いことを問い詰めたくて手紙を出してるわけではありません。
 僕は正しいことがわからないから何度も質問している、ただそれだけです。
 それでも今回も無視されるようだったらそれはこちらに宣戦布告しているのだ、そう受けとっても構わないという意思表示をしていると認識します。これを撤回させられるのは今だけです。
 これがそれでも無視されるようであれば、今度はテレビ局に話を持ちかけます。そこで無視されたらYouTuberに話を持ちかけてなるべく話を大ごとにします。話が大きくなるまでありとあらゆる手を使います。
 こちらだって怒りたくはありません。少なくとも好きだった人の家族に悪いことを言いたくはないのです。
 Aさん本人に会うか会話をして、心の声がAさんのものかどうか確認させてください。
僕の願いはそれだけです。
 よろしくお願いいたします。 熊谷次郎

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