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2022/8/15 終戦記念日に考えたことの話

日本人にとって、2022/8/15は大事な日です。終戦記念日です。
今年も正午に黙祷をしました。

そろそろ人生30周年が見えてきた私ですが、この日に対する考え方と感じ方に変化しないこと・変化したことがあると思っています。なので今日、久々に書きました。

子供の頃は、戦争は多くの人の命を無差別に奪うひどいものだから絶対に二度とやっちゃいけないことだ、と周囲から教え込まれてきました。
それは今も変わらないことです。現在も世界の色んなところで大小様々な戦いがあり、多くの命が失われています。特に今年はロシアのウクライナ侵攻のニュースを頻繁に見ることで、戦争の恐ろしさをより身近に感じています。こんな風に自分の命が、自分の周りの大切な人たちの命が終わってしまったら、と思うとそれだけで悲しみと怒りと恐怖が込み上げてきて、冷静な気持ちではいられなくなります。

小学生の頃、小学校で戦争体験者に戦争体験について聞くという宿題が出され、父方の祖父にインタビューしたことを覚えています。
祖父は快くインタビューに答えてくれました。が、空襲の戦火の中、妹たちを連れて命からがら逃げた話を聞かせてくれた時、ぐったりとうなだれて声にも力がなくポツポツと話していました。あの時は、もう死んだな、と思ったそうです。どうやって宿題をまとめて提出したかは覚えていませんが、話してくれた祖父の姿は今でも鮮烈に残っています。優しくて孫を全力で甘やかしてくれる祖父から発せられる内容とはとても思えませんでした。
祖父も数年前に亡くなりました。戦争体験者から話を直接聞くということ、それ自体がとても貴重で、自分の中に議論を起こさせる痛烈な経験になるんだと私は思っています。だからこそ、戦争体験者の高齢化に伴う語り部の継承問題は、それだけ平和が長く続いている証拠と手放しに喜ぶこともできずにいます。

その一方で、二度とやっちゃいけないと教え込まれてきた戦争(もしくは紛争や内戦など)が世界では今も無くなっていないことに段々と気付きました。
私の記憶に残る、私の人生最初のリアルタイムの戦争は、アフガニスタン戦争です。車の中で戦局を伝えるラジオを聴きながら、親に習い事の送り迎えをしてもらっていたことを覚えています。アメリカ軍が撤退した途端にアフガニスタンは様変わりし、あの頃のことを最近よく思い出しています。
ロシア軍のウクライナ侵攻もあります。ミャンマーでは軍主導の制裁が続いています。宗教による国家間の対立もあります。
そして、戦争はダメだと言いつつも止められない私たちがいます。
無力さというか、絶対やっちゃダメだと世界のみんなが思っている訳じゃないんだな、と裏切られた気分になりました。これは変わったことというより、現状を知って辛くなったことです。

更に、近年ではNHKや様々なメディアで、日本や日本軍の戦前・戦中の振る舞いについて掘り下げた特集が組まれていることをよく見るようになりました。
私に戦争はいけないことだ、と教えてくれた人たちは家族や学校の先生が主です。みんなの先祖は一般の国民で、お国のために死ねと言われたり空襲などの攻撃に振り回されてきた人たちの子孫たちです。ひどい目に遭わされたから戦争は駄目。被害者目線での話でした。それはその通りだと今も確信しています。
ですが、戦前の日本軍の振る舞いを少しずつ知りました。日本国民も被害者ですが、世界の中の大日本帝国の臣民という視点で見てみると、私たちの先祖は加害者になります。それも本当に残虐で倫理に反していることばかりをしてきていました。国家総動員法があったにせよ、その行為に加担していたのです。
これは仕方ないことだ、と思うこともありましたが、今のロシア軍の振る舞いを見ているとぐちゃぐちゃした気分になります。私たちの先祖はただの被害者なんだ、と思っていた私の心に生じた最初の変化です。

第二次世界大戦下での残虐行為の象徴はナチスドイツだと思っていました。
小さな頃からユダヤ人差別については学校でも習い、アンネの日記に触れる機会もありました。当時のドイツ軍や差別に積極的に加担したドイツ国民に大きな怒りを感じました。ナチスドイツについて組まれたドキュメント番組を観たことがありますが、ドイツ国民は今もこれからもこの大きな出来事と真摯に向き合い、平和について考え行動していく義務があるというようなことをインタビューされた専門家のような人が答えていた場面が印象的でした。
私は、日本国民として、第二次世界大戦で日本軍が行ったことに対して真摯に向き合い、平和について考え行動してきたのでしょうか。先の大戦の残虐行為の象徴は、ナチスドイツだけなのでしょうか。思わず考えることを避ける自分がいることに気付かされます。

先月、マンガ版の「日本のいちばん長い日」を読みました。

https://www.amazon.co.jp/日本のいちばん長い日--半藤-一利/dp/4160901263

勉強不足な私にはしんどすぎる内容でしたが、これも現実の一場面だったということを知りました。今の私には知識が大きく不足していて文章力も伴わず、戦前・戦中に日本軍が何を行ってきたか書くことができていませんが、こちらで一端を知ることができると思い、お勧めすることで代えさせてもらえればと思います。
ぜひ読んでみてほしいです。漫画で読みやすくなっていますし、上下巻なので長すぎて挫折する、ということはないと思います。



私は今、甲子園を見ながらエアコンの効いた涼しい部屋でこれを書いています。
飲みたい時に清潔な水を飲み、食べたい時にポチポチっとスマホをいじれば美味しく安全に調理された食べ物が届く時代です。諸外国とのきな臭いやり取りもなくはないですが、ここ30年間の日本は外国に大きな危害を加えていないと思っています。
そんな時代の今日この日、苦々しくも考えた色々なことでした。


くまふく

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