母の脱走 VS 病院のルール

『サイレントマジョリティー』の中に「誰かと違うことに
何をためらうのだろう … 君は君らしくやりたいことをやるだけさ
One of themに成り下がるな … No!と言いなよ! … Yesでいいのか?」というような歌詞があった。

数年前に一度手術はしたはずだが、転移があったのか、手術することになった。88歳にもなって手術が必要なのかと質問したところ、抗がん剤の効かないタイプで、進行が早いと楽しくないことがいろいろ起こるので手術が必要との説明。

左胸の一部とワキを手術して1週間から10日間の入院のはずが、3日目に病棟看護師から「昼食後から行方不明」との電話あり。母の妹である叔母に連絡したが、「コロナで面会禁止を知っているので行ってない。タバコを吸いに抜け出したのではないか。」とのこと。

約1時間半後に病棟から電話があり、戻ったとの知らせ。タクシーに乗って自宅に戻ったものの、カギがないため入れず戻ったらしい。読む本がなくなったので探しに戻ったとか。

それにしても、ドレーンつけたままでよくタクシーに乗れたなあと。痛みはないのか、まあ、それは良いことなのか。そもそも、外出禁止のはずだがまあ、そんなものは母には関係ない。

4日目、病棟から電話。「またですか?」ときいたら、看護師も苦笑。
どうしても家に戻って本を取りに行くと言い張る母に医師も根負けして、家族付添での外出を認めたので、迎えに来てほしいとのこと!

妻が迎えに行ったところ、医師のほか病棟婦長と看護婦(あ、師長、看護師が正しいのね)、担当医ではない若い医師が集まり、さながら査問委員会の様相。昨日の脱走騒ぎについて、外出は禁止されている、責任は負えないなどと、こっぴどく叱責されたらしい。医師の言葉に母が「昨日から叱られてばかり。家に帰って何が悪い。」と開き直ったようだが、行方不明になって病棟は大騒ぎになり警察に連絡することも考えたようなので、業務妨害と言われても仕方ないレベル。

医師のあまりの剣幕に妻が驚いて母の外出は断念して病院にいてもらうことにして、読みたい本を教えてもらって家で選んで持ってくると約束する羽目に。

まあ、今88歳の母にとって守るべきルールは何一つなく、自分の思うとおりに進むだけなのだ。そして、元教員の母にとって、孫のような医師がルールを守れなど言っても笑止なのだろう。

ただ、コロナ禍において病院にリスクと混乱を招いたことは事実なので、そこは猛省すべき。

インシデント、リスクマネジメントとしては、ルール遵守を患者の意思に任せるのではなく、入院時にGPSあるいはタグ付きのバンドを装着して、脱走防止や位置把握に努めるべきではないか。むしろ、何かあったときに病院の責任を問われかねないのではないかと心配になった。

GPSで位置情報を把握することによる無断離脱防止はシステム的には難しくはなさそうだが、愛知県でほかのバイタル情報把握とともに実証実験中らしい。(次のリンク先を参照)

次世代型病院の実現に向けた、新たな運用・管理システムの実証実験を開始

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