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小2の甥っ子に本気で神経衰弱で負けた。そして彼はそれを日記に綴った。

小学2年生の甥っ子に、神経衰弱で負けた。

あの、記憶力を要するトランプゲームの「神経衰弱」だ。


恥を忍んで正直に言おう。

大人相手に果敢に戦いを挑んでくる子どもに情けをかけて負けてあげたのではない。

真っ向勝負をして負けたのである。


見たものを一瞬で記憶できる人がいると、どこかの何かで何かのタイミングで聞いたことがある。

写真を取ったように記憶できるとかなんとか。

もし今、目の前に神龍シェンロンが出てきて「何でも好きな能力を一つ与えよう」と言われたら、迷わず持っているドラゴンボールを渡してその記憶力をゲットしたい。

甥っ子にこの能力がある……わけではない。

私の記憶力が壊滅的なのだ。


つい最近、日傘を差して歩きながら「あ!日傘忘れた!」と言って隣にいた彼をドン引きさせた。

眼鏡をしたまま「メガネ、メガネ」と探す横山やすし師匠もびっくりの「日傘、日傘」である。


久しぶりに甥っ子に会いに行った日、オセロに誘われ勝負をした。

「ここたくさん取れるよ!」

と教えてくれる心優しい7歳の甥っ子に

「いや、そこじゃないんだよ」

と本気を出した私は四面全て白に揃えあげ、甥っ子の持つ黒はわずか7個という結果に終わった。


大人げないとお思いだろうか。

その通り。

でもね!一時の欲に負けて思いのまま行動すると、結果的に悪い結果に繋がることもあるよという教えでもあるんです。

と、今思った。


そして夕飯の準備時間。

「神経衰弱しよう!」

とキラキラした目で私に勝負を挑んでくる甥っ子。

「ご飯食べてからね!」

オセロで圧勝した私は大人の余裕で返した。


酒豪の私がまだ缶ビールを1本飲み切る前に甥っ子はご飯を爆速で食べ、居間へ移動していった。

2、3分して「ねぇまだー?」とリビングに戻ってきたので1本目のビールをぐびっと飲み干し、2本目のビールを片手に居間へ移動した。


少しも重なることなく、ちょうど甥っ子の腕で届く範囲に広げられたトランプに少々気押された。

これを1枚ずつ開いていくのか……
お、覚えられる気がしない。


「じゃんけんしよう!勝った方からね!」

甥っ子よ。神経衰弱においては先行は不利なのだよ。
と教える前にシンプルにじゃんけんに勝った私は

「よし!私からね!」

と、大人の対応をかました。

そして1回目の勝負では、開いた記憶のないカードがたまたま当たるという奇跡を起こしまくり、7歳の甥っ子にまたしても勝利した。

負けず嫌いの甥っ子のことだから泣いちゃうかな?と思ったが闘志は消えておらず、「もう一回ね!」と真剣にトランプを混ぜ始めた。
私に拒否権はない。勝ち逃げはできないということだ。


ちなみに、記憶力が壊滅的な私の脳内が神経衰弱中にどうなっているかというと、開いたトランプを確認し、「ふんふん」と覚え、裏返しにして少しでも目線をそらした瞬間に、場所も数字も絵柄もスコンと記憶からなくなる。


「そこ3回目よ!!」


と笑う甥っ子。

え?そうだっけ?


置いてあるトランプが半分ほど減ったあたりで甥っ子が覚醒しはじめた。

バッサバッサ当てていくのである。

彼がときどきミスをしたカードを、「チャンス!」とばかりに私が1セットいただきはしたものの、それはそれは見事に甥っ子が圧勝した。


その日の夜、学校の宿題で日記を書いたらしく、LINEに写真が送られてきた。

「しんせきのおねえちゃんがきました。いっしょにトランプをしました。しんけいすいじゃくを二回しました。一回目はまけました。二回目は、ボロがちしました。おにいちゃんと、お母さんとスピードをしました。でも、かてませんでした。でも、たのしかったです。」

7歳甥っ子の日記原文通り


ボロがち。笑


これを読んだ学校の先生は思うだろう。

「二回目は負けてあげたんだな」

と。

いえ、ボロ負けしました。ボッコボコでした。


そしてお気づきだろうか。


「しんせきのおねえちゃん」


伯母さんでありオバサンでもある私を「おねえちゃん」と呼ぶ甥っ子。

絶対モテ男になるよ!

今度あったときはレディファーストを教えよう。

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