スターバックスに入れない。

スターバックスにほとんど入ったことがない。
というか、入れない。
この世に生を受けて今年で20年、入った回数は片手を持て余すくらい。
高校時代の通学ルートに少なくとも一軒はあったが、「今日もやってんなぁ」と目の前を通り過ぎるだけ。
朝の8時前後、見るからに甘そうなドリンクを飲みバナナとかサンドイッチを食べつつパソコンやスマートフォンを操作している人々を外から見ては「オシャレ〜」と思いつつバス停に向かって歩いていた。
自分もその真似事をしたいと思ったことがある。
でも出来ない。

「スタバとは、甘い物を飲むための修行の場」だと思っているからだ。

以下、私のスターバックスに対する勝手な想像である。

スターバックスに入り、レジに並び、自分の順番が来たら店員という名の高僧?に向かって持参した道具を手に持ち注文をする。

この注文こそが「修行」である。
「抹茶フラペチーノのトール」なんと言うのはど素人だ。
厳しい修行を重ねてきた高僧や高位の神父・シスターになると、私のような何も知らない人が聞いてると「コイツは一体何を言ってるんだ?」と思いそうなくらい長い呪文を唱えるのだ。この長い呪文こそが「注文」であり「修行」なのだ。
ある者は数珠を片手に木魚を叩きながら注文し、またあるものは十字架と聖書を持ち祈りを捧げながら注文する。
ただ長い呪文を意味もなく唱えているわけではない。その中には、サイズ、トッピング、オプションなど実に多種多様な注文をしているのだ。
複雑で聞いたこともないような横文字をさも当たり前のようにスラスラと、下手すりゃ数十秒に渡って唱える。あんなに長い注文をするのはスターバックスとラーメン二郎ぐらいではないだろうか。
晴れて注文に成功すると、店員が「合格!」と言わんばかりの笑顔で「680円です」とか言ってくる。
お金を支払い、商品を受け取る。これで一連の修行は終わりである。

以上勝手な想像終わり。

私はどうも呪文を唱えるのが苦手だ。どういう単語があるのか、それはどういう意味なのか、それを注文するとどうなるのか、全く分からない。

ならば、コーヒーを注文すればいいじゃないか。1番注文が楽だ。ホットかアイス、サイズを伝えればそれで済む。
ところが私はコーヒーが飲めない。
ホットコーヒーを飲むと、数時間後に気分が悪くなる。
アイスコーヒーを飲むと、単純に夜寝られなくなる。
どうしようもない。
だからスターバックスに入れない。
入れないというか、呪文を唱えられないので避けている、の方が正しい。というか、そもそもあれは注文であって呪文ではない。

それでも克服したいという気持ちが全く無いわけではない。いきなり長い注文をする必要なんてどこにもない。出来ないなら、出来るところから始めよう。

「抹茶フラペチーノのトールください。」


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