「おいで」の時間を待っている
山崎まさよしさんが好きになって、もう26年くらい経つ。
私が17歳の時に出会ったドラマの主人公が、彼だった。
そのドラマのストーリーはこうだ。
20代の青年がある事件により記憶をなくしてしまった。彼は赤ちゃんみたいな状態から人生をやり直し、現在は8歳児として生きている。
そんな難易度の高い役柄を、役者でもなんでもない彼が抜擢された理由について「頭ん中が普段から8歳児に近そうやからって言われたわ」とけたけたと笑いながら話す姿に、私は一気に心を奪われ、ぐいぐいと惹かれてしまった。
また、ドラマの番宣で、あるバラエティ番組に出ていた時に、1人だけテレビ慣れしていない、戸惑い気味の不器用な姿が非常に気になってしまった。
昔から、不器用な人が気になるたちなのだ。
そんなところからの付き合いであるが、私も歳を取り、彼も歳を取った。
若い頃のインタビュー雑誌を、まだいくつか本棚に残していたりするので、たまにぺらぺらと読むが、当たり前だが発言が若いなぁと思う。
読んでいた当時は私も若かったので、なんとも思わなかったところが、今はとてもまぶしくうつる。粗かったり、エネルギーを持て余すくらいの行き場のない感情などに、てらいのなさを感じ、この時にしか出せない楽曲や生き方をしていたのだなと、ひしひしと感じたりする。
お互い変わりましたな、と思う。
もちろん変わらない根っこの部分というものはある。根差した根っこは、周りからは見えないだけで、私も彼も地中の奥深くまで根っこの先を伸ばしているのであろう。
けれども、咲かせる花はおそらく変わる。それは土壌や、光や水が、その時々で変わるからだ。外界からの刺激がこれに当たるのかもしれない。
「推しのアーティスト」とひとことでくくればそれまでだが。
私にとっての山崎まさよしさんは、同じ時代を一緒に生きている同志のような、そんな感覚が強い。
前置きが長くなったが、彼が今シーズンのドラマに出演している。
ドラマは前述した「奇跡の人」から26年ぶりの出演となる。
び、BL?!
い、イケオジ料理研究家?!
「イケオジか〜???」とファンとしては思うのだが、そのように表記されているからそのような役なのだろう。
始まってみて、第二話まで試聴したが
恥を偲んで書いてみる。
悪いが、私は
このドラマに
とてつもなく癒されている
なんだかわからないけど、この山崎まさよし扮する三ツ矢先生を見ていると、全身の力が抜けて、思わずニコニコしてしまうのだ。
三ツ矢先生は、編集者が来るたびに料理をもてなすが、その料理がとても美味しそうだ。
第一話の「夏野菜の揚げ浸しぶっかけそうめん」もいいし第二話の「きのこたっぷり和風あんかけオムライス」もいい。
ドラマ自体はコメディカルで、オーバーな動きをしていて、ひと昔前の古さを感じたりするのだが、それがかえって私の心を和ませる。
誰かと一緒にご飯を食べることって、すごくすごくいいことなんだなって、あらためて思った。
三ツ矢先生が石田くんに「おまじない」と言うセリフがあるが、私もおまじないをかけられていると思う。
あぁ〜こんな先生、近所にいたらいりびたっちゃう。近所にいないかなぁ〜と、毎回私は大きな声でつぶやいている。
つぶやき先は横にいる人。
私の夫だ。
私の夫は、私が山崎まさよしさんが好きなのを、それこそお付き合いする前から、ずっとずっと知っていて、そして、私のファン活動には協力的だ。
まさよしさんの情報があれば、私にすぐさま教えてくれたり、ライブに行きたいと言えば共に同行してくれるし、家でまさよしさんの歌を聞いたり私が鼻歌を歌っていても、嫌な顔をせずに、むしろ彼自身も聞いているうちに、そんじょそこらの一般人より山崎まさよしさんの歌に詳しくなってしまった。
今回のドラマはリアルタイムでは見られないので、アーカイブ配信を見ている。
見る時は夫が「もう配信見られるよ」という声かけから、視聴タイムが始まる。
仕事が終わって帰ってきて、夕飯を食べた後の時間。
「おいで」と言わんばかりに、夫がソファでタブレットをセッティングしてくれるのを、私は実は心待ちにしている。
2人でソファであーだこーだ言いながら(あーだこーだ言ってるのは大体私だが)ドラマを見る時間が、私の最近の癒しタイムである。
日々心がすりきれるようなこともあるが、癒しを得ながら、なんとか暑い日々を過ごしていきたいと願う。
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