マガジンのカバー画像

わたしやかぞくのはなし

195
わたしやわたしをとりまく家族たちの話です。
運営しているクリエイター

2024年6月の記事一覧

コンラッドはまたの機会に

夫婦でお出かけをした。 一日かけてのお出かけは、あの時以来である。 誕生日が近いということで、我が子たちが「行ってきていいよ」と言ってくれた。目指すは都内。二人の時にしか乗れないフェアレディZで海の上の道を走る。私が「はやーい」と言うと「言うほど速くスピードは出してないからね」と言われる。さいですか。 夫は、車内音楽をいつも私の好きにさせてくれるので、アップテンポの曲にした。私は夏が近づくとMONDO GROSSOがなぜだか聞きたくなる。あとはスーパーカーとかbirdと

星がぼやけた日

 その日、私は片手にアイスを持っていた。  それは「パピコ」という名前で、2つが隣り合わせの双子みたいな形をしていて、ぱきっと真ん中を割って、チューブ型の容器の先端の凹みがあるところをハサミでカットして、チューチューとシャーベットを吸い出して食べるアイスだった。  パピコは公会堂の冷蔵庫で先ほどまできんきんに冷やされていた。その片割れを持っている右手の指先が冷えてきた感触で、私は時々パピコの存在を思い出した。少しずつ口にくわえてチョココーヒー味の中身を味わう。  蚊にさ