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ちゃんとした洋食店のすゝめ

 魅惑の洋食

 洋食は西洋の食事ではない。明治日本があらゆる場面で近代化を進めていく中で確立された、「ヨーロッパ“風”の日本食」である。洋食はながく日本人に愛され、今となってはそのメニューは専門店が出来上がるほど人気だ。
 だが昨今はそのメニューの専門店ばかりがSNSで脚光を浴びている。それ自体は悪いことだとは思わないが、やはり僕はお店で「ハンバーグ美味しそうだなあ、あ、オムライスもあるな、うーん、このお店はどれが上手なんだろう」と悩みたいのだ。決まったメニューではなく、洋食店特有の豊富なバリエーションを持つメニューから選びたい。
 また、洋食店の良さは“ちゃんとしている”ことである。並ぶカトラリー、モダンな内装、こだわった器、老舗の貫禄。ドレスコードがあるような高級店ではないのにジャケットに袖を通したくなるような、そんな素敵な“ちゃんとした”お店が洋食店には多い。今日は文明開花の街銀座にある、僕のお気に入りの“ちゃんとした”洋食店をいくつか紹介しようと思う

 銀座スイス

 まずは銀座ガス灯通りにある銀座スイス。赤と白のストライプ模様のテントが目印のお店だ。(正式名称は銀座グリルスイスか、、?)
 このお店は戦後すぐ、岡田進之助が昭和22年に創業した。また別の機会で触れるが、麹町の宝亭で養われ、首相官邸で総料理長として活躍した彼は「洋食をもっといろいろな人に食べて欲しい」という思いからこの店を始めたらしい。このお店の味を、僕は懐かしいと表現したい。

千葉さんのカツカレー

 また、このお店は「カツカレー発祥の地」とされている。巨人の千葉茂がこの店で「カレーにカツをのせてくれ」と注文したことからカツカレーの歴史ははじまるのだ。「千葉さんのカツカレー」はこのお店の名物の一つにもなっている。


牛カツサンド

 もう一つ、このお店には名物がある。それは牛カツサンドだ。この牛カツサンドは美味しい!ピクルスと合わせて食べると最高だ。牛カツなのにすいすいいけてしまう、飲める牛カツサンドである。勿論テイクアウトもある。
 お腹いっぱい食べたい学生たちにおすすめしたい洋食店である。

銀座スイス
03-3563-3206
東京都中央区銀座3-5-16 
https://tabelog.com/tokyo/A1301/A130101/13002462/


 煉瓦亭

 煉瓦亭は銀座スイスから数年隣にある。明治28年創業の日本を代表する洋食の老舗である。現在の煉瓦亭の店舗は昭和39年に建てられた。

ハンバーグ

 僕の推しはハンバーグだ。卵とデミグラスソースの絡みが濃厚な味を引き立てる。

 またこのお店の名物は明治誕生オムライス。オムライス発祥の店(真偽は不明)と呼ばれる煉瓦亭のオムライスは、ライスに混ざっている合い挽き肉がアクセントになっている。
 近代化の雰囲気に触れたい時にオススメの店である。

煉瓦亭
050-5872-1852
東京都中央区銀座3-5-16 
https://tabelog.com/tokyo/A1301/A130101/13002430/

 みかわや

 最後に紹介するのは、少しガス灯通りから少し離れた銀座三越新館の一階に佇むみかわや。パリの一角にありそうな格調高い店舗は、まさに“ちゃんとした”洋食店である。
 このお店はとにかく外れない。前述の二店よりも価格帯が高いので当たり前ではあるが、どの料理も美味しい。

 また別の機会に触れるが、洋食文化に多大な事績を残したサニー・ワイルの弟子である渡仲豊一郎が開いた店である。その味はワイルのお墨付きだ。お箸で切れるような柔らかいハンバーグ、くどくない衣の海老フライ、デミグラスのオムライス、どれを取っても文句のつけようがない深い味わいである。
 また、みかわやは店員さんもハイレベルだ。完食したお皿を片付けながら「お腹いっぱいになりましたか?」と一言聞いてくれるお店は、無条件でまた行きたくなってしまう。

みかわや
050-5592-6267
東京都中央区銀座4-7-12 
https://tabelog.com/tokyo/A1301/A130101/13002421/

 たまには襟付きで

 今回は、銀座にある“ちゃんとした”洋食店を3つ紹介した。もし気になるお店があれば、是非友人や恋人と行ってみて欲しい。たまには襟付きでご飯に行くのも悪くない、きっと素敵な思い出になる。



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