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食い道楽のすゝめ 1


 このシリーズについて

 渋谷にコンコンブルというビストロがあった。宮益坂から少し入った角にある老舗である。ランチに行くと、シルバーのトレーに正統派のフランス料理とカトラリーを一式載せて運んできてくれる。1,000円から1,500円くらいの間でスズキや鴨、ポタージュをお腹いっぱい味わえる。しかも値段に比してすごく美味しい。決して高級店ではないが、他所行きの格好をして行きたくなる、そんな魔法のようなお店だった。

ランチのトマトの肉詰め(¥1,200)

 僕はこのお店が大好きだった。友人や彼女と何度も来たし、女友達とのデートディナーに使うこともあった。高校時代から通っていた、渋谷随一のお気に入りのお店だった。

 そんなコンコンブルが、8/8に閉店した(系列店のクレッソニエールは新宿三丁目で今も営業中です)。理由は分からないが、コロナ禍の煽りを受けたのかもしれない。理由がどうであれ、僕にとって喪失感の大きい出来事だった。

 僕はそれなりに食い道楽だと思う。僕の住む東京で美味しいお店/お気に入りのお店を聞かれたら、150軒は紹介できる。そこでその経験を活かし、お店のレビューや選び方、テーブルマナーの紹介など、「食」にまつわるあれこれをこれから少しずつnoteでまとめていこうと思う。それで少しでも皆さんに外食に興味を持ってもらい、もしそれが皆さんが外食に足を運ぶことに繋がって飲食店の一助になってくれれば、僕にとって最高の幸せである。

 飽食のメガシティ 東京

 僕は人生の殆どを東京で過ごしてきた。中学に上がってからはずっと山手線の内側だけで在住在学している。いわば井の中の蛙である。しかし幸いなことに空の青さを知ることができた。それは、東京の食文化の豊かさだ。日本食を筆頭に中華、フレンチ、イタリアン、インド・ネパール、トルコ、アメリカン、ブラジリアン、まさに多種多様である。流石世界で最も多くのミシュランの星を輝かせる都市である。まさに飽食のメガシティ東京である。

 だが良くない箇所も目についた。東京は地方のように素材の味が必ずしも絶対的に良いわけではない。だからこそ料理人達はあの手この手で工夫を凝らし、技を競い合い、高め合ってきた。だが最近はどうだろうか。味や料理人の腕ではなく料理や素材の名前を売るお店が目立つと思う。そういう傾向は昔からあったが、SNSの影響でより加速しているように感じる。勿論それ自体は悪くない。何事にもブランド主義はつきものだ。だがそれは時に自身の味わい方を狂わせることもある。商品の宣伝には常に注意を払うべきだ。

 飽食のメガシティ東京において、大資本に流されず自分で味を評価する能力は人生を豊かにする上で重要だ。だがそれは自分で東京の食を歩き、率直な感想を自分の中で持つしかない。皆さんにとってこのnoteが、東京の食を歩く道標にもなれたらと思う。

 今日はもう少し眠いのでこの辺で、おやすみなさい。




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