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5月10日は「世界ループスデー」

こんにちは。ねこです。
皆さん、明日の5月10日は何の日だかわかりますか?
そう、「日本気象協会創立記念日」でもあるし、「510(コットン)の日」でもある。吉本新喜劇好きなら必見の島田珠代姉さんの誕生日でもある…。

だけど今回覚えて帰ってほしいのはこちら!

「世界ループスデー」

「ループス」とは、海外では「全身性エリテマトーデス」という病気で知られています。
5月10日の「世界ループスデー」とは、この「全身性エリテマトーデス」という病気を啓発する日なのです。

この「全身性エリテマトーデス」は私の持病です。
この病気の事を医療関係者以外の方に説明するとき、私は
「膠原病」や「免疫疾患」という言葉を使います。

しかし、私も自分が病気になるまではこの二つの単語を聞いてもイマイチどういう病気なのか分かりませんでした。
ざっくりご説明しますね。

「膠原病」とは


特定の病名ではなく、病気のカテゴリーです。免疫疾患の病気がこのカテゴリーに分類されます。免疫疾患の病気は以下のようなものがあります。
●全身性エリテマトーデス
●シェーグレン症候群
●全身性強皮症
●ベーチェット病
まだこのほかにもたくさんあります。
また、毎年この膠原病のカテゴリーから外される病気や、逆に追加される病気もあります。

「免疫疾患」とは


皆さんの体はウイルスや菌が入ってくると攻撃して排除しようとする機能が備わっています。この機能を「免疫」といいます。
しかし、私の体の免疫は(私に似て)少しおっちょこちょいで、ウイルスや菌だけではなく問題のない自分の細胞まで攻撃して炎症を起こしてしまうのです。これが「免疫疾患」です。

「全身性エリテマトーデス」(SLE)とは


ここでようやく「全身性エリテマトーデス」の説明です。
一般的にはsystematic lupus erythematosusの略で「SLE」と呼ばれます。
全身性と名前にもある通り、関節、皮膚、内臓など全身に症状の出る病気で、どこにどんな症状がでるのかは個人差がかなりあります。
男女比が1:9とかなり女性の割合が多い疾患ですが、私の参加しているSLEのオープンチャットには男性も何人かいます。
黒人やアジア人に多く、人種差があるようです。

SLEの症状


上に記述している通り、人によって症状は様々で、同じSLEでもまったく同じ症状の人はいないと思います。ですが、多い症状としては次のものがあげられます。

●夜中から明け方の高熱が続く
●関節の痛み
●髪の毛が抜ける
●体重が異常に減少する
●蝶形紅斑(蝶が羽を広げたような形で顔に紅斑がある症状)
●倦怠感

他にも、躁うつ状態になったり、臓器障害が出たり、顔や手足がむくんだりといった症状があります。
私は、肺に水が貯まったり、顔がむくんだりといった症状がありました。
当時の顔がバチボコにむくんでいた写真があります。
ショッキングな写真かもしれないので注意してください。

顔がバチバチにむくんでいた当時の写真
頬の赤いのが蝶形紅斑

SLEの原因

SLEの原因は解明されていません。
複数の遺伝的要因が関与し、さらに紫外線やストレスなどの引き金によって発症すると推測されてます。

SLEの検査

私がおこなった検査で覚えているのは以下のものです。

●頭部CT,頭部MRI ●胸腹部CT
●胸腹部X線 ●心エコー ●心電図
先ほども記述した通り、SLEは内臓にも症状のでる病気なので、それを見るためのCTやMRI、心エコーや心電図の検査をします。

●皮膚生検
皮膚生検は、蝶形紅斑が出たときに発疹の部分を切り取って調べてもらいました。コラーゲン繊維に異常があるようです。
確かに、コラーゲンは漢字で書くと膠ですよね。
かつてはこのコラーゲンの異常が膠原病の原因と考えられていたようです。

●血液検査(C3、C4、白血球、リンパ球、血小板、CRP、dsDNA)

最後に、血液検査です。これは項目が多いので分けて説明します。
【C3、C4】
補体第3成分、補体第4成分のことです。感染や炎症が起こるとこれら補体が消費されて低下します。
【白血球、リンパ球、血小板】
SLEは球体を減らす疾患の代表とも言われているので、白血球、リンパ球、血小板が減少傾向にないかどうかを見ています。
【CRP】
CRPは炎症や感染を起こすと数値が上がります。
【dsDNA】
dsDNAはSLEの代表的な自己抗体であり、SLEの診断や病態のモニタリングに有用です。

SLEの治療


SLEは完治する病気ではありません。
この病気は治すものでなく、コントロールしてうまく付き合っていく病気だと最初に主治医に言われました。
だから、今から紹介する治療はどれも病気を治すための治療ではなく、炎症や感染によって症状がひどくなった場合にそれを鎮めるものであったり、今後症状が出ないようにするための対症療法です。

【ステロイド(服薬)】
これが一番多い治療なのではないかと思います。
ステロイドとは、「副腎」という臓器で作られるホルモンの一つです。
お薬として使用されるステロイドは、炎症や免疫力を抑えるために使用されます。

ステロイドを内服している場合、副腎はステロイドを作る量を調節したり作るのをやめたりします。
ステロイドを作らない期間が一定以上になると副腎の働きが衰えて、必要量のステロイドをすぐに作ることが出来なくなってしまいます。
身体の中のステロイドホルモンが不足すると、だるさ、吐き気、頭痛、血圧低下などの症状が現れる事があるので自己判断でお薬をやめてはいけません。

副作用も多いお薬なので、手洗い・うがいなどの感染症予防や、骨粗しょう症や動脈硬化を防ぐための体に良い食事や適度な運動などを心がける事で副作用のリスクを減らすことができます。

【免疫抑制剤】
ステロイドだけでは効果が乏しい場合や、副作用により減量や中止しなければならない場合などに使用されることが多い薬です。
免疫抑制剤にもたくさんの種類があります。
プログラフ、ネオーラル、セルセプト、プラニケル…などです。

【生物学的製剤】
科学的に合成した薬ではなく、生体がつくるタンパク質を人工的に作り、薬物として使用するものです。こちらはタンパク質であり、内服すると消化されてしまうので、飲み薬ではなく注射や点滴で投与されます。
レミケード、アクテムラ、ヒュミラ、オレンシア、ベンリスタ、
そして去年(2021年)に承認されたアニフロルマブ…などなどです。

身の回りにSLEの人がいたら…

意外と身の回りにSLEの患者さんはたくさんいます。
私がSLEだということを打ち明けると「実は私も…」「私の妻がSLEで…」という方が結構いました。

「病気の事を話すと気を遣わせてしまうのではないか」
「めんどくさいと思われてしまうのではないか」
そう考えて病気のことを打ち明けられない方もいます。

SLEの症状は、先ほど見せた写真のように、目に見えるものはほとんどありません。
「見た目でわからないから身体のしんどさをわかってもらえない」という辛さもあります。
中には病気の症状よりもこの「わかってもらえない辛さ」の方がキツイと感じている方もいるのです。

本当はもっとバリバリ働きたい。
本当はもっとたくさん遊びに行きたい。
そう心では思っていても、倦怠感があったり、症状がまたひどくなるのではないか(再燃といいます)と不安になったりして身体がついていきません。

そんな時に、周りに「SLE」を理解してくれる方がいるだけで、私たちはとっても救われます。
この機会に是非皆さんに「SLE」のことを知ってもらいたかったのです。

最後まで目を通していただきありがとうございました。


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