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バンドマン

バンドマンになってからおよそ10年経つ。
何を以って"バンドマン"とするのかはさておき、それだけ長いことやっていると、バンドマンたちの苦悩がわかるようになる。

僕はメタルバンドをやっているが、フィッシュマンズが好きだ。フィッシュマンズの説明は以下の記事を拝借、省くこととする。

1999年3月、作曲の要であったVo/Gtの佐藤伸治が急逝し、活動の休止を余儀なくされる。
前年には「男たちの別れ」という名を冠したツアーを行い、12月28日にそのファイナルを赤坂BLITZで終えた。それが彼の最後のライブになった。

そこで演奏された"IN THE FLIGHT"という曲の前のMCが最近ふと思い出されたので、これを書いている。

「来年はレコーディングを少しして、できたら夏以降くらいにライブをやりたいかなと。(中略)少々時間をいただけたらなと思います。…そして10年後くらいには誰が残っているかっていう(笑)」

10年後というのは"IN THE FLIGHT"の歌詞に出てくるフレーズで、キーワードでもある。佐藤伸治は掴みどころのない(かつ頭に残る)歌詞を書くので、その意味の所在は僕にはわからないが、MCには思うところがあった。

少なからず僕のバンドにもファンは居て、だいたい2年とか3年くらいのスパンで彼らは入れ替わる。もちろん最初期から応援し続けてくれている人もいるが、それは少数派だ。

彼らはバンドを見ているが、バンドもまた彼らを見ている。ときどき5年前とかの自分たちを思い起こしたりすると、ステージから見える顔ぶれが変わっているのを実感する。去っていくかわりに、新たな人が現れる。その無常さを、多くのバンドマンたちは感じていることだろう。

もちろん、それそのものが良いとか悪いとかいう話ではない。バンドのファンとしての自分もまたその無常な世界の一個にすぎない。生きていれば生活は変容していく。好きなものも嫌いなものも。そのとき必要なものを無意識のうちに、ときには意識的に取捨選択をし続けることで、僕たちはどうせ変わるであろう明日に進んでいく。

バンドマンというのは存外、俯瞰的に物事を見ていたりする。それは寂しさでもある。

まあ、とかなんとか言っといて、こちら側から先に去ることにならないよう頑張るとしよう。
うん。

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