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「イルカも泳ぐわい。」

発売直後に購入して、
それからずっと本棚に眠っていた。
時間はたくさんあったのに、
なぜか開いてなかった。

元々Aマッソさんのネタが好きで、
ワードセンスが好きで、
エッセイもWEBでいくつか読んだ
ことがあった。
今回初めて読んだエッセイも多かったが、
どれも「こんな日常生活の切り取り方が
あるんだ」と感じさせられた。
遠い類推の回路を広げてくれる感覚が
好きだ。

「今日の朝ごはん、どっちの手でお箸持った?」で
「二〇代は、見るもの全てに腹が立っていた。」
と書かれていたが、
私からしたらそんなにあらゆるものに
感情を持てるのが信じられない。
「なんで私には怒りがないんだろう」
と落ち込んでしまいそうだ。

エッセイ集の一番最後にあった
「必要なのは才能じゃない、練習それだけ」
にはなんだか考えさせられた。
世間的に「天才」ともてはやされがちな
加納さんがどういう気持ちで
このエッセイを書いているのか気になる。
努力を避け、人生を楽しむ能力を持った
瀬戸ちゃんと、
努力をし、後世の異国の学生にも影響を
与える才能を持った音楽家と。
才能への確信と不安、
どちらに転んでも支えてくれる
音楽家の言葉。
自分は自分でしかいられないことを
自覚し、
瀬戸ちゃんとは違う道を歩もうとする。
最後のシーンはどうなりたいのかを
自分で自分に問いかけているのかと思った。

明らかに意図的に最後に持ってきたんだろうな。
まんまと罠にはめられたみたいで悔しい(笑)

もし次作があったら、また購入するし、
今度は早めに読むと思う。
ネタ番組を見たときみたいに声を出して
笑ってはいないけど、同じぐらいの
デトックス効果があった。

※書影は版元ドットコムから引用しました。


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