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いま、ここで、「エモい」をなんとなく定義する。

「エモいわぁ~」
「まじエモい」
「エッモエモのエモだわ」

は?

割と最近、「エモい」という言葉をよく聞くようになった。
「エモい」と聞くと、「エモーショナル」の「エモ」というワードを音楽系の記事でよく目にしたのを思い出す。

エモーショナル- emotional
感情的なさま。情緒的なさま。

引用:コトバンク(https://kotobank.jp)

つまり、「感情が揺さぶられる」とか「心に響く」的な意味合いらしいけれど、流行の「エモい」はそこまで重くない気がする。

いや、大筋は合ってるんだきっと。でも「エモい」の言い方的には、昼食時の雑談の「まじか、スゲぇ~」並に軽い相づち感がある。

で、おそらくだけれど、「エモい」を誤用している人が多くいるはず。「エモい」の説明がしづらいのは、そのせいでもあると思っている。


だから、現代の「エモい」をなんとなく定義したい。

手始めに、世の中は何を「エモい」と評価しているのかTwitterで調べた。

確かにこの写真「エモい」
夕焼けが一日の終わりを彩って、昔の建物の町並み。写真の現像もフィルムのような色合いとコントラストで、昔にタイムスリップしたような気にもなる。

これも「エモい」かもしれない。
なんか、100回分の夏が走馬灯のように思い起こされる画が浮かんだ。

これも共感できる。

仕事終わり、人の行き交う街で独り、1日働いた自分を労い褒美のアイスを食べて、ボーっと見つめる先は、暗くなりはじめた辺りをぼやぁっと照らす自販機の光だった。
また、明日も仕事だ。

的なストーリーが見える。


***


テキトーに調べて自分が「エモい」と思ったものを並べたが、「エモい」の対象が、風景の写真だったり、人の発言だったり言動だったりで一見、脈略が無いように見える中で、なんとなく共通点が分かった。

それは、


"Slice Of Life”かどうか

つまり日常性があるかどうかで、日常性のある出来事や様子を「エモい」と形容しているのではないかと思った。

もっと言えば、人生の一部分を切り取ったようなワンシーンに出逢ったときを「エモい」と捉えている気がする。どうやらこの「人生感」が大事らしい。

そしてもうひとつ補足すると、


尚且つ、リアルな生活感があるかどうか

文章表現における例を出すと

例えば「ビールを彼女に渡す」という表現の方法でも

①ぼくはビールを彼女に渡した
②ぼくはスーパードライを彼女に渡した
③ぼくは金麦を彼女に渡した
④ぼくはぬるくなった金麦を彼女に渡した

事実としてはビールというキーワードで十分なんですが、ビールの銘柄が何なのか、ビールの状態はどうなのか、そこまで詳細に情景を描写することによって読者に与える印象は大きく変わる、すなわちエモはディテールに宿るということ

引用: YUBiLOG.(https://sashihara.jp/bloggersfes2017)

①よりも④の方がエモくない?生ビールの「スーパードライ」じゃなくて第三のビールの「金麦」ってのもリアルで生々しく想像できる

なるほど、「具体性」や「共感性」も大事なポイントらしい。


文章における「エモい」はライターの嘉島さんもnoteに書いているので是非。


***


写真や映像における「エモい」も上と同じだ。

あいみょんの「君はロックを聴かない」のMVは、わざと一昔前のMOVIE機材で撮影することで、ノスタルジックな仕上がりになっている。

エモい。

古い町並みは歴史(人生ドラマ)を感じる。フィルム調の画からは、昔の解像度の低い写真や映像を連想し、誰かの思い出のように人生の一部分を切り取ったかのように見える。

このように「エモい」写真や映像にはどれからも血の通った"Slice Of Life”が感じられる。


まとめると

●「エモい」とは"Slice Of Life”な様子に感動することである
●"Slice Of Life”を言い換えると人生の一部分を切り取ったようなワンシーン
●フィルム調の画は、解像度が低い→昔→誰かの思い出→人生感→「エモい」
●「エモい」を引き出すには、
「人生感」→"Slice Of Life”「人生のひとコマ」であるか
⇒「共感性」→"日常的"か
⇒「具体性」→"リアル"に想像ができるか
⇒「懐古性」→"ドラマ(歴史)"を感じれるか


いかがだろうか、「エモい」ってこういうことなんじゃないかと、ここでなんとなく考えをまとめてみた。

こういう定義であるならば、「エモい」は世代がズレると「共感性」や「懐古性」にもギャップが生じるのでシェアされづらいコンテンツだと思う。


より「エモい」のはどっちか?

1950年~1960年のCM

2000年代のCM

おそらく、「共感性」や「懐古性」のある後者を「エモい」と感じた人が多いだろうと思う。前者は古すぎて馴染みがないから「エモ」くない。

なるほど、「エモい」って説明が難しい。


***


「エモい」もなんとなくまとまったところで、調べていて最後に見つけた記事が、

彼によれば、「エモいとは、ロジカルの対極にある、一見ムダなもの。“もののあはれ”や“いとをかし”」だと言う。“いとをかし”とは、枕草子で有名な「非常に興味深い」と訳されるが、その他にも、「美しい」「趣がある」「すばらしい」など多くの意味を持つ奥深い言葉である。なんとなく感じる部分があるのではないだろうか。

引用:「「エモい」は若者言葉ではない?広めたのは落合陽一さん。エモ消費時代が来る!」- 荒川和久@「超ソロ社会」著者(https://note.mu/wildriverpeace/n/n7b32c48de306)


「エモい」=「いとおかし」



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