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23時のインターネット

少し前に、社内LTなどを通じて自身のインターネット遍歴を振り返る機会があり、色々当時の事を思い出したので書いてみる。

インターネットの最初の記憶(1995〜)

自分の中でインターネットの記憶は小学生の頃だ。大々的に何かあった訳ではなく何となく始まっていた感覚だ。PCは家ではなく学校や施設にあるものだった。

ワープロの方が好きだったかも


どこかの施設だったか、社会科見学で行った場所に自由にパソコンに触れるコーナーがあり、最初から最後までそこでパソコンを触っていた記憶がある。元々、ペイントとかwordで文字打つ事がとても好きだった。家電コーナーのワープロで文字を打つのがめちゃくちゃ好きで無限に触っていた。

ワープロ何故か異常に好きだった

ニュースでwindows95発売の熱狂のニュースを見ていた気がするが、熊本の小学生には何の変化もなく日常が続いていた。

インターネットが無い時代

この時代までが周囲含めてまだインターネットが無かった世界。自分の周りは地方であることもあるからか、普及も遅かったので2000年前後まではインターネットが無い世界だった。
新聞を読み、広告で欲しい物にわくわくし、タウンページで電話番号調べて、地図を見ながら運転をして…が当たり前だった。
今戻ってあの頃を体験してみたいとも思ったりする。想い出は常にキラキラしたものだが、実際には全てが不便に感じるのだろうか。

インターネットはすごいらしい(1998〜)

中学時代になると少しずつインターネットが身近になってきた。同級生で家にPCがあり、インターネットが繋がってるという人も増えてきた。

FF8事件

印象的だったのはFF8の発売の頃に、その攻略法を巡って一つ起きたことがある。
ゲーム内で召喚獣を集めていくのだが特定のタイミングで取得しておかないと後々取れなかったりする仕様だった。そのため、攻略本などが出るまでは、学校で友達とお互いの口頭の情報を集めながら攻略を進めていた。しかし、ある日全ての召喚獣の取り方が載っている攻略HPがあるという情報が入った。その情報を得ることが出来るのはインターネットを有しているものだけの特権だった。これは初めて感じた情報格差だったかもしれない。(この後ASAYANの放送日時の違いで痛いほど感じるのだが)

そしてその攻略HPを印刷したものを、親父がハッキングした貴重なものだと言って数千円で売っているやつもいた。半信半疑くらいの感じで聞いていた。
当時のインターネットはそういう感じで、今では信じられないようなことも半信くらいはしていたと思う。
ちなみに自分は数千円で買った友達から無料で見せてもらった。

インターネットがやってきた!(2000年)

高校入学のタイミングでPCを買ってもらった。IBMのAptiva
という俗に言う10万円PCで、当時安くフルセットでインターネットだけ楽しむような人にはオススメだったのではなかろうか。

当時の記事が残っていた。
HDDが10GBで、メモリが64MB…。officeは入ってなかった気がする。
当時のインターネットは56Kbpsとかの世界なのでスペック云々はあまり関係なかったかも知れない。

画像がゆっくりダウンロードされる事も感動があった

今振り返るとゆっくりしたインターネットは、それはそれで良かった…というわけではなかった。速かったら速かったで感動してただろうし。
徐々に速くなっていくという変化を体験出来たのは、良かったのかも知れない。

Dive to インターネット

インターネットの世界には夢が広がっていた。正直出来ることは全然少なかったが、とにかく自分で興味あるものを調べていくだけでも楽しかった。
当時ワードで検索も一応あったが、Yahoo!でカテゴリ検索をまず追っていく事が多かった。

トップページもカテゴリが並んでいた

カテゴリの最後には登録されている個人サイトがずらりと並ぶ。

この時代といえば、モーニング娘。

そこからネットサーフィンが始まる。とにかくリンク集を辿っていくのだ。
個人サイト同士が相互リンクして、リンク集が各サイトに設定されているのが普通だった。これこそネットサーフィン🏄であり、今のインターネット体験とは根本的に違うものだった。新しいリンク集を見つけた時は宝を見つけたようにテンションが上り、全て回り尽くした時の行き止まり感は、今の時代に感じることは出来ない。

検索履歴に注意

この頃は、本当にみんな一気にインターネットを家で出来るようになったタイミングだった気がする。

この時代のPCやインターネットは一家に一台。
当然、家族兼用が当たり前である。つまり検索履歴だけは残してはいけないのである。我々は全員が忍者のように振る舞っていたのだ。

ある日、高校のクラスメートがインターネットを始めたという話をした。
そうすると既にインターネットを使いこなしていたクラスメートが、まず「検索履歴は消しているか?」という事を確認する。これは注意喚起である。

この後にさらに「ブラウザで消しても実は検索履歴は残っている」とか、「よく検索するワードはプロバイダの請求書に載る」とか、「請求書に載せたくない検索ワードは、プロバイダに直接電話して伝えれば消してくれる」とか、何を言っても信用されてしまうレベルだった。インターネットを知らない人は誰でも引っかかってしまう話だったのだ。

広がるメールの輪

インターネットと共に広がったのがEメールだった。当時携帯電話の普及とセットで、電話からメールへと通信が大きく変わっていった。家にいて電話せずに友達とやり取り出来るなんて凄すぎる!と衝撃を受けた。

当時メールを書くのが好きで、自分の新聞と題して仲の良い友人に定期的にメルマガっぽく送っていた。

その中で、新聞らしく川柳のコーナーがあったのだが、これが完全に大喜利化して好評になり、友達の友達などに転送され始め、他校の読者も増えていき、最終的に100人くらいに送っていた。

これはメールの楽しさとインターネットを介して色んな人と知り合えた、面白い経験だった。

23時のインターネット

インターネットは23時から始まる。それは勿論テレホーダイのことだ。
テレホーダイ。

夜更し確定プランである

インターネットは当時、ダイヤルアップ接続で電話回線を使って行われていた。インターネットに繋がっている間は電話している状態になっており電話代が掛かるのだ。インターネットという人類が初めて接する圧倒的コンテンツの波に時間は溶けていき、電話代は上がっていった。

そんな時に救世主となったのがテレホーダイ。23時から朝8時までの電話代が固定料金になるサービスだ。その時間に全てを注ぎ込む人たちが当時多かったはずだ。俗に言うテレホマン達。もちろん自分もその一人だった。

23時からというのがまた絶妙に良かった。
未だに好きな時間。23時。

インターネットは23時から始まる。

レンタルチャットの想い出

当時のHPには個別の掲示板やチャットが実装されているのが普通だった。

こんな感じのやつ

どのサイトだったか覚えていないが、友達と常連になったレンタルチャットがあり、とてもハマった記憶がある。
何か結局は如何に面白いこと言えるか、ツッコミ出来るか勝負みたいな所でハマっていたような気がする。まだ草表現はなく、(笑)しか表現が無かった頃だ。

当時、同い年の自称長野の女子校生という二人組と仲良くなり、
チャット内DM機能でやりとりしたり、違うチャットに抜け出して二人きりになったりしていた。

当時ネカマも多かったのでかなり疑っていたが、最終的には自宅にプリクラを送り合う友達になり、めちゃくちゃ可愛かったのを未だに覚えている。

これは出会い系の走り?
これもインターネットの可能性を感じた体験の一つだった。

インターネットは儚い

一見、未来永劫残るようなデジタルの情報だが、意外にも短命であるのが現実だ。

10年も持たないのが大半で、20年前のHPが今どれだけあるだろう。
本や絵画は100年以上残るのに比べて圧倒的に寿命は短く、跡形もなく消えてしまう。

インターネットで知り合ったあの人達もみんな疎遠になってしまった。

インターネットは実はとても儚いものだったのだ。
昔見たあのHP達は今は全く残っていない…と思いきや意外とwab archiveに残っていたりもする。

しかし、そこにあの日僕らが感じたインターネット体験がある訳ではなく、ただ古いHTMLで作られた過去のデータが時を止めてそこにあるだけだ。

そんな儚さも含めてインターネットであり、
そんなインターネットが大好きだ。


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