大人のこだわり、子どもの好き
絵本や児童書を読むと、大人になった今の自分を実感することができる。
ただ、僕にとってその実感は、なにか成長とか進歩というよりも、固くなったとか狭くなったということの方が多い。
とくに、この本では顕著だった。
《星の王子さま サン・テグジュペリ 著》
言わずと知れた超名作で、初めて読んだのはつい最近のこと。
「所詮は児童書」と高を括っていたが、現実に埋もれている『不確かさ』や『はかなさ』を浮き彫りにしていて、自分の想像との違いに驚いた。
星の王子さまが巡った、小さな星の住人たち。
王さま、大物きどり、実業家…。
そのなかでも、酒に溺れた後悔を忘れるために酒を呑む酒びたりの無限ループ描写に、既視感がもりもり湧いてきた。
「悩んでいる自分に悩む」「心配している自分に心配する」そんな自分とどうしても重なってしまう。
だからだろうか。
星を去るときの王子さまの「おとなって、やっぱり変だ」という呟きが心に刺さる。
読後に思う。
給食のカレーにワクワクが止まらなかったあのころに、気持ちだけでも戻れないものだろうかと。
そのためには、自分の複雑なこだわりに固執するよりも、シンプルな好きを大切にすることのほうが必要なのかなぁ。