部活動改革について思う事③ ~部活動指導員制度~

だいぶ期間が空いてしまいました。すみません。
前回は部活をクラブチーム化した場合のメリットやデメリットについて書いていきました。今回は部活動指導員を導入した場合のメリットやデメリットについて、色々と書いていこうと思います。

部活動指導員制度のメリット

この話をする前に、部活動指導員が何たるかを説明しておきましょう。
 これは、全国各地で導入され始めているもので、名前の通り部活の指導を専門に行う人に部活動を見てもらうというシステムです。取り入れている自治体により活動日時や活動頻度などの運用方法は異なるものの、少なくとも教員の働き方改革に一役買うものとして、導入する自治体があると聞いています。

①学校単位での部活動を維持できる


 おおよそ部活動指導員は、来てほしいという要請のあった学校で活動することが多いので、基本的には1つの学校での指導を行うことになります。
 そうなると、現行のシステムのように学校単位での活動を維持できることに加え、子供たちが部活をやっている時間帯、先生方は他の仕事をできることになるのではないかと思いますし、休日も先生は休める=家族との時間を大切にできる=ワークライフバランスの実現に繋がってくるのではないかと思います。

②経済力による格差が生まれにくくなる


 前回のクラブチームの記事では経済力の差が競技力の差、あるいは参加機会の差に繋がってしまうのではないかと書きました。
 部活動指導員制度の下では、学校を拠点として活動するわけなので、経済力による格差はクラブチーム化してしまうよりは穏やかなものになるのではないかと思います。

③競技指導の専門性が上がる


 部活動指導員を採用する際、「○○の競技の指導ができる人はいませんか?」という形で募集をかけると思うので、その競技に精通してない先生が、無理して頑張って指導するよりも専門性は上がりますし、何より未経験で教えなければならないという学校の先生の負担軽減には、間違いなくなります。

部活動指導員制度のデメリット

①需要と供給が上手いことマッチするのか


 例えば陸上競技の場合、「砲丸投げの指導者が欲しいのに教えられる人がいません!」とか、「短距離を教えて欲しいのに長距離の指導者しかいない」みたいな、需要と供給のミスマッチは必ず起きると思います。これは実体験ですが、現在私が所属する那須塩原ジュニア陸上教室では投擲種目を教えられる指導者がいません。こんな感じで、必ずしも求めている人材が集まってくるわけではないのです。東京のような大都会は別として、地方に行けば行くほどその傾向は強くなると思います。

②平日に来られる指導者がいるのか


 部活動指導員として活動するのはいいものの、平日仕事が無いという人は少ないと思います。まさか仕事をぶん投げて行くわけにはいかないでしょう。指導員だけで生活できるような給料を貰えればいいですが、多分そんなことは無いので、これもかなりネックとなってくるでしょう。

③費用報償はどうするのか


 いくら有志で部活の指導をするとはいえども、お願いされるだけお願いされてあとは知りません、では、誰もやりたがらないですし、私ならせめて「ガソリン代くらいは出せや!」と言いたくなると思います。おそらく市町村や教育委員会から委嘱される形が多いと思うので、全く費用について出しませんということは無いかとは思いますが、どの程度何をどうしてくれるのかをきちんと定めておく必要はあると思います。
 またこれは、制度を所管するお役所的な問題で、我々一般人には与り知らないところですが、多分予算がどうのこうのという問題も出てくるでしょう。コロナ対策で各自治体の財政が厳しいところで、果たして十分需要に応えられる分の指導員を確保できるお金がどこにあるのか、は問題になっているかもしれませんね。

④任期の問題


 従来の部活動システムの中では、ある程度の期間同じ先生が部活を指導していく形になると思います。そうすることで子供たちの競技力が伸び、適性に合わせた指導や信頼関係の醸成が行われるものだと思います。
 しかし、これが指導員制度を導入し、これの任期が1年だった場合、毎年指導者がコロコロ変わるという事態も起きかねません。それがいいのか悪いのか、場合にもよりますが、個人的にはあまり好ましいとは思わないです。この辺の問題は、任期を一括してある程度の期間(5年くらい)任せる方法を採ることで避けられるものだと思います。

 このような感じで、クラブチームも部活動指導員制度も、考えれば考えるほど良いところも悪いところも出てきます。一概に「これがいい」「こうすべきだ」「これがベストな選択だ」と論ずることはできないのです。
だからと言って「じゃあもうやめてしまえ!」と投げ出しては、何も生れません。

 その上で、何がよりよい選択となるのか?を、次回考えていきたいと思います。

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