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太平洋戦争と、ミンダナオ島の石ころ

太平洋戦争の真っ只中だった頃、おばあちゃんは、
一番上の兄をフィリピンのミンダナオ島で亡くしている。


僕は戦時中の話をよく聞く。
そして若い世代に伝えていけたらと思う。

ちなみに太平洋戦争とは
1941年の12月から1945年8月までの間、

アメリカ・イギリスを中心とする連合国と
日本との間で戦われた戦争を指し、
広義では第二次世界大戦に含まれる。


おばあちゃんの一番上の兄は、当時、
24歳という若さで
フィリピンのミンダナオ島に駆り出された。


恥ずかしながら、
僕はミンダナオ島という地名を聞いたことがなかった。

おばあちゃんから聞くまで、全く知らなかった。

調べたところ、
歴史上は「ミンダナオ島の戦い」として記されていて、

これは太平洋戦争中の1945年3月10日から終戦までの間、
ミンダナオ島で行われた
日本軍 vs アメリカ軍及びフィリピン人ゲリラの闘いである。


結果はもちろん、アメリカ軍の勝利。

損害レベルでいうと、
日本側は戦死・戦病死で2万5000人超、戦傷で7000人。


アメリカ軍は戦死で820人、戦傷で2,880人である。


戦死・戦病死で2万5000人。


数字が大きすぎると
人間は悲しみを理解することができないのだが、

1人の人間にフォーカスしたとき、
一気に悲しみがリアルになってくる。

そう、この2万5000人の中に、
おばあちゃんの兄が含まれていたのだ。

おばあちゃんの兄は、
24歳という若さでミンダナオ島に駆り出され、
そこで大親友(戦友)ができたという。


お互い、若かった。

戦争なんて行かず、家でゆっくり過ごしたかったという。


彼らはただ1つ、約束を交わしていた。

「どちらかが生き残ったら、
日本に戻ったときにお互いの家族に挨拶に行こう」


そして、おばあちゃんの兄だけが死んだ。


話によると、銃で乱射され、即死だったそうだ。


最期、恐怖心を抱く暇すら無かったと思う。

そして戦友は最後まで生き残った。
だから交わした約束を守ることにした。


遺体はなかった。

当然だが、あるはずがない。


だから戦友は、
ミンダナオ島で戦った証として
ミンダナオ島の石ころを箱に詰め、

それを持って日本に帰り、そして、
おばあちゃんらの前に姿を現したという。

ミンダナオ島まで行き、
わずかの間で今度は石となって帰ってきたのだ。


それを見た家族はいったい何を想い、何を考えたのだろう。


僕なら悲しさを通り越して、
薄く笑うことしかできないかもしれない。


その石ころを見て何を想えば正解なのか、
全く想像すらつかない。


そして戦友は、どんな表情でその石ころを差し出したのだろう。

そこに、どんな言葉を添えたのだろう。


「ミンダナオ島の戦い」では
日本側は戦死・戦病死で2万5000人超、戦傷で7000人。


その2万5000人の中に、おばあちゃんの兄が含まれている。


「1」としてカウントされている。

つまりこれは、

1/2万5000人のストーリーであり、

同じようなエピソードがあと2万5000人分もあるのだ。本来は。


それぞれに人生がある。

大切な何か、守りたかった何かがある。

それでも最後は、国のために命を捧げるしかなかった時代。


今の時代をぬるく生きてる僕らは、
彼らのストーリーがあったことを絶対に忘れてはいけない。

そして、戦争は二度と繰り返していけないと思う。


正直な話、今まであまり関心がなかったのだが、

「1人のノンフィクションストーリー」

を聞いてしまったあと、
一気にリアリティさが出てきてしまった。


僕らは生かされている。

それも過去、亡くなっていった
数万人、数十万人、数百万人という人達の上で。


命を奪い合った先に一体何があるのか。
何が待っているのか。

定期的に思い出し、
それを若い世代に伝えていく義務さえある気がする。


戦争を経験した人の話をリアルで聞けるのは、
本当に価値があることだと思う。

あと30年もすれば、リアルの声は聞けなくなってしまう。

だから聞ける環境にある人はちゃんと聞いて、
そしてそれを次の世代に伝えていくことが重要だと思う。


石ころになって帰ってきたおばあちゃんの兄を想う。


生まれてくる時代がたった100年違っただけで、
自分が石ころになっていたかもしれないのだ。


宇宙からしたら、100年なんて誤差でしかない。


僕らはもっと、今の環境や時代に
感謝をしなくちゃいけないのかもしれない。


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