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我々は、表面的には違うが本質的には同じことをずっと繰り返している

「今日このあと暇?急きょ予定が空いちゃって」

僕はその日、仕事をしようと思っていた。
書かなきゃいけない原稿があったのだ。


しかし、LINEでその文面が目に入った瞬間、
僕は慌てて身支度を整え、

「今日はちょうど暇だった」
とほぼ反射的に返していた。

僕は複数の事業を回していて、
その日も目が覚めた段階で10万前後の報酬が発生している。

それでも仕事が好きだから、立ち止まることがないのだ。


でも今日は、彼との用事を優先しようと思った。


結果、田舎町で休んでいたのだが、東京へ向かった。
2時間くらいかけて移動をした。


時刻は18時。

集合場所に向かって、ご飯を食べに行く。


僕らは、お酒を飲みながら寿司を食べた。


お酒は本当に都合のいいツールだと思う。


シラフだと面と向かって話せないことも、
お酒があると話せてしまう。


僕はお酒が好きだけど、嫌いだった。


結構飲んでしまった。

レモンサワー、梅酒、日本酒。

「この後どうしようか」と言われ、
僕も「どうしようか」と返した。

外は寒かった。
いつも、気がついたら冬になっている。


僕はいつも通り、カラオケに行くのかと思っていた。


でもその日は上野のバーに出ようという話になった。


行ったことのないバーの名前を出され、
少し胸が踊ったと同時に、
ふたりの空間をもっと楽しみたいのにな、と思った。


でもそれを伝えることはない。
僕は何も言わないまま、バーに向かった。

とても楽しい時間だった。

本当にどうでもいい会話を交わした。

店主も、お客さんも、みんなみんな、
どうでもいい話で盛り上がっている。

酔っ払った人間は、中身のない言葉を連発する。

僕はそれを冷静に眺めていた。


みんな寂しいんだろうなと思った。

だからこそ、
こんな分かりづらい場所にあるバーに人は足を運ぶ。

家で飲まず、あえて店に訪れる。


そしてお酒に飲まれ、意味ない会話を交わす。

時間が経過する。


あっという間に23時半になっていた。

スマホの画面をチラチラと見て、
時刻を気にする彼の姿を横目に、
ああ、今日も泊まらずに帰るんだろうな、と思った。


駅までの帰り道、なぜこんなに短いんだろう、と感じた。

いつも歩くのが面倒くさくてタクシーばかり乗っているのに、
このときはどこまでも歩きたいと思った。

夜に溶けたまま、ずっとずっと歩きたかった。


「ホテルまで帰れる?
本当は送っていきたいんだけど、終電が迫ってるから、ごめんね」


彼はそう言って、僕の頭をポンポンとした。
そして少しばかりして、駅のホームに吸い込まれていった。


僕は終電の本当の時間を知っていた。
あと30分以上は余裕があったのも。


僕はひとりでホテルまで帰り、
そして温泉に入り、酔いをさました。

それからベッドの中に寝転んだのが、
なかなか気持ち悪さが抜けず、

結局、深夜3時頃、嘔吐を繰り返し、
そのあとようやく就寝した。


途中、自分は本当に何をやってるんだろう、と思った。

毎回こんなことばかりやってるような気がした。


翌日、新幹線に乗って移動したのだが、
ボーッとしてたせいで降りる予定の駅を通りすぎてしまい、
僕は自分で自分を嫌悪した。

本当にしょうもないな…と。


人間は、そんなに完成されていない。
誰だってダメな面もあると思う。

僕の場合、
一部からスーパーコピーライターと呼ばれたり
若手起業家と言われたり、

背中を追いかけてくれる人も多いが、

実際のところ、こういうダメダメな面も普通にあるのだ。

むしろこっちがデフォルトのような気さえする。


喉が焼けていた。

もう無理して飲むのはやめようと思ったが、
またその時がきたら、相手に合わせて飲んでしまうのだと思う。


ある真理に気づいてしまった。

我々は、表面的には違うが本質的には同じことをずっと繰り返している。

それに気づけるかどうかが大事。


そして、気づいた上で、それを受け入れるか、許すか、
もしくは拒絶して全てを変えていくか。


そこで選択が求められる。


僕もずっと本質的には同じことを繰り返している。
嫌になるくらいにダメダメな自分が同居している。


でも。

でも、そんな自分も、
そこまで嫌いになれないと思えるのは、
僕も大人になったからだろうか。

それとも、感覚が鈍ってきたのだろうか。


僕らはやっぱり、
表面的には違うが本質的には同じことをずっと繰り返している。


−ブログやメルマガに書くまでもない話
(by 20代起業家)

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