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2023年 球体関節人形への挑戦と結果

 数年前に球体関節人形を作ったらどうかと言われたことがあった。ただその時はまだ未熟で関節の作り方も想像つかず諦めた。
 2023年は、昔できなかったことに挑戦する年とし、その年の11月、その年最後になる人形の挑戦として、球体関節人形に挑戦することにした。



新しい関節の試作

 まず球体関節人形の関節の稼働の仕組みを調べることにした。その結果思いついたものがこちら。

一番最初に考えた関節の図案
上の図案を元に試作したもの

 まず作ったのは全て羊毛フェルトで作ったもの。
 この第一の試作は、羊毛フェルトの摩擦が強くて関節がうまく動かなかった。動かそうとするとテクノロートで作った、円柱型のパーツと球体パーツを支える部分が曲がり動かなかった。
 このことから、稼働部分を羊毛フェルト以外の固いもので作ればいいのではないかと考え、可動部分を工作用紙で作ることにした。 

円盤型関節人形の図案
工作用紙で作った可動パーツ

 工作用紙で球体型関節を作ることはできなかったので、球体関節は諦め、円盤型関節の人形を作ることにした。
 円柱型のパーツの真ん中に工作用紙で作った円盤型パーツを入れる。
 試作した結果、縦回転横回転別々の場所が働いて動かせることには成功したが、工作用紙で作った可動パーツがもろく、すぐに使えなくなってしまった。


新しい関節の諦め

 工作用紙では耐久度が足りないことがわかったので、別の素材で作ることにした。ただし、自分で加工できるものは工作用紙がもっとも固いものだったので、アクセサリーを作るためのパーツで代用できないか試した。

関節部分をダルマカンにした人形の図案
つまようじとダルマカン

 上の二つで作れないかと挑戦したが、失敗した。理由としては、丸のサイズとつまようじのサイズが合わなかった。そして、このパーツを使うと人形のサイズが大きくなってしまうためだった。

 普段作っている人形のサイズが10㎝ほどで、つまようじとダルマカンを使った腕を作ると、長くなるのでサイズが合わなくなる。
 人形のサイズを大きくする方法もあったが、普段作っているサイズに合わせたい思いのほうが強かったので、球体関節人形をあきらめることにした。


目的の転換、発想の転換

 今回の人形作りは球体関節が目的であったが、関節づくりに失敗した。ここで人形作りの目的を変えることにした。上記したダルマカンを使った関節の人形の図案をそのまま使い、関節(曲がる部分)がはっきりわかる人形っぽい人形を作ることにした。

 元々関節はテクノロートの形状記憶に頼っていた。

指、腕、足で使っているテクノロート

 このテクノロートでは、形状記憶はできたが、姿勢の保持ができなかった。つまり、腕を上げたり、足を上げたりした状態を維持できなかった。しかし、よくよく考えてみると、いつもこのテクノロートで腕や足を作るとき、パーツをつなげるときは一本にしていた。このつなげる部分の本数を増やしたら姿勢の保持ができるのではないかと考え、二本にしてみることにした。

今までは一本
今回は、芯材のテクノロートがずっと二本のまま

 ちなみに一本にしていた理由は特になかった。
 また、今まで統一してこなかった腕や足の長さや太さのサイズを統一してみたらより人形っぽくなるのではないかと考え、型紙を作って形を整えた。

型紙でサイズを統一

 型紙で統一しようとした理由は、「同じ形の人形がつくれたらいいよね」くらいの感覚で、今後統一しようとかは考えてない。量産型だが一点ものみたいな感覚が好きなだけです。


新しい挑戦

 ただ芯材を二本にしただけでは、いつもと変化がないので、腰や股関節の作り方をいつもと変え、より可動域が広がった形を試すことにした。

体を反らせることもできる

 「人形はお尻が大事」という言葉を大切にしている。服を着せるので必要なかったりするがお尻は大事。
 新しい股関節にすることで、いつものお尻の形が崩れ、かわいさがなくなるのではと思ったが、意外とうまくいった。
 この部分の成功が失っていた自分の可能性の回復につながった。より上達したいのでね。


量産できることを目指して、鼻の位置を決める

 今回の人形は、人形っぽい人形を目的にしたので、普段適当に作っている顔の作り、特に鼻の位置をしっかりと意識して作ることにした。

同じ顔がもう一度作れる様に、特に鼻の位置を意識して描いた
正面

 鼻の位置が目の下辺の下にくるように、意識して作った。(普段はその時その時の感覚で作っている。)
 表情は、「これから世界を知ろうといろんなものを認識しようとしている表情」=「なんだろうこれの表情」。


体をつなげる、それまでの股関節との違い

 股関節を意識して作った結果、開脚ができる子になった。

2020年のかおりちゃんの体

 2020年に作った「かおりちゃん」の体と比べると、股関節の違いがわかりやすいと思う。それまでは、人間と同じ股関節ではなく、お尻の下にくっついてる形で足をつなげていたので、前後に動かすことはできても、足を開くことはできなかった。また、前後の動きも少ししか動かなく、膝から下を曲げるための足でしかなかった。


新しい技術、開脚ができる人形の完成

テクノロート二本のおかげで腕の位置が下がらない
足もこの姿勢を保持できる
お腹から曲がることができるから、ひじがつく
Y字もキープ

 関節を区切る作りにした結果、曲げる部分がわかりやすく、曲げやすい人形になった。


まとめ

 今回の挑戦の結果、球体関節には失敗したが、針や糸で固定しなくても姿勢を維持できる、そしていろんな姿勢ができる人形が完成した。
 ただし、服の素材の反発の強さには負けるので、服を着ている状態では足をあまり高く上げられない。服の作りを変えたり、服の素材を変えたり、テクノロートの本数を上げることでこの問題が達成できるかもしれない。
 今回の股関節は、服を着せないと股関節が目立ってしまうので、羊毛フェルトで模様となる服を縫い付けた形では違和感が出てしまうかもしれない。しかし、それを逆手にとって、ロボットっぽい人形を作っても面白いかもしれない。

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