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金融取引におけるリスクヘッジ手法とは (金利先渡契約、スワップ、オプション)


金融はある種、タイムマシンのようなものだなぁと、




金利先渡契約 (Forwards rate agreements, FRA)

金利先渡契約 (FRA)とは、
資産ではなく、将来の金利を原資産とするデリバティブ契約。

FRAを締結する目的は、
将来のある時点における借入または貸付のための一定の金利を固定化することにある。


一方の当事者は、FRAで指定された固定金利と契約決済時の市場金利の差額を(合意された想定契約額に基づいて)他方の当事者に支払うことになる。(原金利はLIBORが最も多く使用されていた。)


ユーロダラー預金 (Eurodollar deposit)とは、
米国外の大手銀行に預けられている米ドル建ての預金を指し、銀行間のドル建て融資の金利をLIBOR(London Interbank Offered Rate)という。(既に廃止済みだが、)
LIBORはアドオンレートであり、世界中の変動金利の米ドル建て融資の参照レートで1年を360日とした年率で表示される。

また、ユーロの貸出金利として、Euribor(Europe Interbank Offered Rate)と呼ばれるものもある。


FRAのポジション

FRAのロングポジションは、実質的にお金を借りている側(ローンのロング、契約価格はローンの金利)である。

契約満了時の変動金利(米ドル預金はLIBOR、ユーロ預金はEuribor)がFRAで定められた金利を上回っていれば(LIBOR>FRA)、契約のロングポジションは市場金利より低い金利で借り入れる権利とみなすことができ、ロングはショートから支払を受けることになる。

一方で、
満期日の変動金利がFRAで指定されたレートを下回る場合(LIBOR<FRA)、ショートはロングから現金の支払いを受けることになる。


FRAの満期

FRAには、”契約満了までの月数”と、”原債権が決済されるまでの月数”という2つの数字があり、この2つの差が原債権の満期となる。

以下の例で見ていく。

2×3 FRA


例えば"2×3FRA"は、
契約期間が2ヵ月(60日)、原債権が3ヵ月(90日)で決済されるものを指す。原レートは、60日後の30日ローンに対する1ヶ月(30日)LIBORである。


FRAの価格決定

FRAの価格とは、厳密には、フォワードレートを指している。
フォワードレートはスポットレートから計算が可能で、以下の通り。

(1+S2)^2 = (1+S1)(1+1y1y)

S2: 2期間のスポットレートであり、各期のレート
(1+S2)^2: 2期間の実際の(年率換算されていない)合計レート
S1: 1期間のスポットレート
1y1y: 1年後の1期間のフォワードレート
*ここでは非裁定価格原則が適用される。


スポットレート、フォワードレートについては、以下参照。


金融機関はこのFRAを使って将来の借入コストの上昇リスク等をヘッジしているのである。



スワップ契約

スワップとは、ある原資産や価格(例:債券の固定金利や変動金利)に基づき、将来、特定の定期的なキャッシュフローを交換する2者間(カウンターパーティと呼ばれる)の契約である。
スワップにより、企業は金利リスク、為替リスク、信用リスクをより適切に管理することができる。


金利スワップ

スワップ買い手は、
売り手に対し、定期的な決済日に元本契約額(想定元本と呼ぶ)に基づく固定金利の支払を何度か行うことに同意する。

スワップ売り手は、
同じ定期的な決済日に、買い手に対して、ある金利に連動した変動金利の支払を行うことに同意する。


それでは、スワップの買い手と売り手はどのような動機で取引を行うのか。

固定金利の支払い側(買い手)は、変動金利の負債を固定金利の負債に変換し、資産から得られる固定リターンに見合うようにしようとし、
変動金利の支払い側(売り手)は、固定金利の負債を変動金利の負債に変換し、資産から得られる変動リターンに見合うようにしようとするものである。


分かりやすくするために、2つの銀行を例に考える。
1つは、変動金利のローンと固定金利の負債を持つA銀行。
もう1つは、固定金利の資産と変動金利の負債を持つ貯蓄銀行。

両者とも金利リスクにさらされている。
金利が下落すれば、A銀行の純利益は減少する。
金利が上昇すれば、貯蓄銀行の純利益は減少する。

両行のバランスシートと金利リスクエクスポージャーの相対関係は、両者間の金利スワップ契約の必要条件となる。
A銀行は、変動金利の支払いを行うためにスワップ契約を締結することができる(売り手)。
貯蓄銀行は、固定金利の支払いを行うためにスワップ契約を締結することができる(買い手)。


従って、スワップ契約では、例えば次のように規定することができる。
貯蓄銀行→A銀行:スワップの想定元本〇〇万ドルに対して年率○%の固定給を○年間、毎年送る。(変動金利の支払)

その代わり、
A銀行→貯蓄銀行:1年LIBORに連動した年払い+スワップの想定元本〇〇万ドルの○%を、毎年○年間、貯蓄銀行へ送る。(固定金利の支払)

なお、スワップ契約は、当事者同士が直接行う場合と、第三者の金融機関が行う場合がある。


金利スワップの価格決定と評価

スワップ開始時に、変動金利支払いの現在価値と固定金利支払いの現在価値が等しくなるように固定金利が選択され、両者にとってスワップ価値がゼロとなる。
この固定金利をスワップ金利またはスワップ固定金利(Swap Fixed rate, SFR)と呼ぶ。
スワップ金利を決定することは、スワップの「プライシング」に相当する。

スワップ期間中に市場金利が上昇すれば、固定金利の支払い側から見てスワップはプラスの価値を持つことになる。そのため、相手方(ペイフロー側)にとってのスワップ契約の価値はマイナスとなる。


スワップ固定金利の価格決定

スワップ期間に対応するLIBORカーブから導き出される。
まず、割引係数(Z)は以下のように計算される。

Z = 1 / [1 + (LIBOR × days/360)]

そして、定期スワップ固定金利SFR(periodic)は、次のように計算される。SFR(periodic) = (1-最終割引係数) / 割引率の合計

年間の定期であれば、
SFR(年)=SFR(periodic)×年間決済期間数

*LIBORは既に廃止されているので、現在使用されているレートは異なるが、計算方法は同じ。



ポジション契約

Call オプション

コールの保有者は、資産価格が行使価格を上回れば、事前に取り決めた(低い)価格で資産を購入することができるが、下回れば購入する義務はない。アップサイドの利益は享受できるが、ダウンサイドのリスクは負わない。


Put オプション

  • プットの保有者は、資産価格が行使価格を下回る場合、事前に取り決めた価格(高値)で資産を売却することができますが、それ以上であれば売却する義務はない。ダウンサイドから保護されるが、アップサイドにさらされることはない。


The Black-Scholes-Merton モデル

ヨーロピアンタイプ(満期日にのみ行使可能なオプション)のオプション価格を計算するモデル。米国の経済学者フィッシャー・ブラックとマイロン・ショールズによって考案されたことからこの名前がついた。

原資産価格、権利行使価格、金利、残存期間、原資産のボラティリティといった、容易に入手可能な5つの変数で、計算も容易なことから代表的なモデルとして広く利用されている。

C = S × e^(-∂T)× N(d1) - e^(-rT) × X × N(d2)
P = e^(-rT) × X × N(-d2) - S × e^(-∂T)× N(-d1)

d1 = [In(S/X) + (r+σ^2/2)T] / σ√T
d2 = d1 - σ√T


C, P: コール、プットオプションの価値
S: 現在の資産価格
T: オプションの期限
∂: 連続複利配当利回り
r: 連続複利リスクフリーレート
X: 権利行使価格
N*: 累積標準正規確率
N(-X): 1-N(x)


BSMモデルには、各インプット(権利行使価格を除く)とオプション価格の関係は、「グリークス」と呼ばれる感応度係数によって把握される。

デルタは、資産価格の変化とオプション価格の変化との関係を表すもので、ヘッジ比率でもある。コールとプットのデルタは以下の通り。

delta_c = e^(-∂T)× N(d1)
delta_p = e^(-∂T)× N(-d1)


デルタニュートラル・ポートフォリオ(デルタニュートラル・ヘッジ)

株式コールオプションのロングポジションとショートポジションを組み合わせて、株価の変動に伴ってポートフォリオの価値が変化しないようにすること。

売却するコールの数は、
デルタヘッジに必要なコールオプションのショート数
= ヘッジ対象株式の数 /コールオプションのデルタ数

デルタニュートラル・ポートフォリオは、プットオプションを使用して構築することも可能で、この場合、株式プットのロングポジションとロングポジションが組み合わされる。(プットのデルタは負であることに注意)

デルタヘッジに必要なプットオプションのロング数
= - 株式の数 / プットオプションのデルタ数




仲良い中国人のコースメイトはベジタリアンなのだが、生の野菜が嫌い(レタスとトマト、きゅうり以外)。生のスライス玉ねぎなんかがハンバーガーに入っていると、「これは人間の食べるものじゃない(家畜等の食事だ!)」といって、わざわざ取り出すほど。

好きなものはピザ、フェイクミートバーガー、、などなど脂っこいものが好き。
母親がベジタリアンだからこれまで肉を食べたことがないし、これからも食べるつもりはないらしいが、はたしてベジタリアンって?と思ってしまった。


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